クラス代表の人を応援する気持ちがあるのに、失敗したらいいのにとか、嫉妬する。幸せ一杯なのに、不安を感じてしまう。このように矛盾する感情をアンビバレンス心理と呼び、名前が付いているほど一般的な事柄です。
ただ、あなたが自分の心に気がかりになるのは、あなたが思春期に入り、自我形成が始まっているからです。あなたは中学2年の頃に、自分にしかわからない自分の意識(自我)の存在に気付きました。以来、自分の心の動きに敏感になっていますが、人の心は2面性を持つものなので気にかけないでください。
人の心がなぜ2面性を持つかは、人間の生存本能によるものと考えられています。人間は数百万年に及ぶ進化の過程では常に過酷な環境下で生存の危機にさらされながら生きて来ました。きれいな花を清らかに感じて触ったら毒を持っていたり、家族と楽しく食事をしていたら自然災害に襲われたり、信頼していた隣村に食料を奪われたり、かわいがっていた小動物を飢饉のときは食べざるを得なかったり、さんざんな目に会ってきました。
急にいつ表れるかわからない命の危機に対して、躊躇して対応が遅れることがないよう、ひとつの行動用だけに心が偏りすぎないように、すぐ逆の行動もできるように反対の心も少しだけ準備をするようになってきたのです。
思春期には正反対の心の動きにどまどうのですが、それは危機管理用に準備されたもので本当の気持ちではありません。あなたの心はそんなに弱くも汚くもありません。