研究で使用したデータ
data used for my research
私の研究では、その時々の目的に応じて、色々な時系列データを使用します。下記が、これまで発表した論文の中で使用した実データです。
日次、月次、年次の太陽黒点
ネオジムヤグレーザー (neodymium-doped yttrium aluminum garnet laser)(Henry Don Isaac Abarbanel 教授から提供)
核磁気共鳴レーザー (Nuclear Magnetic Resonance (NMR) laser)
心電図
心拍数
脳波(Paul E. Rapp 教授から提供)
コバルトのガンマ線放射(Alfonso M. Albano 教授から提供)
日次、ティックの為替レート
日次の原油価格
日次の金価格
株価(S&P500、日経平均など)
月次の世界平均気温
日次の東京の最高気温
気象(気圧、気温、湿度、露天温度、蒸気圧)
重心動揺
イチローの打率
日本語の母音/あ/
地震波
プラズマデータ(京都大学の稲垣 滋教授から提供)
最近は、プラズマと1/fノイズのデータに特に興味を持っています。
プラズマの実験データに関しては、京都大学 エネルギー理工学研究所の 稲垣先生 にとてもお世話になっています。稲垣先生によると、プラズマ現象には、非常に局所的な構造があるが、その構造を確認することが容易ではないそうです。また、短い周期、長い周期、その中間程度の周期が混在する現象で、非常に扱いにくい現象だそうです。私は、それらの問題に主に取り組んでいます。
私が主に使っている1/fノイズは、カーボンファイバーや半導体といった電気伝導体から測定したデータです。1/fノイズは、パワースペクトル密度が周波数に対して反比例するノイズで、約100年前の1925年に真空管を流れる電流の低周波雑音として初めて報告されました。その後、ほぼ全ての電子素子の電流が1/fスペクトルを持つことが確認されています。また、電子素子以外の心拍数や脳波なども1/fスペクトルを持つことが分かっています。様々なものが1/fスペクトルを示すことが分かっていますが、その発生原因には未だに分からないことが多いです。
最近では、次世代の高速計算機として注目されている量子コンピュータにおいても、1/fノイズのことが話題になっています(例えば、以下の記事をご覧ください。超伝導量子ビットシステムの研究開発、グーグルが3種類目の量子コンピュータ開発へ、半導体量子ビットの能動的な雑音抑制に成功)。量子コンピュータの実現には、「量子ビット」の実現が非常に重要です。ここで量子ビットとは、「0」と「1」が「重なり合った状態」で同時に存在するビットのことで、量子ビットにおいて「0」と「1」が重なり合った状態で同時に存在する時間のことをコヒーレンス時間と言います。しかし、1/fノイズのせいで、コヒーレンス時間が短くなっているそうです。つまり、1/fノイズの発生原因を突き止めたり抑えたりすることが、量子コンピュータの開発に貢献することになります。
ですから私は、1/fノイズは古くて新しい問題だと思っています。