行政不服申立業務の概要


廣瀬特定行政書士事務所

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取扱業務行政不服申立業務行政不服申立業務の概要

目次

1、目的

2、不服申立ての種類

3、審査請求をすることができる場合

4、審査請求先

5、不服申立てについての教示

6、不服申立てをすることができる期間(不服申立期間)

7、審査請求の方式

8、審査請求書等の記載事項

9、審理の方式等

10、審査請求についての裁決

11、行政不服申立業務(行政不服審査法)のQ&A 

1、目的

行政不服審査法第1条第1項)

この法律は、行政庁の違法又は不当な処分に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、 行政の適正な運営を確保すること を目的としています。

2、不服申立ての種類

行政不服審査法第2条・同法第3条・同法第5条第1項・同法第6条第1項)

「審査請求」が原則となります。ただし、個別法に特別の定めがある場合に限り、審査請求の前に処分庁(処分をした行政庁)に対してする「再調査の請求」や、審査請求の裁決後に当該個別法に定める行政庁に対してする「再審査請求」をすることができます。

3、審査請求をすることができる場合

行政庁の処分については、その処分に不服がある者は、審査請求をすることができます。

法令に基づき行政庁に対し処分についての申請をした者は、その申請から相当の期間が経過しても不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分もしないこと)がある場合には、審査請求をすることができます。

ただし、第7条の規定(例:国会法第121条で定める国会議員への懲罰)や個別法の規定により適用除外とされている処分・不作為については、審査請求をすることができません。

4、審査請求先

個別法に特別の定めがある場合を除き、処分庁の最上級行政庁(例:大臣、都道府県知事、市町村長等)が審査請求先となります。ただし、次の場合には、それぞれに記載する行政庁が審査請求先となります。 

①  処分庁に上級行政庁がない場合(処分庁が主任の大臣や外局として置かれる庁の長等である場合を含みます。)には、処分庁が審査請求先となります。

②  処分庁の上級行政庁が主任の大臣や外局として置かれる庁の長等である場合には、その大臣や庁の長等が審査請求先となります。

5、不服申立てについての教示

行政不服審査法第50条第3項・同法第60条第2項・同法第82条)

不服申立てをすることができる処分又は裁決をする場合には、処分庁又は審査庁は、処分又は裁決の相手方に対し、不服申立てをすることができる旨や不服申立先等を教示しなければなりません。

6、不服申立てをすることができる期間(不服申立期間)

(1)審査請求(行政不服審査法第18条) ※再調査の請求も同様(行政不服審査法第54条) 

①  主観的期間:処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内(※再調査の請求の決定を経た後に審査請求をする場合は、その決定があったことを知った日の翌日から起算して1月以内)

②  客観的期間:(処分があったことを知らなかった場合であっても、)当該処分があった日の翌日から起算して1年以内


(2)再審査請求(行政不服審査法第62条) 

①  主観的期間:審査請求についての裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月以内

②  客観的期間:(審査請求についての裁決があったことを知らなかった場合であっても、)当該裁決があった日の翌日から起算して1年以内

※ 上記期間のいずれについても、郵送に要した日数は算入されません。また、正当な理由がある場合には、上記期間の経過後も例外的に認められます。

※ 不作為についての審査請求については、不作為が解消されるまでの間は、いつでも可能です。

7、審査請求の方法

行政不服審査法第19条第1項) ※再調査の請求・再審査請求も同様

原則として、「審査請求書」(※)を正本と副本の計2通提出して行います(処分庁が申立先となる場合には、副本の提出は不要です。また、他の法律又は条例で口頭で審査請求をすることを認めている場合は、口頭で行うことも可能です。)。

※ 再調査の請求の場合は「再調査の請求書」、再審査請求の場合には「再審査請求書」となります。

8、審査請求書等の記載事項

(1) 処分についての審査請求書(行政不服審査法第19条第2項等) 

(必要的記載事項)

〇  審査請求人の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)

