RNAサイレンシング

RNAサイレンシング (RNA silencing, gene silencing, RNA interference, RNA干渉)は、タンパク質を介さず、RNAの塩基配列特異的に、21-24塩基の短いRNA (short interfering RNA, siRNA)が、相同あるいは相補な塩基配列を持つmRNAを分解あるいは翻訳阻害する機構です。2本鎖RNAがRNAサイレンシング発動に重要で、植物RNAウイルスは、複製過程で必ず2本鎖RNAの形態をとるため、植物のRNAサイレンシング機構によって、抑制圧力を受けていると考えられています。

植物RNAウイルスの感染過程とRNAサイレンシングの関係

しかし、実際にはウイルスによる病気があるのはなぜでしょうか。植物ウイルスは、RNAサイレンシングに対抗して、それを抑えるようなタンパク質を獲得したのです。それをサイレンシングサプレッサータンパク質と言います。

興味深いことに、植物ウイルスは、進化の初期にサプレッサーを獲得したのではなく、ウイルスと植物の共進化の過程で、それぞれ独立してサプレッサータンパク質の機能を獲得したようです。既に植物でのタンパク質翻訳効率を上昇させるなど、利用もされていますが、作用点がサプレッサーの種類によって異なる等、基礎研究としても非常に面白いタンパク質です。