当研究室では、放射性核種計量学分野に関わる様々な研究を行っています。得られた研究成果は自ら国内外の学会発表、英文の国際学術雑誌投稿により公表できるよう支援します。皆さんが研究を通じて様々な経験を積み、研究生活を通じて自らの成長を実感できるよう、共に歩み、学びたいと思います。
・どのような研究を行っていますか?
ラジオアイソトープ・放射線利用の科学的発展を支える計測技術開発や新たな利用の創出に資する応用研究を広く研究テーマにしています。特に「放射能測定・分析」について、高精度な測定手法の開発や、そのような高精度測定技術を基盤として、実用レベルでの測定への応用に関する研究を行っています。
・具体的なテーマや研究手法はどのようなものですか?
ラジオアイソトープ(RI)はさまざまな分野で利用されていますが、特に医療における利用発展は目覚ましく、当研究室でも新たに医療応用される、あるいは近い将来応用が期待される放射性核種の放射能測定手法の研究開発に取り組んでいます。これらの研究は、製薬会社や外部研究機関の協力を得てRIの提供を受け、原子力研究所のRI施設で実験を行っています。これに関連する研究は外部研究機関を訪問して出張実験を行うこともあります。
その他に食品中の放射能分析に関する研究も行っています。この研究では、福島県、厚生労働省、林野庁の協力の下、従来の試料の前処理を伴う分析ではなく、試料をそのまま測定する装置の評価手法の開発を行っています。不定形状の試料の形状把握手法の検討やその情報から検出器に対するレスポンスを求める手法について研究を中心に進めています。
また、近畿大学原子炉(UTR-KINKI)や京都大学原子炉(KUR)を用いた中性子誘導放射能の測定手法の研究も手掛けています。
・これまで放射線についてほとんど学んでいませんが大丈夫ですか?
学部での放射線に関連する授業はかなり限られたものです。配属当初は皆ほとんど放射線に関する知識ないものとして進めますので、配属されてから勉強を始めれば大丈夫です。進路にもよりますが、放射線取扱主任者試験合格を目指して勉強することを強く進めています。主任者試験の勉強は卒研を進めるうえで必要な知識の獲得にも直結するものです。放射能の研究は物理的な計測だけではなく、化学的手法での試料の調整も測定や分析の上で重要であり、自分にあったテーマを相談して研究を進めてもらっています。
研究テーマ例
近年臨床応用されているRa-223は将来の医療応用が期待されるα核種の多くは子孫核種にα/β核種が多数混在し、複雑な壊変を伴うことから放射能測定に様々な困難があります。当研究室ではこのような核種の放射能を医療の要求に応え得る正確な測定法の研究開発を行っています。
福島第一原子力発電所事故の影響による食品中の放射性セシウム測定について、近年生産サイドによる出荷前自主検査や住民が自家消費を目的として自家栽培した作物や採取した野生の動植物の測定に試料を破壊せずそのまま測定する非破壊式放射能測定装置が開発、利用されています。当研究室では、このような装置を検査に用いるための性能評価手法や測定の信頼性確保のための運用法に関する研究に取り組んでいます。
近畿大学原子炉(UTR-KINKI)で発生する中性子を用いて各種の試料を照射し生成する放射能の測定手法に関する研究に取り組んでいます。京都大学原子炉(KUR)でも実験を行っています。
その他のテーマ
・医療における放射線防護計測に関する研究
・原子力施設からの放射性物質放出監視のための放射能モニタリング手法に関する研究
・放射性希ガス測定法の開発
主な取り組み
新規及び既存の放射線診療に対応する放射線防護の基準策定のための研究 (細野班 研究協力)
棒状放射性表面汚染モニタの開発 (受託研究)