2026年6月19日公明新聞コラム「北斗七星」
「おお臭い」。夫の体臭を嫌った妻が、舌打ちしながら部屋を出た。歌人にして精神科医だった斎藤茂吉とその妻、輝子の逸話だ。身につまされる思いをする人もいるかもしれない◆その2人はNHK連続テレビ小説で「朝ドラ史上最も不仲な夫婦」として描かれる。2028年春から放映される「ほんのモキチ」だ。茂吉は輝子との欧州滞在の思い出を随筆『妻』につづっている。<「日本の梅干ねえ」「何だ」「おいしいわねえ」……今までに経験しなかった一つの感情を経験した>。何気ない短い会話に言葉を超えた愛情がにじむ◆父親としての茂吉はどうだったのか。次男は昆虫好きで動物学を志したが<私を打ちのめし、粉々にし、おまえは絶対に医者になれという炎のごとき手紙を寄こし>て反対された。作家で精神科医の北杜夫の著書『どくとるマンボウ青春記』からは父に対する愛憎の葛藤が読み取れる◆北は医師国家試験を前に、茂吉の訃報を受けた。夜汽車の中で父の歌集『赤光』を開いて<父に対して抱いていた感情は、また或る種の強い愛であったことを更めて反芻した>◆もうすぐ「父の日」。父と子の関係はいろいろあるが、家族のために頑張る世のお父さんに愛を。(川)
AI解説2026.6.20土
ほんのモキチ『ほんのモキチ』は、2028年度前期(春)から放送予定のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)第118作目のタイトルです。2026年6月4日にNHKから制作発表が行われました。日本を代表する歌人・精神科医の斎藤茂吉と、その妻・輝子をモデルに、大胆なフィクションとして再構成されたオリジナル作品です。朝ドラ史上「最も不仲な夫婦の物語」として描かれます。💡 作品の概要ヒロイン(杜テル子 役):河合優実(大病院の娘として生まれ、悪妻と呼ばれながらもひたすら自由に生きた主人公)夫(杜モ吉 役):実在の斎藤茂吉がモデル。配役は順次発表予定です。脚本:宮藤官九郎(2013年『あまちゃん』以来、15年ぶりの朝ドラ執筆)タイトルの由来:大黒柱の偉人でありながら家庭では小さな立場のモ吉を指す「ほんの小さなモキチ」という意味と、人の「キモチ(心)」の健康をテーマにしたドラマであることの2つの意味がかけられています。📖 どんな物語?物語の舞台は明治から昭和にかけての大病院。病院を経営する家に生まれたやたら前向きな令嬢・テル子のもとに、山形から婿養子としてやってきた神童・モ吉が嫁ぐことから始まります。気が合うはずのない2人は、関東大震災や戦争といった激動の時代を共に生き抜きますが、一向に歩み寄ることはなく、病院名物となるほどの派手な夫婦喧嘩を繰り広げます。「家族のため・夫のため」ではなく「自分のために生きる」テル子の姿を、宮藤官九郎さんならではの笑いたっぷりな喜劇として描く痛快な人間ドラマです