ロボットによるマニピュレーションは機械設計,画像処理・認識,触覚・力覚などの各種センサ,運動制御,運動・把持計画など多様な幅広い技術のインテグレーションによって実現されます.関わる研究者のバックグランドも多様であり,必ずしも全ての領域に精通しているわけではありません.SICE-SI部門マニピュレーション部会では,マニピュレーション研究に関わる,あるいはこれから新規参入しようと考えている研究者・技術者・学生をターゲットとして,ロボットマニピュレーションのための知識を提供し,技術力の底上げすることが重要と考え、毎年冬時期に「マニピュレーション冬の学校」を開催してきました.
今年度は,開催時期を冬から初秋に遷して「マニピュレーション秋の学校」として装い新たに開催することになりました.今回は,現在マニピュレーション分野の最前線で活躍されている講師の先生方5名より,最新の研究内容についてご紹介いただきます.
また,秋の学校の終了直後より,同会場において「ロボットでどのようなビジネスをどのように展開すべきか?:ロボット事業化のための金産官学連携検討」と題したOFが開催されます.マニピュレーション技術を念頭に置いたビジネス展開に関するOFですので,合わせてご参加頂ければ幸いです.
2024年9月3日(火)12:30-15:00
大阪工業大学梅田キャンパス,会場5,3F大ホール(対面のみ)
無料.
こちらのフォームより参加申し込みを行ってください.
https://forms.gle/3tPacYnw5WixAiLb8
参加申し込み期限:2024年9月2日 (月)
対面のみの開催です.会場まで直接お越し下さい.
⚫ 講演1(12:30~13:00)
「脳卒中患者の手指運動機能再獲得支援に向けた取り組み・手指リハビリテーションロボット研究」
荒田 純平 先生 (九州大学 教授)
概要:脳卒中では,末梢である手指は運動障害が生じやすく残りやすい.どのように手指運動機能を回復に導くのかは,神経生理学的な機序が明らかで無く,大きなチャレンジを伴う.本講演では,ロボットを用いた治療提供の取り組みを紹介する.
⚫ 講演2(13:00〜13:30)
「模倣学習を用いた位置・力制御による人間レベルの不定形環境操作」
境野 翔 先生 (筑波大学 准教授)
概要:私達はバイラテラル制御と呼ばれる力覚フィードバック可能な遠隔操作を利用して,人間の技能動作をロボットに教示して再現するAIを開発しました.本技術により,人間並みに速くなめらかな動作と環境適応を両立させることができます.
⚫ 講演3(13:30〜14:00)
「包み込み式ソフトロボットハンド(ROSE)の開発とその果実の収穫へ応用」
Van Ho 先生 (北陸先端科学技術大学院大学 准教授)
概要:把持物はサイズ,形状など様々であり,ロボットハンドと把持物の双方にとって破損のリスクを高める.特に破れやすい空気圧式ソフトロボットハンドにおいては,少しの傷であっても使えなくなる.そこで低接触圧で万能に物体を把持できる新しいソフトロボットハンドを開発した.果実の収穫マニピュレーションへの応用を紹介する.
⚫ 講演4(14:00〜14:30)
「多様な情報を組み込んだ力制御による器用なマニピュレーションへの挑戦」
有田 輝 先生 (九州大学 准教授)
概要:ロボットに器用さを獲得させることは長年の課題である.本講演では,器用さの獲得における力制御の重要性に触れる.さらに,力制御の可能性を広げるために,多様な情報を力制御に組み込む新たな制御フレームワークを紹介する.
⚫ 講演5(14:30〜15:00)
「把持安定性の基礎と今後の展開」
辻 徳生 先生 (金沢大学 准教授)
概要:把持安定性の指標は,把持動作計画のために研究されてきた.これらの古典的な手法について一通り紹介し,今後のマニピュレーション分野での役割について考える.