■学校名
国府台女子学院中学部、成田山教育財団成田高等学校、成田市立公津の杜小学校、成田市立成田小学校、KTC学園屋久島おおぞら高等学校、佐倉市立井野中学校
■代表者名
古郡 怜奈 (中学1年)
■他メンバー
横内敬文(高1)古郡健多(小4)横井稜成(小3)遠藤柚乃(高1)横内敬子(中1)
■担当教員(指導者)
横内 絢子
■作品概要
本作品は、千葉県成田市で活動する「成田ジュニア・ストリングオーケストラ」の弦楽器奏者による地域探究活動の成果報告である。競走馬の育成・調教が盛んな千葉県北総地域に生きる馬たちがどんな環境で育ち、どのように活躍し、そして引退後はどんな道が待っているのか。小学生から高校生までの年齢で構成された探究チームは、それぞれの特技を生かし、統計データや地図情報を分析して地理的要因や気象的要因を探ったり、地域の競走馬育成牧場を訪問してフィールドワークや取材活動を行ったり、所属する乗馬クラブにおける自らの経験や想いを共有するなど、様々な探究活動を展開し、最後に自分たちなりの「北総地域に生きる競走馬のミライ」を提案した。
乗馬クラブで引退後の競走馬とともに活動しているからこそ見えてきた現実と将来への願い、馬の尻尾を用いた弦楽器の弓で演奏しているからこそ気づいた着眼点など、青少年音楽団体ならではの斬新な地域探究である。
■探究の動機や目的
成田ジュニア・ストリングオーケストラは、3年前のコロナ禍により演奏活動に大きな制約を受けたことをきっかけに「音楽が地域のためにできること」を追求する探究活動のチームを団内に立ち上げ、音楽、防災、地域振興、アイヌ民族文化など様々なテーマで地域探究を展開してきた。
この夏、高校生チームメンバーが東北地方を旅する中で「馬探2022」募集ポスターに出会った。普段から演奏しているヴァイオリンの弓に馬の尻尾が使われていること、クラシック音楽には馬をテーマとした曲(草競馬やウィリアムテル序曲など)があること、演奏活動をしている千葉県北総地域は競走馬の生産が盛んであることから、もっと地域の馬について深く探究してみようと呼びかけ「teamウマタン2022」を団内に結成した。
中学生チームリーダー(古郡怜奈)は小学2年生から5年間、地域の乗馬クラブで活動しており、競走馬を引退した自馬と触れ合う中で「競走馬の行く末」について関心を抱くようになった。その経験から生み出された地域探究テーマが本作品「北総地域に生きる競走馬のミライ」であり、多様な経験を持つ異年齢のメンバーが、それぞれの特技を生かして地域の競走馬の行く末を提案することを目的に探究活動を展開したものである。
■探究の方法や内容
以下の3つの課題を設定して、それぞれのテーマについて担当を決めて地域探究を深めることとした。気象データ(平年値)などExcelを用いた統計分析や研究の全体取りまとめスライドは高校生メンバー(横内敬文)が、フィールドワークや取材活動など現地での調査研究や巡検は小中学生メンバーが(古郡怜奈・健多、横井稜成、横内敬子)、映像作品の制作やプレゼンテーションの収録は高校生メンバー(遠藤柚乃)がメインで担当した。
【ミッション① 千葉県北総地域で競走馬の育成が盛んな理由を探れ!】
なぜ北海道で生産された競走馬を千葉県北総地域で育成・調教するのか、その地理的要因と気象的要因を統計値と地図データを用いて比較分析した。
【ミッション② 地域の競走馬の育成牧場を訪問・取材しよう】
千葉県芝山町にある競走馬の育成牧場を訪問し、ここで働くホースマンへの取材や現地フィールドワークを行い、北総地域においてどのように競走馬が育てられ、どのように活躍し、現役引退後はどのような進路が待っているかを明らかにした。
【ミッション③ 北総地域に生きる競走馬のミライを提案】
メンバーが訪問した長野県野辺山にある観光牧場を紹介し、地域探究を通じて得た知見を基に、北総地域でもこのような競走馬のミライを実現したいという私たちからの想いを提案した。
■感想と今後の課題
競技として乗馬に取り組んだり、地域での演奏活動に取り組んだりしてきたメンバーが、「北総地域に生きる競走馬のミライ」という新たなテーマに出会い、地域探究活動を通じて様々な知見や気づきを得ることができた。
今後は、弦楽器の弓が馬の尻尾から生成されるプロセス、競走馬のレースを左右する気象要因、馬をテーマとするクラシック音楽など、本探究を通じて出会った個別のテーマをより深く掘り下げていきたいと考えている。