2024年度後期音響文化論演習における西原尚さんによるサウンド演習の記録(全5回)
TA川村隆太郎さん(M1)によるレポート
TA川村隆太郎さん(M1)によるレポート
おそらく今回参加した学生のほとんどは、普段音楽を聴いたりすることはあっても、この演習で知ったり実践したりしたような形で「音」に注意を向けたり、それと能動的に関わりを持ったりということは今までなかったのではないかと思う。 そんな中で、自分の興味に従って、実際に手を、体を動かし、そこから現れてくる音に耳を傾けたり、他の人が自分とは違う興味に従って制作したものを鑑賞したりするこの時間は、音楽を聴いたり、その他の創作物を鑑賞したりするのとは違う、それとは別の(当人たちにとっては新しい)楽しさや面白さを見つける機会になったのではないか。 短い期間での慌ただしいものであったとはいえ、また全員が今後こうした「音を使った表現の実践」を続けていくわけでなくともーーもちろん続くのならそれもまたよいことであるがーーこの体験によって、西原さんが述べていたように「間口が広がり」、世界の知覚の仕方や、それに伴う行動の仕方には何らかの不可逆的な変化が起きたであろうし、そうであればこの演習は有意義なものであったと言えるだろう。
この回から、西原尚さんを招いたサウンド演習が始まった。
今回は、今後の各自の制作の方向性を決めるためのガイダンスとして、ベルトイアやティンゲリーの音響彫刻からクービッシュの“Electrical Walks”、鈴木明男の「アナラポス」まで、様々な「音を使った表現の実践」が紹介された。
当初この演習ではサウンドウォークを行う予定であったが、西原さんが提案したこのように多様なアイディアを受け、サウンドウォークを含めた「音を使った表現の実践」を西原さんのサポートのもとで行うという方向性に切り替えた。
授業後には、これを受けてFormsに各自の希望を記入していき、Discord上で西原さんと相談を行なった。
(この回の記録物は僕のメモ・落書きがされたこのプリントしかなかったので適宜置き換えてください。)
この回から、西原尚さんを招いたサウンド演習が始まった。
今回は、今後の各自の制作の方向性を決めるためのガイダンスとして、ベルトイアやティンゲリーの音響彫刻からクービッシュの“Electrical Walks”、鈴木明男の「アナラポス」まで、様々な「音を使った表現の実践」が紹介された。
当初この演習ではサウンドウォークを行う予定であったが、西原さんが提案したこのように多様なアイディアを受け、サウンドウォークを含めた「音を使った表現の実践」を西原さんのサポートのもとで行うという方向性に切り替えた。
授業後には、これを受けてFormsに各自の希望を記入していき、Discord上で西原さんと相談を行なった。
(この回の記録物は僕のメモ・落書きがされたこのプリントしかなかったので適宜置き換えてください。)
前回以降集計した各自の興味に合わせて、今回も実演も交えつつ、レインスティックや「ピンデカン」、鼻笛といった多様な事例が紹介された。
西原さんは、自分にはリズム感がなく、思うように音を出せないため、叩く楽器よりも吹く楽器の方が好きだという(実際、吹く楽器の事例が多かった)。
西原さんは、音を楽しむという体験をし、音が好きになることで、「自分の間口が広がる」ことが大切だと語った。
授業の最後には、これから作る作品のコンセプトや形態などを「制作メモ」へ記入していった。
この回から二回は、西原さんのサポートを受けつつ、具体的な制作を行った。
材料は、各自で用意したものや西原さんが用意したものを使用した。
西原さんはスーツケースいっぱいに材料や音具を詰めて来ており、下のオーシャンドラムのスネアドラムや小豆、電磁気マイクなどはその一部である。
西原さんは、横国で演習を行うのは初めてなので、とりあえず「やってみる」ことを大事にして、「うまくまとまらない方向に持っていきたい」と語った。
二回目には、プレゼンテーションの際に用いるレジュメの形式なども発表された。
これまでの制作の成果の発表・講評を行なった。
サウンドウォークを行なったものから、サウンドスケープ・コンポジション的なもの、身体表現を取り入れたものから、心地よい音が鳴る音具まで、各々の関心に従った、多種多様な制作物をみる(きく)ことができた。
意図が成功しているものもそうでないものもあったが、西原さんは、単なる評価だけではなく、テクニカルな部分も含めた、今後の改善点や展開の可能性についての助言を行なった。
西原さんはDiscord上で、「今回のプレゼンテーションが終わったらすぐに捨てるような物は、作らない方が良いです」と語っていたが、西原さんの講評やこうした発言からは、この演習での体験を通じて、これからも音に関心を抱き続けてほしいという願いが感じられた。
こうして、全5回のサウンド演習が終了した。