登山道を学ぼう
登山道にはそれぞれ個性があり、違った表情を見せてくれます
北海道 大雪山
平滑斜面上の登山道
長野県 雨飾山
ササ帯に切り拓かれた登山道
アイスランド
草原の踏み跡
奈良県 大峰山
樹林帯の中の登山道
1. 登山道の成立
歴史的に古くから人々の生活のために利用されていた道(塩の道・鯖街道・熊野古道・修験道...etc)
家畜の通り道(海外での事例)
レクリエーションのために切り拓かれた道(大多数の登山道)
2. 登山道は何のためにあるのか
登山者が安全に山小屋や山頂に移動するために欠かせないインフラである
登山道上に歩行を限定することで周辺の生態系を保護する役割を有する
理想:自然の利用と保全を両立する
3. 登山道は誰が維持管理しているのか
国立公園:環境省や林野庁・山小屋・地元山岳会
その他登山道:地元山岳会等有志(ボランティア)
4. 登山道をめぐる問題
実質的な管理者である山小屋や地元山岳会における高齢化・人手不足・財政難
環境省や林野庁の人材不足、予算不足
気候変動に伴う気象現象の変化(登山道荒廃の進行)
5. なぜ登山道は荒廃するのか
きっかけは登山者の歩行 (Anthropogenic impact :人為的インパクト)
登山道ができることにより植生が失われ土壌が「露出」する→降雨や融雪水、風、凍結融解による侵食作用を受ける
登山道の立地条件(地形量・地形種や地質)により荒廃の種類や進行の速度は大きく異なる
地形的な条件(どこからどこまで水が流れ,どの部分に強いインパクトを与えるか)
荒廃の進行過程や進行速度には段階(ステージ)があるとされ場所場所で異なる.そのため法則的な原因解明は難しい?
6. 持続可能な登山道の維持管理に必要なこと
モニタリング体制の構築 (メカニズムの解明・優先順位付け・整備補修のフィードバック)
定期的な整備補修が重要(土壌は有限であり回復には長い年月を要する)
専門家やボランティア・企業など多くの人を登山道に巻き込む仕組みづくり
7. 登山道と向き合う姿勢に必要なこと
足元の登山道だけではなく,広い視野を持って周辺の景観を観察すること
周辺の景観を観察することで景観を形成した営力(水・風・雪など)をイメージでき,登山道荒廃の理解に役立ちます
長期間登山道の様子を観察し記載・記憶すること (愛着が芽生えます)
荒廃は安定・小康状態にあるのか、大きく進行しているのか見極めること(日頃の観察やデータから)
登山道荒廃はまだまだわからないことばかり.雨の日に意外な発見もあり常にポジティブに