■学校名
沖縄尚学高等学校
■代表者名
島谷春佳 (高校2年)
■他メンバー
なし
■担当教員(指導者)
なし
■作品概要
日本最西端にある与那国島には、沖縄の在来馬であるヨナグニ馬が農耕馬として人と共に暮らしていましたが、機械化が進んだ現代社会、ヨバグニ馬は必要とされなくなり、2011年には約60頭にまで減少しました。
その後も減少傾向にあり、一時は絶滅も危ぶまれたヨナグニ馬でしたが、保護団体が立ち上げられ現在は110頭まで個体数は回復しています。
ヨナグニ馬保護団体であるうみかぜホースファームでは、ヨナグニ馬の保護活動に務めると共に、彼らの温厚な性格や小柄で力持ちの特徴を生かした新たな活用法を見つけ、地域の一員として人と馬の共存をはかっています。
現在では幼稚園や特別支援学校、老人ホーム、企業や地域のイベントなど様々な場所に出張し、ホースセラピーとして活躍しているヨナグニ馬ですが、彼らの存在や過去、現在を知り、なぜ保護活動が行われているのかはあまり知られていません。ただ個体数を増やすだけではなく、地域の人々に必要とされる仕事を与えることで現代社会に彼らの居場所をつくる、それが本当の意味での保護活動だとして活動しています。
今回提出した作品には、それらの活動を広めると共に、沖縄を舞台にヨナグニ馬と人の「繋がり」をテーマにしました。
■探究の動機や目的
私は小学校1年生の時からうみかぜホースファームの馬クラブに通い始め、その頃にヨナグニ馬のことを知りました。当時はヨナグニ馬の認知度も低く、地元の人も自分たちの島の在来馬、それも昔は共に暮らしてきた地域の一員であったのにも関わらず、「ヨナグニ馬ナニソレ」状態でした。そこから何年もかけて地域の行事に参加し、触れ合い体験を何度も開き、そうしてヨナグニ馬という存在を地域に浸透していった過程を間近で見てきました。
現在はだいぶ認知度も上がり、地域に馴染んできたヨナグニ馬ですが、それでも地域差はあり、彼らのことを知らない人も少なくありません。
馬の中ではとても小柄な体格で胴長短足、性格も温厚で人懐っこいとキャラクターチックなヨナグニ馬は、セラピーホースとしてとても向いています。それだけではなく、小学校で馬の授業を行う時も適任です。彼らの魅力とそれを活かせる仕事がちゃんとあり、1人でも多くの地域の人に知ってもらう。そして、彼らが地域に馴染み必要とされることが、今回の最終目標です。
島人とヨナグニ馬の繋がりがもう一度繋げられた今、彼らの居場所をつくり生き残り生き残る道を探していきます。
■探究の方法や内容
長年そばでヨナグニ馬を見て培った知識やボランティアスタッフとして活動してきた経験を生かし、ヨナグニ馬を保護することの意義、本当の意味での保護活動とはどういうことなのか、私たちは彼らをどうしたいのか、保護団体や地域の人たちに話を聞きながら、それらを突き詰めて考え、分かりやすく最低限に言葉をまとめました。
■感想と今後の課題
ヨナグニ馬に限らず、地域固有の動植物の個体数は減少しているという問題を抱えたところは多いと思います。私はそれらを保護するにあたって、ただ単に個体の命を長らえさせる、個体数を増やす、など単純なことを目的とするのが保護活動だと思っていました。確かにそれも難しいことであり、それでもいいかもしれません。しかし、その根本にある原因、どうして個体数が減少しているのか、それを考え解決することはもっと難しいことで、自分たちの行動の本当の意味を理解する、それが1番大切なことなのだと気づきました。
ヨナグニ馬の保護活動は、その大切なことをしています。最近やっと気づけた大切なことは、保護団体を立ち上げた方々が目標としていたことで、それも知らずにただヨナグニ馬に関わっていた自分が少し情けなくなりました。しかし、もしこの大切なことに多くの人が気づいてくれたら、今以上にヨナグニ馬の理解を深めることができます。
現在の動員できるヨナグニ馬の頭数や地域の積極性など課題は多くありますが、認知度と理解上げていくという少しずつ上げていく、地道なことを大切にやっていこうと思います。
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