選者4名 今村博子(東京未来図), 小高和子(東京未来図), 吉岡御井子(香川未来図) , 村山由斉(香川未来図)
<特選>
6. 草泊阿蘇の裾野に牛帰る 村山由斉
・草泊とは珍しい季語で阿蘇山のような裾野の広い草原の草を刈って家畜の飼料にする、その折現地に仮小屋を建てて寝泊まりをする風習があった。秋の季語になっていて雄大な阿蘇山の様子が見えてくる。
<秀句>
69. 塩スプーンのイグ・ノーベル賞雲の峰
<佳作>
25. 鍬肩につるべ落としの畦辿る
31. 折詰にちさき醤油や紅葉晴
43. 枝豆をはんぶんこして別れけり
49. 柿すだれ夜眼にもほのか薄明かり
59. 胡麻叩くかほど小さき実りかな
<特選>
49. 柿すだれ夜眼にもほのか薄明かり 村山恵
・渋柿のかわを剥いて日差しと風を確りうけるための吊るし柿、昼間にはあざやかなオレンジいろが見える、夜にも作者にはかすかに柿すだれさが見えて気持ちがあかるく、明日へのエネルギー源となったのでしょう!昼と夜のこころ模様がよみとれ優れたさくひんである。
<秀句>
64. 大夕焼け影絵となりて鳥渡る
<佳作>
2. いつの間に卒寿を過ぎて花野ゆく
20. 街道の人恋しげな曼殊沙華
25. 鍬肩につるべ落としの畦辿る
43. 枝豆をはんぶんこして別れけり
46. 松茸や香り残して隠れんぼ
<特選>
50. 闇道にひかり編み込む女郎蜘蛛 吉岡御井子
・闇夜にきらりとひかる蜘蛛の巣の凄さが「ひかり編み込む」でよくわかる。女郎蜘蛛の妖しさが伝わってくる。
<秀句>
23. 錆止めの赤屋根迫る残暑かな
<佳作>
6. 草泊阿蘇の裾野に牛帰る
31. 折詰にちさき醤油や紅葉晴
40. 水澄めり六十余年を連れ添ひて
49. 柿すだれ夜眼にもほのか薄明かり
57. 手明かりや夜なべの妻の鼻眼鏡
<特選>
59. 胡麻叩くかほど小さき実りかな 小高和子
・いつものようではない。不思議なほどに大きな影響が気候変動にはある。毎年育て収穫してきた胡麻なのだろうか。今の憂いをひときわ感じさせる秀句である。
<秀句>
8. 人間に等級がつく文化の日
<佳作>
7. 耳元に鈴振るやうや虫時雨
29. 小流れに萩ゆつたりと影落とす
37. 人語なき岬たゆたふあきあかね
43. 枝豆をはんぶんこして別れけり
82. 外出の妻に腕かすつくつくし