急激に変化する時代の中で、我が国の学校教育には、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよ う、その資質・能力を育成することが求められています。令和答申でも示されたとおり、そのような資質・能力を育成するためには、ICTの活用とともに小・中学校学習指導要領(平成29年告示)(以下、「現行学習指導要領」という。)の着実な実施が求められています。
(表1) 〈資質・能力の三つの柱〉
現行学習指導要領は、知・徳・体にわたる「生きる力」を児童生徒に育むため、「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら、授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう、全ての教科等を、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の三つの柱で再整理されたところです。つまり、ICTを各教科等の指導において効果的に活用する際には、現行学習指導要領の趣旨に基づき、資質・能力の三つの柱(表1)をバランスよく育成するため、児童生徒や学校等の実態に 応じ、各教科等の特質や学習過程を踏まえて、教材・教具や学習ツールの一つとしてICTを積極的に活用することにより、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげることが重要です。また、令和5年9月8日付け5文科初第1090号「『教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)』を踏まえた取組の徹底等について(通知)」において示されたとおり、標準授業時数を大きく上回り教育課程を編成・実施している学校が一定数存在する状況があります。限られた学習時間を効率的に運用する観点からもICTを活用することが重要です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は学校の一斉臨時休業や学校教育活動の制限をもたらしました が、一方で、その間、1人1台端末をはじめとして学校におけるICT環境の整備が急速に進み、学習基盤や教育環境に大きな変革をもたらした結果、ICTの活用が着実に進んでいます。 これからの学校教育においては、学校での学びをさらに充実させていくとともに、学校内外を問わず、それぞれの事情に応じて学ぶ機会を保障していくという観点で、学校や子どもたちの実態に応じたオンライン(オンデマンド)を積極的に活用していくことが重要です。