このホームページは、内容を随時更新しています。
交通事故の損害賠償は、必ず民事裁判を起こさなければならないわけではありません。
加害者側や保険会社との話し合いによって解決する「示談」を選ぶこともできます。
ご遺族の中には、
・裁判にかかる時間や費用を考えて示談を選ぶ
・事故について何度も向き合う精神的な負担を考えて示談を選ぶ
・できるだけ早く生活を立て直すことを優先する
という方もいます。
一方で、
・提示された賠償額に納得できない
・事故原因や過失について争いがある
・証拠を裁判所に見てもらいたい
・事実について裁判所の判断を求めたい
などの理由から、民事裁判を選ぶ方もいます。
どちらが正しいというものではありません。
賠償額だけでなく、「この手続で何を求めたいのか」を考えて選ぶことが大切です。
示談とは、裁判所の判決によらず、当事者同士の話し合いによって損害賠償などについて合意することです。
交通事故では、加害者本人ではなく、加害者側の保険会社や代理人弁護士と交渉することもあります。
示談では、例えば、
・損害賠償額
・過失割合
・支払方法
・支払時期
などについて話し合います。
双方が合意すれば、示談書や免責証書などを作成して解決します。
示談では、裁判に比べて早期に解決できる可能性があります。
また、
・裁判所への出廷を避けたい
・尋問などの負担を避けたい
・裁判が長期間続くことによる精神的負担を減らしたい
という理由から示談を選ぶこともあります。
「これ以上、事故について争い続けることがつらい」という気持ちも、示談を選ぶ一つの理由です。
示談を選ぶことが、事故を軽く考えたり、加害者を許したりすることを意味するものではありません。
示談は、一度成立すると原則としてその内容に拘束されます。
そのため、署名する前に、できる限り損害や事実関係を確認しておくことが大切です。
例えば、
・慰謝料
・死亡逸失利益
・葬儀関係費などの損害項目
・既に支払われた自賠責保険金や任意保険金
・過失割合
・遅延損害金
・刑事記録などから確認できる事故の事実関係
・示談後に追加請求できない内容になっていないか
などを確認します。
保険会社から提示された金額が、裁判をした場合に認められる可能性のある金額と同じとは限りません。
示談書に署名する前に、弁護士などに内容を確認してもらう方法もあります。
民事裁判では、ご遺族側が原告となり、自分たちの主張と証拠を裁判所に提出することができます。
そのため、「賠償額だけでなく、事故の事実についても主張したい」という場合には、民事裁判を選ぶ意味があることがあります。
事故原因、速度、過失、事故後の行動などに争いがあれば、それらについて主張し、証拠を提出して裁判所の判断を求めることができます。
必要に応じて証人尋問や当事者尋問を申し出ることもできます。
ただし、どの証拠を取り調べるかは裁判所が判断します。
民事裁判を起こしたからといって、必ず判決まで進まなければならないわけではありません。訴訟の途中で話し合いを行い、「裁判上の和解」によって解決することもあります。
裁判上の和解については、別のカードで詳しく説明します。
「示談したいけれど、保険会社との話し合いがまとまらない」という場合には、当事者だけで交渉を続ける以外にも方法があります。
公益財団法人 日弁連交通事故相談センターでは、弁護士が公正・中立な立場で双方の間に入り、示談成立を支援する「示談あっせん」を無料で行っています。
これは裁判ではなく、示談による解決を支援する裁判外の手続です。
2025年度(令和7年度)の実績では、
・平均開催回数 1.56回
・成立率 87.3%
と公表されています。
相談から示談あっせんまで無料です。
ただし、利用できる事故や手続には条件があります。
【参考】公益財団法人 日弁連交通事故相談センター「示談あっせん・審査」
公益財団法人 交通事故紛争処理センターでも、自動車事故の損害賠償について、法律相談、和解あっせん、審査を無料で行っています。
交通事故に詳しい弁護士が中立・公正な立場で双方の主張を聞き、和解案を提示します。
和解あっせんでまとまらなかった場合には、一定の条件のもとで「審査」を申し立てることもできます。
死亡事故の場合には、法定相続人が申立人となります。
ただし、対象となる事故や保険会社などに条件がありますので、利用前に確認してください。
【参考】公益財団法人 交通事故紛争処理センター「ご利用について」
裁判所には「民事調停」という手続もあります。
民事調停は、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、裁判官と調停委員が間に入り、話し合いによる合意を目指す制度です。
裁判所は、交通事故をめぐる紛争も民事調停の対象として案内しています。
当事者だけでの示談交渉が難しいものの、すぐに判決を求める裁判までは考えていない場合などには、検討できる方法の一つです。
【参考】裁判所「民事調停」
交通事故の損害賠償には、主に次のような進め方があります。
当事者間で話し合う
→ 示談交渉
第三者に間に入ってもらい、示談・和解を目指す
→ 日弁連交通事故相談センターの示談あっせん
→ 交通事故紛争処理センターの和解あっせん
裁判所で話し合う
→ 民事調停
裁判所に判断を求める
→ 民事訴訟
また、民事訴訟を始めた後でも、途中で裁判上の和解を選ぶことができます。
解決方法を選ぶときには、
・できるだけ早く解決したい
・費用を抑えたい
・精神的負担を減らしたい
・賠償額を十分に検討したい
・事故の事実について裁判所の判断を求めたい
など、ご自身やご家族が何を優先したいのかを考えることが大切です。
どの方法を選ぶかによって、「事故に対する思い」が決まるわけではありません。
それぞれの制度の特徴を知ったうえで、納得できる方法を選ぶことが大切です。
■ 裁判所「民事訴訟」
民事訴訟の概要、判決による解決、訴訟途中の和解などについて説明されています。
■ 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」
訴訟途中の和解や、和解調書の効力などについて説明されています。
■ 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター「示談あっせん・審査」
交通事故の無料示談あっせん、対象となる事故、利用方法、実績などが掲載されています。
■ 公益財団法人 交通事故紛争処理センター「ご利用について」
交通事故の損害賠償について、法律相談・和解あっせん・審査を無料で行うこと、死亡事故では法定相
続人が申立人になることが明記されています。
■ 裁判所「民事調停」
交通事故を含む民事上の紛争について、裁判官と調停委員が間に入り、話し合いによる解決を目指す制度として説明されています。
(2026年9月5日確認)