FETの使い方について
FETとは
Field effect transistor(電界効果トランジスタ)の略。
トランジスタは電流で制御するが、FETは電圧で制御する。
ようは電気でON/OFFできるスイッチのような素子である。
なぜFETが必要か
マイコンを使ってLEDを光らせることを考えよう。
マイコンが流せる電流は数mA、多くても数十mAである。
ところが、マイクロマウスの壁センサに用いる赤外線LEDは数百mAから1A程度電流を流さないと十分に壁を認識できるほどの光量が出せない。
こういった場合、FETを用いてLEDをON/OFFする必要がある。
NチャンネルとPチャンネル
FETにはNchFETとPchFETがある。
それぞれネガティブとポジティブの頭を取ってNとPに分けられており、なにが違うかというと電流が流れる向きが違う。
一般的にはNchのほうが安くて性能が良くて種類が豊富。
端子
D(ドレイン)、S(ソース)、G(ゲート)の3つに分かれている。
Nchの場合、Gに電圧をかけるとDからSへ電流が流れる。
アルファベット順の向きに流れると覚えよう。Pchは逆。
回路例
LEDを光らせる
R1はLEDの電流を制限する抵抗。LEDの順電圧と流したい電流から決めよう。
R2はプルダウン抵抗。光って欲しくない時に光らないようにするために付ける。10kΩ~100kΩ程度。
マイコンからHighを出力するとFETがONになりLEDが光る。
電源スイッチ
マイクロマウスでは小型のスイッチが使われる事が多い。
しかし、小型のスイッチでは定格が0.3Aといった小さいものしかなく、瞬間ではあるが定格を超えて使用することになる。
そこで、スイッチの代わりにPchFETを使おうというのがこの回路である。
- 小さいFETでも数A流せるものもあり、定格を守ることができる
- スイッチに比べて抵抗が小さい
動作としては、スイッチをONにするとゲートがGNDに接続され、ソースとの電位差が生まれ、FETがONになる。
スイッチをOFFにするとゲートはプルアップ抵抗R1を介してソースと同電位となり、FETがOFFになる。
注意点として、FETはOFF状態でも僅かに電流を流してしまうので、長期間放置する際はバッテリを抜いておくこと。
データシートの読み方
FETを選ぶとき、以下の点を見ること。
- ドレイン電流(どれくらい電流を流せるか)
- ドレイン-ソース間電圧(ドレインに掛けていい電圧)
- ゲート-ソース間電圧(ゲートに掛けていい電圧)
このときの掛けていい電圧の基準はソースとなる。
- ゲートしきい値電圧(何V以上ゲートに電圧を掛ければFETがONになるか)
- ドレイン-ソース間オン抵抗(ONになっている時のFETの抵抗値)