千曲市は、上信越自動車道屋代バスストップ西側の約35Hrの農地を開発し、大型商業施設を中核とする複数の商業施設のほか、沿道サービスや公共施設等が立地する広域交流拠点の整備を進めている。
広域交流拠点の整備に合わせ、南北の中央に都市計画道路(一重山線)を整備し、加えて、上信越自動車道のスマートインターチェンジ(IC)の設置を目指している。
開発を進めるにあたり、道路インフラをはじめとする基盤整備のために多額の公費投入が必要となる。そのため、大型商業施設の誘致に伴う経済波及効果のほか、地域に与えるマイナスの影響などを踏まえた「投資効果の検証」が非常に重要となる。
当該地一帯は「埋蔵文化財包蔵地」に指定されている。指定地では開発時の調査は必須で、その費用負担も多大である。また、「文化財保護法」に基づく埋蔵文化財の取り扱は「現状保存」が原則。
小川市長の屋代地区開発事業見直しの表明をどうとらえているか?
「市も市議会も介入するな」といった意味の発言の真意は?
地権者に不利益な情報があるので役員会において調査結果の公開を止めたと聞いているが、その経緯と不利益な情報とは何か?
準備会が独自に試算している開発事業費は?
組合設立の時期とそれまでの資金調達は?
デベロッパーに開発事業を一括ゆだねる考えは?
市の技術支援のあり方を見直すべきとの意見に対し、今後に向けての考えは?
見直しのポイント
都市計画道路一重山線の歴史館から国道18号打沢交差点までの未整備区間は、引き続き県に早期施工を働きかける。
大型商業施設ありきの方針を見直す。
準備会において、改めて開発コンセプトや視点・手法なども含めた「まちづくり構想案」を策定する。
都市計画協議のたたき台となる「まちづくり構想案」の策定作業を進め、内部協議・県協議を進める。
地域整備法を活用すると土地利用の用途が限定される。
土地改良事業完了からすでに4年経過している。あと4年待つ選択はないのか。
これまでの枠組みにとらわれない抜本的な軌道修正が必要となる。
地域整備法を活用しない場合、屋代スマートIC共用が農地転用の可否判断に影響する。
金井委員長より委員会付託された案件の報告。
令和3年度一般会計予算の「市道一重山2号線工事費関連」について「予算の減額修正案」が提出された。
提案理由で川嶋委員から
屋代地区の開発については賛成であるが、商工団体や市内事業者等に対して5年間にわたり説明がなされなかったのは遺憾である。
都市計画道路一重山線は早期実現を求めるが、なぜ「市道一重山2号線」を着工するのか。都市計画道路との整合性が不明。
昨年3月の施政方針で「市道一重山2号線」を4車線で整備する発表があってから、市民・議会に詳しい説明がなされたいない。
都市計画道路の整備と屋代地区開発問題は分けて、しっかりと議論して計画の再構築をするべきである。
この修正案は否決され、付託案件はすべて原案のとおり可決されました。
建設経済常任委員会では、「市道一重山2号線」の予算に関して次のような付帯決議案を提出。本会議で決議されました。
質問 新聞報道では誘致断念とあり、今議会では断念した訳では無いと答弁されました。市内の事業者に対する配慮、市民への情報提供について市長はどのような対応をするのか?
また事業継続は市長選挙の公約と違うが?
