ジャンダルム
山に魅せられ、山を描く。
日本山岳会スケッチクラブ 本間渡
絵が好きで、山が好きで、
小さなスケッチブックを持って日本各地の山を歩いてきた。
北は利尻岳から南は屋久島の宮之浦岳まで、
いわゆる日本百名山も完登してきた。
ばてたことを隠すように休憩と称してスケッチブックをひろげ
青い空と白い山、深い緑の森や霧の流れなどを描いてみる
樹林帯から望む遠くの山も、山道の小さな高山植物も、
山小屋から見るモルゲンロートも白銀のモンスターを行く登山者も
夕日に色づく岸壁も、山ではモチーフに事欠かない。
若い時は油絵を描いていたが、今は透明水彩を中心に描いている。
水をたっぷり使いウエットインウェットで描く。
透明水彩の自然にできたぼかしやにじみ、
偶然できた色の重なりが気に入っている。
スケッチの良いとこは、時間をさかのぼって
登った山や ザイルパートナー、
そこから見たパノラマや岩肌の感触まで
思い出させてくれるから。
そう、ふしぎな色付きのタイムマシーンのようなものだ。
古いスケッチを見ると、昔の山行をなぜか詳細に思い出す。
時間があるとき、じっくりと大きな水彩紙に描きなおす。
水彩画もなかなか思い通りにはいかない。
思い通りにいかないから面白いのかもしれない。
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