社会ネットワークの変容

※主な論文: Y. ISHIMOTO, H. MIYAZAKI 2012 Historical Change of Neighborhood Community and Marriage Range of Gwembe Tonga in Southern Zambia. Working Paper on Social-Ecological Resilience Series 2012(016) :1-19.


社会ネットワークをはじめとする社会関係資本は,環境変動へ対応するための社会的基盤となります。

この社会関係資本を理解するためには,時間経過とともにそれ自体が変容するため,現在のコミュニティーの歴史を理解し,人々のネットワークが周囲といかに関与するか把握することが求められます。

ザンビア南部では,ザンベジ川沿いのカリバダム建設に伴い、マトンゴ地域の住民(トンガ人、約 6 万名)が強制移住させられました。

そこで,ダム建設による社会関係資本への影響を把握するため,(1) 旧地縁集団(cisi)ごとの来歴,すなわち村の再定住プロセスを明らかにし,(2)現在の通婚圏を考察しました。





ダム建設後,世界最大規模の人造湖「カリバ湖」ができました


カリバダム建設は周辺地域の人々の生活に,直後のみならず,現在まで影響し続けていました。

特に,強制移住をさせられた人々は,生計環境の悪化によって,いまだに再移住を行うことが明らかになりました。

加えて,再移住を行った人々は,移住先で社会ネットワークを再構築するため,これは通婚圏に影響を及ぼしていました。

ダム建設以前,人々は当時の地縁集団(cisi)内で配偶者を見つけ,結婚しました。

その後,移住を強制された人々は同一 cisi の成員ではない,新たな隣人との婚姻を開始しました。

以降,人々は再移住を続け,通婚圏は更なる変化を継続しました。





カリバ湖 (Google map: accessed on 30 Jul 2017)