平成29年3月に告示された小・中学校学習指導要領では、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力の一つとして位置付けられ、その育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとされました。令和元年12月には、児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させることを目標とする「GIGAスクール構想」が文部科学省から示されました。
奈良県では、第2期奈良県教育振興大綱において、「一人一人の『学ぶ力』『生きる力』をはぐくむ本人のための教育」を本県教育が目指す方向性として示しており、児童生徒の発達の段階に応じて、ICTを活用し、情報活用能力を高めながら、課題を自ら見付けて解決し、未知の状況にも対応できる能力を養うため、「学び、考え、探究する力をはぐくむ」ことを主要テーマの一つに位置付けています。そして、県教育委員会では、本県教育が目指す「本人のための教育」を実現するために、教員自身が学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止めながら、子どもたちの伴走者として一人一人の学びを最大限に引き出さなければならないと考え、教員が子どもたちに真に必要な教育活動を効果的に行うことができるよう、令和3年3月に「奈良の学び推進プラン」を策定しました。本県が目指す教育の実現に向けて、市町村立学校では県域での学習環境整備を推進し、県立学校では、令和2年度から普通教室の無線LAN整備やコミュニケーションボード(電子黒板)などの整備、BYODによる1人1台端末を用いた学習、教員の情報活用能力・指導力向上のための研修の実施等の取組を進めています。
児童生徒の情報活用能力の育成には、日々の学習活動において教員の指示ではなく、自らの力でICTを活用することが大切です。教員が明確なねらいをもち、それぞれの場面に応じて児童生徒が自ら選択をして効果的に活用し、深く学べるようにしなければなりません。本ガイドラインは、新しい見方・考え方に基づいてこれまでの学習活動をさらに発展的に充実させるため、個別最適な学びと協働的な学びを促進する方向性を示したものです。子どもたちが自らの学びのためにICTを活用する力を養い、校務も含めた学校教育DXが推進されていく一助としてください。