中村研究室(兵庫県立大学大学院 情報科学研究科)
非線形データ解析 ~データから読み解く現象の内面の姿(見えている、知っている世界が全てじゃない)~
非線形データ解析 ~データから読み解く現象の内面の姿(見えている、知っている世界が全てじゃない)~
中村研究室は、不規則に見える現象の背後にある「見えない仕組み」を、データ解析によって解き明かすことに取り組んでいます。 例えば、電流のゆらぎ、気温の変化、為替変動など、時間とともに変化するさまざまな現象を対象としています。これらに対して、1/fノイズの発生機構の解明や、サロゲートデータを用いた統計的検定などを通じて、現象の背後にある構造を明らかにしようとしています。
現象そのものを直接調べることは難しいため、私たちはそれらを観測し、データとして捉えます。データには現象に関する多くの情報が含まれますが、それ自体は単なる数値の集まりにすぎません。そこから規則性や構造を見出し、意味のある情報として読み解くことで、はじめて現象の理解に至ります。データ解析は、現実世界で起こるさまざまな現象から得られる膨大なデータに対して、経験や知識、コンピュータを用いて数学的・統計的な処理を行う応用数学の一分野です。
データ解析の対象は、生体、社会、気象、経済、地震、宇宙など、非常に多岐にわたります。これらの現象は多くの場合、不規則に変動し、複雑な振る舞いを示します。しかし、その仕組みが十分に解明されていない場合も少なくありません。さらに、対象を直接、あるいは自然な状態のままで詳しく調べることが難しい場合も多くあります。そのため、観測データは、現象に迫るための重要な手掛かりとなります。本研究室では、このような複雑な現象に潜む特徴や仕組み、言い換えれば、現象の内面の姿を、観測データに基づいて明らかにすることを目指しています。複雑な振る舞いの背景には、複数の要因が影響し合うことや、時間遅れや非線形性が関係していることが知られています。さらに、時間の経過とともに現象を生み出す仕組み(システム)やそのパラメータが変化する非定常性も、重要な要因の一つです。これらを適切に扱うことは容易ではありませんが、こうした要因が現象の本質に迫るための重要な鍵であると考えています。この視点は自然科学から社会現象に至るまで、幅広い分野に共通して適用できる可能性を持っています。複雑な振る舞いを示す現象に対して、複数の要因や時間遅れ、非線形性、非定常性を考慮したデータ解析に取り組んでいます。
中村研究室では、このようなデータの解析を通じて、その特徴を明らかにするとともに、データのみから現象の振る舞いを再現し、将来を予測するモデルの構築に取り組んでいます。また、新しいデータ解析手法や、現実をより反映したモデルを構築するための方法の開発も行っています。可能であれば、見本や手本のない研究をしたいと考えています。それは、誰も気づいていない扉を見つけ、それを開くような研究です。私は、考え方そのものを考えたり生み出したりすることが好きです。人と違う考え方からは人と違うものが生まれ、新しい考え方からは新しいものが生まれると考えています。ですから、私の行っている「データ解析」は、数学とコンピュータとデータを用いた、一種の哲学的探究であると言えるかもしれません。このような研究を通じて、複雑な現象を数理的に捉え、データから本質を読み解く力を身につけることを目指しています。
現在、主に以下のアプローチで研究を行っています:
研究キーワード:時系列解析、統計的モデリング、力学系・動的システム、非線形現象、最適化問題、ネットワーク理論