自分の研究であるデータ解析について思っていること
what I think about data analysis in my research

私は数学とコンピュータの力を借りて行う「データ解析」の研究を主にしています。私が考えるデータ解析は、経験と知識とデータとコンピュータを活用し問題解決や問題発見に取り組むことです。データ解析は、物事を理解しようとする取り組みの1つです。データ解析には、数学的・統計的な計算が必要ですが、そのような計算はデータ解析を支える行為の1つに過ぎません。言葉では言い表せないような直観が働いたり、ああでもないこうでもないと色々と考えたり、思いもしなかったことに気付いて喜んだり、逆に簡単なことに気付けなかったり変な勘違いをしたりして自分に腹を立てたり、そういった全てがデータ解析を支えていると思っています。
データ解析(広い意味で言えば、統計学データサイエンス)は、「縁の下の力持ち」や「黒衣」のような存在で、とても地味な研究だと思っています。そんなデータ解析の研究や勉強をするきっかけや理由は、大雑把に分けると、
1. データ解析そのものに興味がある、
2. やりたいことに必要だから、
のどちらかになると思います。おそらく、2に当てはまる人の方が圧倒的に多いと思います。私も最初は2でした。でも、今は1の方が大きいです。最初からデータ解析に興味を持つ人もいるでしょうが、そういう人は少数派のように思います。データ解析の重要性や面白さに気付いたり目覚めたりするのは、ある研究をしていて、その研究ではオマケのようなデータ解析をやってみた後にやってくることが多いように思います。それは、ある意味、自然なことだと思います。



分析と解析の違い
私はデータ解析と言うことが多いですが、データ分析と言う人も多くいます。そこで、分析と解析を辞書などで調べると、多少の違いはありますが、概ね
  分析:物事の構成要素を明らかにすること、
  解析:物事の構成要素を詳しく調べること、
という意味のようです。このように、分析と解析には日本語として微妙な意味の違いがあることは分かりますし、その違いに注意して分析と解析を使い分けている人もいると思います。ある要素が存在していることが分からなければ、その要素のことを詳しく調べることはできません。その逆に、要素の特徴が全く分からなければ、どんな要素がそこに存在しているのかを調べることもできません。そう考えると、分析と解析は別々の言葉と言うよりも、非常に密接に関係し合っていて、1つの言葉として使った方が良いように思います。実際、英語では分析も解析も“analysis”です。そのため、私は分析も解析も同じ意味を持つ言葉として使っています。つまり私は、物事の構成要素を明らかにしたり、その要素の特徴を詳しく調べたりする意味を持つ言葉として解析(または分析)を使っています。