「櫻井和上法語
伊欄林のたとえ」
伊欄林のたとえ
お釈迦さまが、お父さまの浄飯大王さまに、こんなお譬えでお念仏をお勧めなさいました。
「一六〇里四方もある伊欄林という毒の木の林がありました。花や実を食べでもすれば、すぐ気ちがいになるほどでした。しかし、毒の林の中にたった一本あったゴズ栴檀が芽をだして、だんだん大きくなるにしたがって、毒の林のにおいは、良いにおいに変わってしまいました。伊欄林というのは、わたしたちのいかり、そねみ、ねたむ心のわずらいで、ゴズ栴檀とはお念仏です。称えるほどお念仏の功徳はおおきくなり、心のわずらいは喜びにかわり、仏の国に生まれることができるのです」と。
この教えを聞いて、大王さまはどんなにお喜びになったでしよう。おなじ教えに、末の世の私たちもともに救われるとは、なんとまァしあわせなことですなァ……ナムナムナム (つぶやきの念仏)
(真仏教122 号)
道徳と宗教
「あんた、この頃どうですナ」
「ハイ、朝起き会の方へいっています。そちらの先生の言われることと、和上さんの言われることと共通点がありますので」
「ほほう、程度の低い道徳の教えと、共通しとるとはたまらんなァ……」(しばらくお念仏ののちに)
「お経さんのなかには道徳はみんな宗教から出てくると書いてあります。この頃、道徳の衰えが問題にされていますが、戦後三十年、ものが豊かになって心の問題をおろそかにし、宗教なんどは本気で求めるひとがいなくなった。また、それに応ずる宗教もなくなった。ワシのちからも及ばんので、ナムアミダブツと申してまた出直してくるよりしょがないワ……ナムナムナム……(つぶやきの念仏)
(真仏教121 号)