主な研究成果

植物細胞の微小管はどのようにつくられているかを発見しました

「微小管」は細胞内の微細な繊維で、細胞が自分自身の方向性(細胞極性)を作ることや、細胞内小器官の輸送に働きます。微小管が働くためには、微小管自身が秩序だった構造をつくることが重要です。動物細胞の場合、「中心体」と呼ばれる構造から微小管が生まれ、この微小管を核として秩序だった構造がつくられます。植物細胞は中心体を持たないため、微小管がどこから生じ、どのように秩序だった構造が作られるのかは謎でした。

私達は、新しく生まれる微小管は現存の微小管の上で生じることを証明しました。多くの場合、新しい微小管は斜め40°の角度で伸び出します。今後の課題は伸び出した微小管がどのようにして秩序だった構造を作るかです。

Murata et al. (2005) Nature Cell Biology 7, 961 - 968


植物細胞が2つに分裂するしくみを明らかにしました

動物の細胞は2つにくびれて分裂しますが、植物の細胞は仕切り「細胞板」を作って分裂します。細胞板は2つに分かれた細胞核の間にでき、細胞の表面に向かって伸び、細胞を2つに分断します。細胞板は微小管でできた構造体「隔膜形成体」の中で作られますが、細胞板がどのようにして伸びるのかは分かっていませんでした。

私達は、微小管があたかも繊維を編むようにして伸び出し、その結果として隔膜形成体が成長することによって細胞板が大きくなることを発見しました。今後の課題は微小管を局所的に束ねたり壊したりする分子を同定することです。現在、候補となるタンパク質の解析を行っています。

Murata et al. (2013) Nature Communications 4, 1967