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交通事件について警察や検察官から説明を受けても、事故状況や捜査結果に疑問が残ることがあります。
捜査や証拠収集は、本来、警察や検察が行うものであり、ご遺族が自分で調べなければならないわけではありません。
それでも確認したいことがある場合には、目撃者や事故状況を知る方から話を聞く、客観的な資料を確認する、専門家へ調査や鑑定を依頼するといった方法があります。
ただし、時間の経過によって人の記憶が曖昧になったり、映像や記録が失われたりすることがあります。確認したい事項がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することも検討してください。
事故を目撃した方や、事故の前後の状況を知っている方等から、ご遺族へ連絡が入る場合もあります。
刑事裁判が始まる前、特に警察や検察による捜査が続いている段階では、ご遺族が目撃者から詳しい事情を直接聞き取ることには注意が必要です。
目撃者などから連絡があった場合は、まず、事故について知っていることを警察へ直接話してもらうようお願いすることを優先します。
目撃者がいることを第三者から聞いた場合は、仲介してくださった方を通じて、警察へ直接説明していただけるようお願いする方法があります。ご遺族が本人へ連絡して詳しい内容を聞く前に、まず担当の警察官や検察官へ情報を伝えてください。
この段階では、ご遺族が詳しい内容を聞き出そうとせず、次の事項を記録する程度にとどめましょう。
連絡を受けた日時
相手の氏名と連絡先
事故との関係
警察へ話してもらえるか
警察へ連絡先を伝えてよいか
ご遺族による説明や質問が目撃者の記憶に影響を与えた、供述内容をすり合わせたなどと疑われることがないよう注意しましょう。
目撃者が話した具体的な内容を記録する必要が生じた場合は、ご遺族だけで聞き取りを進める前に、担当の警察官、検察官または弁護士へ相談してください。
警察や検察による事情聴取が行われない場合や、捜査機関へ伝えた内容を別途整理する必要がある場合には、弁護士に相談し、弁護士の立会いのもとで聞き取りを行う方法があります。
弁護士による聞き取りも、相手の同意に基づく任意のものです。
聞き取った内容を報告書にまとめる場合は、完成後に話をしたご本人へ内容を確認してもらい、本人の署名や押印を受ける方法もあります。
報告書は、その後、告訴・告発や民事裁判などの資料として使用することが考えられます。
聞き取りの目的や報告書の使い方については、弁護士と相談しましょう。
捜査中や刑事裁判が始まる前は、まず警察や検察官へ情報を伝え、目撃者などへの聞き取りが必要な場合は、事前に担当の警察官、検察官または弁護士へ相談してください。
事故を目撃した方や、事故の前後の状況を知っている方の話が、事故状況を確認する手がかりになることがあります。
聞き取りを行う場合には、本人が記憶していることを、本人の言葉で話してもらい、話の内容を正確に記録しておきましょう。また現場で話を聞くことも一つの方法です。
聞き取りでは、次のような事項を確認します。
いつ、どこで、どのような状況を見聞きしたか
事故当時、どの位置にいたか
車両や歩行者をどの方向から見ていたか
周囲の明るさ、天候、交通量
車両の動き、音、ブレーキ音など
事故の前後に見聞きしたこと
時間の経過後に思い出したこと
警察などから事情を聴かれたことがあるか
分からないことや記憶していないことについて、無理に答えてもらう必要はありません。
交通事件では、事故当時の客観的な資料を収集し、確認することが重要です。
確認の対象として、次のようなものがあります。
防犯カメラやドライブレコーダーの映像
車両に記録された情報
現場周辺の正確な図面
道路の形状、勾配、見通し
信号サイクル
道路標識や路面表示
街路灯や周囲の明るさ
事故当時の天候・気温
車両の損傷状況
タイヤ痕や路面上の痕跡
実況見分調書や現場見取図
救急活動記録や医療記録
信号のある交差点で事故が発生した場合は、事故当時の信号の表示順序や、それぞれの表示時間が、事故状況を確認する資料になることがあります。
信号機は、原則として都道府県公安委員会・都道府県警察が管理しています。事故現場を管轄する都道府県警察の担当部署へ問い合わせるほか、情報公開制度や弁護士を通じた照会によって、事故当時の信号サイクルを確認できる場合があります。
信号の設定が事故後に変更されている可能性もあるため、現在の表示だけでなく、事故当時の設定を確認する必要があります。具体的な取得方法や資料の保存状況は、管轄する都道府県警察へ確認してください。
専門家による調査や鑑定を依頼する方法もあります。
必要な調査の内容に応じて、適切な専門分野を持つ人を選ぶことが重要です。
弁護士から専門家を紹介してもらえる場合もあります。ただし、必要な調査内容と専門家の得意分野が一致しているか、依頼前に確認することが大切です。
鑑定が重要になる場合
捜査機関や加害者側から、被害者にも事故の原因や大きな過失があったと説明されることがあります。亡くなった被害者は、自分の行動や事故当時の状況を説明することができません。
そのような場合に、映像、車両の損傷、道路状況、負傷状況、測量結果などを専門家が分析することで、被害者の行動、衝突状況、回避可能性などについて、客観的な観点から検討できることがあります。
私的鑑定は、捜査結果や加害者側の主張に疑問を示し、被害者側の立場から事故状況を検証するための手段です。警察や検察官へ資料として提出したり、民事裁判などで裁判所へ判断材料を示したりするために活用できる場合があります。
依頼前に整理すること
専門家へ相談する前に、次の事項を整理しておくと、必要な調査の範囲を伝えやすくなります。
何に疑問を感じているのか
何を明らかにしたいのか
警察や検察官からどのような説明を受けたか
どの説明と証拠が一致していないと考えるのか
どのような資料を保有しているか
鑑定結果を何に使用したいのか
いつまでに必要なのか
費用として負担できる範囲
必ずしも鑑定結果がご遺族の望んだ結果となるとは限りません。
最初から大規模な鑑定を依頼するのではなく、保有する資料で解析が可能か、まず相談や予備的な検討を依頼する方法もあります。
ご遺族や弁護士が依頼した鑑定は、一般に「私的鑑定」と呼ばれます。警察、検察官または裁判所が選任・嘱託した鑑定とは区別されます。
私的鑑定書は、次のような場面で資料として提出できる場合があります。
警察や検察官へ再捜査や追加捜査を求める
告訴・告発を行う
不起訴処分について検察審査会へ申し立てる
刑事裁判に関して検察官へ資料を提出する
民事裁判で事故状況や過失について主張する
専門家による調査や鑑定は有料であり、調査内容によって費用が異なります。
また、調査や鑑定には、経済的な負担だけでなく、精神的な負担が伴う場合もあります。
専門家による鑑定書を提出しても、刑事事件で証拠として採用されるか、どの程度重視されるかは、鑑定の内容や提出する段階などによって異なります。提出すれば、その結論がそのまま捜査機関や裁判所に採用されるものではありません。
専門家による調査や鑑定は、事故状況を検証し、捜査機関や裁判所へ判断材料を示すための重要な手段となる場合があります。何を明らかにしたいのか、結果をどのような手続に活かしたいのかを整理し、費用や心身への負担も含めて、弁護士や信頼できる方と相談しながら検討してください。
▶︎ e-Gov法令検索「犯罪捜査規範」
https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50400000002/
▶︎ e-Gov法令検索「弁護士法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205
▶︎ e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
▶︎ e-Gov法令検索「民事訴訟法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109