〇  審査請求に係る処分の内容

〇  審査請求に係る処分(再調査の請求についての決定を経た後に審査請求をする場合には、その決定)があったことを知った年月日

〇  審査請求の趣旨及び理由

〇  処分庁の教示の有無及び教示の内容

〇  審査請求の年月日

〇  審査請求人等の押印

(一定の事由に該当する場合の記載事項)

〇  代表者(管理人)、総代又は代理人がいる場合:代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所(又は居所)

〇  審査請求期間の経過後に審査請求をする場合等:審査請求期間の経過後に審査請求をすることについての正当な理由等


(2)不作為についての審査請求書(行政不服審査法第19条第3項等)

(必要的記載事項)

〇  審査請求人の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)

〇  不作為に係る処分についての申請の内容及び年月日

〇   審査請求の年月日

〇  審査請求人等の押印

(一定の事由に該当する場合の記載事項)

〇  代表者(管理人)、総代又は代理人がいる場合:代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所(又は居所)


(3) 再調査の請求書(行政不服審査法第61条において準用する同法第19条第2項等) 

(必要的記載事項)

〇  再調査の請求人の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)

〇  再調査の請求に係る処分の内容

〇  再調査の請求に係る処分があったことを知った年月日

〇  再調査の請求の趣旨及び理由

〇  処分庁の教示の有無及び教示の内容

〇  再調査の請求の年月日

〇  再調査の請求人等の押印

(一定の事由に該当する場合の記載事項)

〇  代表者(管理人)、総代又は代理人がいる場合:代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所(又は居所)

〇  再調査の請求期間の経過後に再調査の請求をする場合:再調査の請求期間の経過後に再調査の請求をすることについての正当な理由


(4) 再審査請求書(第66条において準用する行政不服審査第19条第2項等) 

(必要的記載事項)

〇  再審査請求人の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)

〇  再審査請求に係る処分又は裁決の内容

〇  審査請求についての裁決があったことを知った年月日

〇  再審査請求の趣旨及び理由

〇  裁決庁(審査請求についての裁決をした行政庁)の教示の有無及び教示の内容

〇  再審査請求の年月日

〇  再審査請求人等の押印

(一定の事由に該当する場合の記載事項)

〇  代表者(管理人)、総代又は代理人がいる場合:代表者(管理人)、総代又は代理人の氏名及び住所(又は居所)

〇  再審査請求期間の経過後に再審査請求をする場合:再審査期間の経過後に再審査請求をすることについての正当な理由


9、審理の方式等(行政不服審査法第28条~第43条等)

原則として、審査庁(審査請求を受けた行政庁)が処分に関与していない等の要件を満たす職員から指名する「審理員」が審理を行います(再調査の請求を除く。)。

※ 行政委員会が審査庁である場合など、審理員が指名されない場合もあります。


書面審理が原則となります。ただし、審査請求人等の利害関係者から申立てがあった場合には、口頭意見陳述の機会を与えなければならないほか、必要に応じ、証拠書類等の提出や、参考人の陳述・鑑定の要求、物件の提出要求、検証などの手続がとられます。また、審査請求人等は審理員に対し、提出書類等の閲覧・写しの交付の求めをすることができます。


審理員は、審理手続を終結した後、その結果を「審理員意見書」として取りまとめ、審査庁に提出します。 


「審理員意見書」の提出を受けた審査庁は、他の第三者機関の関与がある場合や審査請求が不適法である場合、審査請求人が諮問を希望しない場合など一定の場合を除き、第三者機関(行政不服審査会等)に諮問しなければなりません(審査請求のみ)。

10、審査請求についての裁決

(1) 処分についての審査請求(行政不服審査法第45条~第48条)

 ※再調査の請求についての決定・再審査請求についての裁決についても同様審査庁は、次のいずれかの裁決をします。 

〇  却下:審査請求が期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合

〇  棄却:審査請求は適法にされたが、本案審理の結果、審査請求に理由がない場

〇  認容(処分の取消し、撤廃又は変更):審査請求が適法にされ、かつ、これに理由がある場合

(2) 不作為についての審査請求(行政不服審査法第19条第3項等)

審査庁は、次のいずれかの裁決をします。 

〇  却下:申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合

〇  棄却:審査請求は適法にされたが、本案審理の結果、審査請求に理由がない場合

〇  認容(不作為が違法又は不当である旨の宣言):審査請求が適法にされ、かつ、これに理由がある場合

※ 審査請求については、処分庁・不作為庁やその上級行政庁である審査庁は、裁決で申請を拒否する処分を取り消す場合や申請に対する不作為が違法・不当である旨を宣言する場合に、その申請を認容する等の処分をする(命ずる)ことができます。

11、行政不服申立業務(行政不服審査法)のQ&A 

Q1 どのような場合に不服申立てをすることができますか?

