戸隠連峰

1.乙妻山

主稜線に立つと、すぐ南に高妻山。先行者のアイゼン・トレースはなんと高妻山に向かっている。たぶんここから高妻山まで往復し、スキーで下ったのだろう。すごいことだ。そして北に、初めて乙妻山を見る。切り立った鋭峰の高妻山に対し、乙妻山はなだらかな白い優しい山に見えた。よし、もうすぐだ。 

乙妻山 北信州の早春の景観 名山一人旅2

乙妻山はなだらかな白い優しい山
切り立った鋭鋒の高妻山(乙妻山より)

2.高妻山、五地蔵山

帯岩という鎖つきのトラバース路の先に水場があり(そこが源頭)、乾いた沢の岩場を登ると少し早めに一不動に着いた。コンクリートの居心地の悪そうな小屋。1時間毎の休憩としていたので、すぐに五地蔵に向けて出発。だいぶ晴れてきて、後方の飯縄をはじめ、行く手の五地蔵や黒姫の右半分が見える。

「この尾根道を辿りながら、楽しい眺めが得られるが、もし本当に山の好きな人だったら、その眼をすぐ反対側に返すことを忘れないだろう。その側に、すぐ間近に、高妻山がスックと立っているからである。スックという形容がそのままあてはまる気高いピナクルである。ほとんどその土台から絶頂までの全容が望まれる。」(日本百名山、高妻山)

そして左手の木々の向こうに、目指す高妻が見えてきた。日本百名山にある通り、谷向こうに鋭角の形の良い高い山がすっくと立っている。なるほど、これは見事。

高妻山 仏跡を辿る辛い道、素晴らしい景観 名山一人旅3

高妻山
五地蔵山

3.戸隠山

二つ目のピークの上に出ると蟻の戸渡だった。両側が切れ落ちた細い岩尾根だが、傾斜はそれほどなく、足場もしっかりしている。張ってあったロープは使わず、ダブル・スティックでバランスをとりながら通過。

この年(2006年)の3月に戸隠連峰の雪の岩屏風を初めて見て、こいつは手ごわそうだと思っていた。あの険しい岩尾根を登れるんだろうか。

戸隠山 北信州、岩尾根の霊峰 名山一人旅

蟻ノ戸渡
雪の戸隠連峰

4.西岳

限りない登りと鎖場を越えてたどり着いた第一峰の頂上には黄色いニッコウキスゲやピンクのイブキジャコウソウが咲いていて、憩いがあった。横になって5分ほど目をつぶる。陽射はきついが心地よい風。

屏風のような垂直の尾根を歩いてたどり着いた西岳の頂上は、昨年同様、まるで簡素だった。あんなに強烈な岩場と鎖場の終着点、標高2.053mの頂上にあるのは質素な木の頂上標識のみ。第一峰や本院岳の頂上標識に比べてもなんとも地味。

西岳の頂上尾根からの垂直の鎖場を下っていると、黄色い大きなキンバイソウが咲いていた。昨年は平坦な尾根にも咲いていたのに、今年咲いていたのは垂直の鎖場のところばかり。足場を固め、片手で鎖を握って必死でキンバイソウを撮影する。眼下の垂直に近い斜面にはキンバイソウがたくさん咲いていた。

西岳 戸隠連峰の花咲く岩尾根 名山一人旅4

緑で岩肌を隠した西岳(本院岳より)
第一峰の頂上標識
黄色い大きなキンバイソウ

5.一夜山

たどり着いた一夜山の頂上は広く、祠に頂上標識、三角点に方位盤があった。赤い花が2種類咲いていて、赤茶色の葉はシオガマギク、大きな茎に赤い花がたくさんついている優雅なのはヤナギランらしい。殺風景な頂上を華やかにしている。

北アルプスは南の蓮華岳から、前日に登った爺ヶ岳と鹿島槍(一峰に見えている)、そして五竜、唐松、白馬鑓、杓子、白馬が並び、更に小蓮華山から白馬乗鞍までが見えていた。壮観!

一夜山 北アルプスとヤナギラン 里山の旅日記3

ヤンギラン
一夜山から見る北アルプス