世界敗血症デー 京都 2024 皆さんへ
~ Fight against Sepsis:世界敗血症連盟の立ち上げと未来 ~
世界敗血症デー 京都 2024 皆さんへ
~ Fight against Sepsis:世界敗血症連盟の立ち上げと未来 ~
Global Sepsis Alliance 創設理事長
国立科学アカデミー・レオポルディーナ
敗血症財団 会長
シャリテ・ベルリン医科大学医学部 教授
Prof. Konrad Reinhart M.D.
9月13日 世界敗血症デー(World Sepsis Day:WSD)として,まず,京都で企画されたWSD Kyoto 2024,このユニークな活動に心から敬意を表したいと思います。これらの活動は,私たちが共に成し遂げてきた「敗血症との闘いにおける進歩」であり,日本からの計り知れない貢献です。
敗血症は現在,世界中で予防可能な死亡の主要な原因の一つと認識されています。しかし,2010 年のメリノフシンポジウム「敗血症をひとつの声で語る(“Sepsis Speaking with One Voice”)」で私たちGlobal Sepsis Alliance(GSA:世界敗血症同盟)が発足した当時,敗血症は国際レベルおよび国内レベルの政策立案者,医療制度におけるリーダー,医療当局において,目に見えるものではありませんでした。また,各国の国内調査において,敗血症,その兆候と症状,原因,予防可能性に関する国民の認識が低いことも判明しました。
敗血症との闘いにおける国際協力の必要性という考えは,米国敗血症連盟の創設者であるカール フラットリー先生(Carl Flatley)にまで遡ります。世界敗血症連盟の創設会長/創設理事長に任命された私は,世界集中治療・集中治療医学会連合(WFSICCM),世界小児集中治療・集中治療学会連合(WFPICCS),国際敗血症フォーラム(ISF)の指導者たちが,この「敗血症との闘いにおける国際協力の必要性という考え」を全面的に支持してくれたことをとても感謝しています。また,世界敗血症連盟の立ち上げを全面的に支持し,敗血症を機関の優先事項にするという 世界敗血症連盟の使命を体現してくれたノースウェル ヘルスのマイケル ダウリング会長とファインスタイン研究所のケビン J. トレーシー会長に深く感謝しています。
敗血症を国内および国際レベルで優先課題にするための重要なステップとして,世界敗血症デーの運用と開始,2012 年の世界敗血症宣言(World Sepsis Declaration)の発表,および 2016 年の第1回世界敗血症会議(World Sepsis Congress in 2016)がありました。
これらは,敗血症との戦いにおける次のマイルストーンのための重要な前提条件でした。たとえば,次のとおりです。
• 2017 年の世界保健機関WHOの世界保健総会(World Health Assembly:WHA)における敗血症決議:敗血症を世界保健の最優先課題とするという議決
• 2022年のG7サミットにおける保健大臣のベルリン声明:2017年のWHO/WHAにおける敗血症決議の実施を世界レベル支持するという宣言
• 2030年に向けた世界敗血症アジェンダ:ドイツ連邦議会のグローバルヘルス小委員会のアンドリュー ウルマン委員長の支援を受け,WHOテドロス事務局長およびドイツ連邦保健省カール ローターバッハ大臣の後援のもとで2024年9月10日のドイツ議会における公表
このようにGlobal Sepsis Alliance(GSA:世界敗血症連盟)は,感染予防と制御対策の提唱,感染症に対する一般的知識と健康を求める行動の向上,敗血症の治療全般にわたる調整された統合医療サービスへ公平にアクセスできるようにすることで,敗血症に対する国家的かつ国際的負担を軽減することを目指しています。