2024年8月29日から6日間にわたって行われた、セブ島での海外フィールドワークの思い出を紹介する。
セブ島と聞けば、透き通った海に広がるリゾート島をイメージする人が多いであろう。自分も整備されたきれいなリゾート地が広がっているものであると思っていた。しかし、マクタン空港着陸直前にワクワクしながら飛行機の窓から景色を見ると、海辺に広がるスラム街というイメージとは真逆の景色が広がっていた。空港からセブ市内に向かうバスからも、もはや水が流れているとは言えないような黒くドロドロになった川や今にも壊れそうな住宅の貧困地域が道路沿いに続いている。(もちろんしっかりとしたリゾート地もある。)日本の整備された街や衛生環境を当たり前として育ってきた自分は、セブ島の慣れない景色・環境に、正直初日は少しビビっていた。
このような貧困地域で暮らす人々はハッピーではないと勝手に思い込んでいた。カルボンマーケットを探索しにいった際、近くの海辺のスラム街にも足を運んだ。事前に調べたネット情報では、「治安が悪い、スリが多い」などのネガティブな情報が多かったためかなり警戒していた。しかし、実際にはそんなこともなく、むしろ昼間から、現地住民同士で談笑したり、カードゲームをしたりとスラムの人々の表情は明るかった。また、Hi!と気さくに声をかけてくれる人が多かった。(明らかに観光客っぽかったからかもしれないが )貧しさなどは関係なく街の住人同士近い距離で、のびのび生活している印象だった...。今回は、ただ歩いただけだっただけで表面的な部分しか知ることができなかったが、いつかはより深く知ってみたい。貧しいことはよくないものであると思っていたが、感じ方や状況などによりそんなこともないのではないかと思い、いろいろ考えさせられた。
セブ島は、言葉で鮮明に表現できないが、人・雰囲気のゆるさが個人的には好きでクセになると感じた。実際に行ってみてセブ島の観光は主に自然アクティビティに限られて、市内観光などはそこまで多くのオプションはなく、事前にツアーに申し込むなどが必要になってくるため、無計画な旅行プランでは少々退屈するかもしれない また、セブ観光を知るにつれて、観光に依存した地域社会の問題が見えてきたが、それは逆に魅力にもつながっていると思った。セブ観光は日本では感じられない現地の人々と近い距離で楽しむことができ、かつ明るく自由な雰囲気が魅力だと日数を経るごとに感じ、観光客として、非常に受け入れてくれている感じがした。(一番意外だったのが、ゴリゴリにタトゥーの入った強面のお兄さんたちが非常にジェントルマンだったことである。)以前のシンガポールフィールドワークの洗練された観光とはまた違った魅力がある。ジンベイザメのツアーに参加した際、ガイドのお姉さんが非常に気さくで自由だった。気づいたらどこかに行って現地のガイド仲間と楽しそうに談笑していた(笑)。ネイルをしてくれたお姉さんも、非常にマイペースな施術だったが優しかった。スーパーマーケットでは、会計のところに店員が多くいる割には、マイペースな接客で全然列が進まなかったが、誰も気にしていなかった(笑)。 デパートや飲食店など、関わった現地人はホスピタリティがありのびのびとした雰囲気を醸し出していて、労働の場でも辛そうに働いている人はあまり見られなかった。完全に個人的な見解だが、日本のように成長しきってしまった国は、さらなる完璧や効率を求め、疲れ切っているような気がする。このように効率を求めていない感じが、時間や少しのことでも気にする精神を忘れさせてくれた。
本日誌では、非常に抽象的なことしか言っておらず、セブの良さがイマイチ伝わらないかもしれないが、ぜひ行ってみて欲しい。セブを存分に楽しむことができるのはもちろん、自分の中の価値観が少し広がるかもしれない。
【文責:YN】