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民事裁判への関わり方は、一つではありません。
事故の事実をできるだけ詳しく明らかにしたいと考え、ご遺族自身も裁判の経過を確認しながら深く関わる方法があります。
一方で、事故について繰り返し向き合うことが大きな精神的負担になる場合には、弁護士に多くを任せ、本人の出廷や手続への参加をできるだけ減らす進め方もあります。
どちらが正しいというものではありません。
「民事裁判で何を求めたいのか」とともに、「自分はどの程度関わりたいのか」を弁護士に伝えることが大切です。
ご遺族が、「事故の経過を自分でも見届けたい」「提出される主張や証拠を詳しく確認したい」「事故の事実について、できるだけ丁寧に争いたい」と考える場合には、弁護士と相談しながら裁判に深く関わることができます。
例えば、
・裁判期日に出席する
・準備書面の内容を弁護士と確認する
・刑事記録やその他の証拠を検討する
・追加して調べてほしい事項を弁護士に伝える
・証人尋問や加害者本人の当事者尋問を検討する
・和解案について自分の考えを伝える
などがあります。
弁護士に依頼している場合でも、裁判をすべて弁護士任せにしなければならないわけではありません。
どの程度関わりたいのかを、依頼時や訴訟の途中で伝えることができます。
反対に、「加害者と顔を合わせることがつらい」「事故のことを何度も説明することが苦しい」「裁判所へ何度も行くことは避けたい」というご遺族もいます。
弁護士を訴訟代理人として依頼している場合には、多くの手続を弁護士が代理して行うことができます。
そのため、ご遺族本人がすべての期日に出席しなければならないわけではありません。
ご遺族本人の当事者尋問など、本人の参加が必要な手続を除き、弁護士に出席を任せられる場合があります。
民事裁判では、被告である加害者側にも弁護士が付いている場合があります。
その場合、通常の期日には代理人弁護士が参加し、加害者本人が毎回裁判所へ来るとは限りません。
そのため、「民事裁判を起こせば、毎回加害者本人と法廷で向き合うことになる」とは限りません。
一方で、事故当時の運転状況や事故後の行動などについて、本人から直接説明を求める必要があると考える場合には、当事者尋問を申し出ることができます。
裁判所が必要と判断して採用すれば、加害者本人への尋問が行われます。
ただし、当事者尋問を申し出れば必ず採用されるわけではありません。
現在の民事裁判では、裁判所へ実際に出向かなくても参加できる手続が増えています。
2023年3月1日から、弁論準備手続や和解期日では、当事者双方がウェブ会議や電話会議を利用して参加できる制度が導入されています。
2024年3月1日からは、通常の口頭弁論についても、裁判所が相当と認めた場合には、ウェブ会議を利用して参加できるようになりました。
これは弁護士だけではなく、原告であるご遺族本人がウェブ会議で参加する場合も含まれます。
ただし、本人が希望すれば必ずオンライン参加できるという制度ではありません。
裁判所が事件の内容や期日の内容、当事者の意見などを踏まえて判断します。
【参考】
法務省「民事訴訟法等の一部を改正する法律について」
証人尋問や当事者尋問についても、一定の場合にはウェブ会議を利用できることがあります。
例えば、
・遠隔地にいる場合
・年齢や心身の状態などから裁判所への出頭が困難な場合
・対面によって精神的な負担が大きくなる事情がある場合
・その他、当事者に異議がなく、裁判所が相当と認める場合
などです。
そのため、「尋問が行われる場合は、必ず相手と同じ法廷で向き合わなければならない」とは限りません。
精神的な負担が心配な場合には、ウェブによる尋問を利用できる可能性があるか、弁護士に相談してみてもよいでしょう。
【参考】
裁判所「民事裁判手続のデジタル化の概要」
弁論準備手続や和解期日では、電話会議を利用できる場合があります。
一方、通常の口頭弁論に遠隔で参加する場合には、映像と音声を使ったウェブ会議を利用します。
すべての手続を電話だけで行えるわけではありません。
また、どの期日をウェブ会議などで行うかについては、事件の内容などを踏まえて裁判所が判断します。
2026年5月21日から、改正民事訴訟法等が全面施行され、民事裁判手続のデジタル化がさらに進みました。
現在は、
・訴えのオンライン提出
・準備書面などのオンライン提出
・訴訟記録の電子化
・ウェブ会議を利用した期日への参加
などの仕組みが整えられています。
弁護士などの訴訟代理人については、電子申立て等が原則として義務化されています。
遠方の裁判所での訴訟や、出廷そのものが負担になるご遺族にとって、こうした仕組みが負担軽減につながる場合があります。
【参考】
法務省「民事裁判手続のデジタル化」
現在の民事裁判では、オンライン提出やウェブ会議などを利用し、手続を迅速・効率的に進める仕組みが整えられています。
しかし、効率化は、「必要な主張や証拠調べを省略する」という意味ではありません。
事故原因など重要な事実について争いがある場合には、証拠を提出し、証人尋問や当事者尋問を申し出ることができます。
何をどこまで審理する必要があるかは、それぞれの事件の争点や証拠によって異なります。
民事裁判を依頼するときには、賠償額だけでなく、「できるだけ自分も裁判に関わりたい」「期日には可能な限り参加したい」「事故の事実を詳しく争いたい」「加害者本人への尋問を検討したい」という希望があるのか、
それとも、
「できるだけ本人の出廷を減らしたい」「加害者と顔を合わせたくない」「事故について何度も説明する負担を減らしたい」
「必要な手続はできるだけ弁護士に任せたい」
という希望があるのかを、あらかじめ伝えておくとよいでしょう。
裁判の途中で気持ちや状況が変わった場合には、そのことも弁護士に相談できます。
民事裁判では、「できるだけ深く関わる」ことも、「弁護士に多くを任せて負担を減らす」こともできます。
また、裁判所が相当と認めた場合には、ご遺族本人がウェブ会議で期日に参加したり、一定の条件のもとでウェブによる尋問を行ったりできる場合もあります。
民事裁判をするかどうかだけでなく、「どのような形なら、自分が裁判を続けられるのか」を考えることも大切です。
■ 法務省「民事訴訟法等の一部を改正する法律について」
ウェブ会議による口頭弁論、オンライン提出、訴訟記録の電子化などについて説明されています。
法務省「民事訴訟法等の一部を改正する法律について」
■ 法務省「民事裁判手続のデジタル化」
民事裁判でのウェブ会議やオンライン化について説明されています。
法務省「民事裁判手続のデジタル化」
■ 裁判所「民事裁判手続のデジタル化の概要」
ウェブ会議による期日参加や、証人・当事者尋問をウェブで行う場合などについて説明されています。
裁判所「民事裁判手続のデジタル化の概要」
確認日:2026年9月5日