市長答弁 屋代地区の「新たなまちづくり」では「市民の皆様と創る」を基本に据え、引き続き情報提供に努めるとともに、市民や事業者等のそれぞれのお立場からのご意見に真摯に耳を傾けながら進めていきたい。
市長になってみて稼ぐ地域が必要との考えになり、開発予定地の賑わいを効果的に市全体に波及させていくことが重要と考えた。
問題点
長野経済研究所に600万円で委託した「総合波及効果詳細調査事業」の報告書は平成31年3月に市に提出された。
その報告書を令和2年9月議会で公表を求めたところ、概要版が公開されその中には次のような指摘がありました。
アンケートでは6割近くの人が既存店舗での購入を減らすと回答しており、地元事業者に与える影響 が懸念される。
周辺地域の働き手の確保が一層困難になり、働き手の確保のために人件費を引き上げる動きも考えられる。
また正月に全戸配布された「屋代地区開発のいま」と題したチラシには事業費の額が明示されておりません。
いままでに要した費用は、平成28年度から令和元年度までの支出済みの事業費が1億5,728万円。
令和2年度予算が約1億円、令和3年度の当初予算が約3億4,000万円です。
今議会での答弁で市長は、人口減少する将来に向けて自主財源として固定資産税増収で約2億円見込まれると述べたが開発にかかる費用を単年にすると、約1億5,000万円かかり、増収分は年間約5,000万円でしかない。
しかも、計画通りに全体が完成したとしての仮定の話です。
千曲市発表の屋代地区開発(広域交流拠点整備)について
屋代地区の開発計画については、これまで、進み具合等の情報公開については、主に地権者の皆様を対象に行ってまいりましたが、今後は、広く市民の皆様にお伝えできるよう、現在準備を進めております。
平成28年10月5日~平成29年5月31日
土地区画整理事業化調査委託 昭和(株) 1,692万円
平成28年10月5日~平成29年3月24日
新拠点整備基本構想策定業務委託
パシフィックコンサルタント(株) 972万円
平成29年9月11日~平成31年3月29日
土地区画整理事業化調査委託 昭和(株) 5,335万円
平成29年9月12日~平成31年3月29日
スマートIC詳細検討業務委託(株)エイト日本技術開発 2,376万円
平成30年10月1日~令和元年9月30日
屋代地区広域交流拠点総合波及効果詳細調査業務委託
長野経済研究所 600万円
平成31年3月5日~3月29日
屋代地区地質調査業務委託(株)東洋コンサルタント 1,028万円
平成31年3月11日~令和2年3月27日
都市計画道路一重山線概略設計及び交差点予備設計
(株)地域総合計画 918万円
平成31年3月5日~令和2年3月27日
屋代地区土地区画整理事業土地利用計画案策定業務 昭和(株)753万円
令和元年11月12日~令和2年3月27日
屋代地区軟弱地盤現況解析業務委託(株)エイト日本技術開発 319万円
令和2年2月5日~令和2年6月30日
屋代地区軟弱地盤対策工法検討業務(株)エイト日本技術開発 836万円
平成28年度~令和元年度決算ベース 事業費計 1億5,728万円
平成28年度から検討に着手した「屋代地区上信越自動車道西側35haの開発事業」については、これまで企業誘致やまちづくりなど、様々な角度から開発の課題解決と事業化に向けた検討をしてまいりました。
その結果、農地規制の除外は「農村産業法」の適応を受け、「商業系業種」でも農地規制の除外が可能となったことから「千曲市実施計画」の策定を進めています。
また、上信越自動車道への「屋代スマートインターチェンジ」については、建設予定地の軟弱地盤解析や概算工事費の算出を進めており、引き続き県、国、ネクスコ東日本との協議を進め、早期に国の事業採択が受けられるよう取り組んでまいります。
さらに、開発に伴う企業誘致に欠くことのできない開発予定地内の道路整備については、市道「一重山二号線」を4車線道路として整備に着手してまいります。
この道路は、雨宮のJAあんず店の「屋代工業団地南」交差点から、県立歴史館前の「県道白石千曲線」までの開発予定地の南北を縦断する総延長約1.4キロメートルの道路であり、前段申し上げた「屋代スマートインターチェンジ」の接続道路にもなります。
また、交通渋滞対策として「一重山二号線」と国道18号線を結ぶ県道を含む南北の関連道路網の整備についても、県と協議しながら事業化できるよう努めてまいります。
こうした条件を示すことで、年度内にも進出予定企業が確定できるよう努め、開発面積35ha全体の計画を明確にしてまいりたいと思っています。