A

次のような場合にすることができます。 

イ、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(許認可の取消し等)に関し不服がある場合

→処分についての審査請求をすることができます。

※ なお、個別法に特別の定めがある場合には、審査請求の前に処分庁に対する再調査の請求をすることや、審査請求についての裁決に不服がある場合に再審査請求をすることができる場合があります。

ロ、法令に基づく申請から相当の期間を経過しても、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対し何らの処分をもしないこと)がある場合

→不作為についての審査請求をすることができます。

Q2 審査請求は、どのような方法で、いつまでにすることができますか?

A

審査請求は、書面(審査請求書)に必要事項を記載の上、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、審査請求先とされている行政庁に対してしなければなりません(再調査の請求も同様です。)。ただし、再調査の請求についての決定を経た場合の審査請求は、その決定があったことを知った日の翌日から起算して1月以内にしなければなりません。

なお、再審査請求については、審査請求についての裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月以内にしなければなりません。

なお、処分又は裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、その後に処分又は裁決があったことを知った場合であっても、原則として、不服申立てをすることができません。

Q3 審査請求書には何を記載すればよいですか?

A

審査請求書の記載事項については、「審査請求書等の記載事項」をご覧ください。

なお、審査請求書の書式は特に決まっていませんが、参考となる書式が示されているものもありますので、詳細は審査請求先となる行政庁等にお問い合わせください。)。

Q4 審査請求をすることができるかどうか、また審査請求先などが分かりません。

A

処分庁(処分をした行政庁)は、不服申立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し、書面で不服申立先となる行政庁、不服申立期間等を教示しなければならないこととされています。

まずは処分通知書などの処分に係る書面をご確認いただき、それでもご不明な場合には、処分庁等にお問い合わせください。

Q5 他の人・事業者に対してされた処分について、審査請求をすることができますか?

A

処分について審査請求をする法律上の利益がある者、すなわち、その処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害された又は必然的に侵害されるおそれのある者であれば、処分の相手方でなくとも、審査請求をすることができるものと考えられます。

Q6 審査請求の手続の流れは、どのようになりますか?

審査請求の審理手続は、原則として、審査庁が処分に関与していないなどの要件を満たす職員から指名する「審理員」が行います(行政委員会が審査庁である場合など、審理員が指名されない場合もあります。)。審理員は、審理手続を終結した後、その結果を「審理員意見書」として取りまとめ、審査庁に提出します。

「審理員意見書」の提出を受けた審査庁は、他の第三者機関の関与がある場合や審査請求が不適法である場合など一定の場合を除き、第三者機関(行政不服審査会等)に諮問しなければなりません。

Q7 審査請求の審理において、意見を述べたり、証拠書類を提出したりすることはできますか?

A

審査請求の審理は原則として書面により行われますが、申立てをすることにより、審査請求人や参加人が口頭で意見を述べることができます。

また、審査請求人や参加人は、審理員(※)に、証拠書類や証拠物を提出することができます。なお、審理員(※)が提出期限を定めたときは、その期限までに提出しなければなりません。

※審理員が指名されない場合は、審査庁となります。

Q8 審査請求はどのような形で終結しますか?

A

審査庁が、審査請求に対する判断として、次のような「裁決」を行うことにより、審査請求の手続は終結します。

認容(処分の全部又は一部の取消しなど)

棄却(審査請求に理由がないとき)

却下(審査請求が法定の期間経過後にされたものであるなど不適法である場合)

なお、裁決は、主文や事案の概要、理由等を記載し、審査庁が記名押印した裁決書の謄本が審査請求人に送達されることにより効力が発生します。