藤本信義
2022.4.17(日)18:30~
はじめに:
今回は記念すべき第20回目です。
講師の藤本さんは、中央アジア、ウクライナ、ロシアなどに、仕事やプライベートで10回以上の渡航歴。全国通訳案内士(英語ツアーガイド)であり、邦日外国人旅行者を相手にしたプロの観光ガイドです。今日はプロのガイドによる無料ツアーとなります。私たちが「ロシア民謡」といっているものは、古い民謡の節の抑揚を使い西洋音楽の和音をつけて作られたもので、「ロシア歌謡」といわれるジャンルのものだそうです。藤本さんのレクチャーの中の、ロシア民謡「ステンカラージン」という曲を、私は初めて聴きましたが、東海林太郎の歌は凄みがあります。どうぞご注目を。
講師: 藤本信義氏(全国通訳案内士、日ロ交流協会会員)
内容:
中央アジアやスラブ世界の旅をしながら、多彩な音楽(クラシック、民謡、アニメソングなど) 歴史 文化 地理 等をご案内します。
オンラインならではの利点を生かして 東西1万キロ、高低差400キロの空間と1000年の時間を1時間で駆け抜けます。
日曜の夕方のひと時をバーチャル旅行でおたのしみください。
👉当日の内容をより良くみなさまにお伝えするため、
レクチャー後に藤本さんが「日ロ交流協会」の会報に寄稿した文章を、
協会とご本人のご承諾のもと、ここに一部転記させて頂きます。
藤本信義 記
「講師の依頼を受けたのは昨年の12月。そのころ開催されたリトアニア編やチェコ編などの東欧の講座に続けてロシア・ウクライナ編として構想していたのですがなんと皮肉なことでしょうか、2月には両国が戦争状態に入ってしまい、この内容での開催が難しくなってしまいました。しかし、長い歴史を持つ音楽、多くの人々の交流が支えた文化の力がわずかでも政治に翻弄される世界に対抗できるならばと思い、より広いユーラシア&宇宙編として講演内容を広げました。
ユーラシア&宇宙編とすることで、地域もロシア、ウクライナにカザフスタンと日本を加え旅する都市としても、宇宙にかかわりの深いバイコヌール、中央アジアの平原、サマーラ、モスクワ、ハバロフスク等をめぐる旅としました。
音楽については、クラシック音楽ではチャイコフスキー、ムソルグスキーから現代のショスタコーヴィチなどの逸話を紹介しました。人類最初に宇宙飛行したガガーリンが口ずさんだショスタコーヴィチの「祖国は聞いている」他、民族の融和を願ったボロディンの「中欧アジアの草原にて」やコーランの詠唱などのお話はクラシックファンの方にも新鮮な話題であったかと思います。
ロシア民謡では「ステンカラージンの歌」「ボルガの舟歌」「アムール河の波」など日本でもよく知られている歌の数々を取り上げました。
また、世界に広がる日本のアニメということで、エヴァンゲリオンの主題歌のロシア語版、ガールズアンドパンツァーの中で歌われたカチューシャ等を取り上げ幅広いジャンルの音楽を聴きながら、東西一万キロを一時間半で旅する「バーチャルツアー」を楽しんでいただく形で開催させていただきました。
5月の今日時点では戦争の行く末はわからず、日々多くの犠牲者が出ている中ではありますが、私たちは将来この悲しい分断を克服しなければなりません。音楽と旅と文化を守ることがその時、力になるようにと願います。その時には改めて、世界音楽の旅ロシア編Ver2をお届けしたいと思います」
本日使われた曲:
① ピョートル・チャイコフスキー ピアノ協奏曲第一番 1875年 ② モデスト・ムソルグスキー(五人組) 展覧会の絵 1874年 ③ アラム・ハチャトリアン 剣の舞 1942年 ④ ドミートリィ・ショスタコービッチ 祖国は聞いている 1950年 ⑤ アレクサンドロ・ボロディン(五人組) 中央アジアの草原にて 1880年 ⑥ ロシア民謡 ステンカラージン 18世紀~19世紀 ⑦ ロシア民謡 ボルガの舟歌 19世紀にバラキレフ(五人組)が採譜と言われる ⑧ アニメ エヴァンゲリオン主題歌 残酷な天使のテーゼ 1995年(日本語) ⑨ ロシア民謡 カチューシャ 1938年 マトヴィ・ブランデル ⑩ コーラン51章 (スーラ アル ザーリヤート:風 撒き散らすもの)
時間旅行と宇宙旅行しながらの音楽の旅でした
〇イントロクイズ 〇ロシア五人組と国民楽派 〇ジダーノフ批判 〇宇宙飛行のパイオニア・ツィオルコフスキ
〇バイコヌール宇宙基地 〇ソユーズロケット打ち上げの地 〇宇宙飛行士たちはここから飛び立った
〇ガガーリンが初宇宙飛行で口ずさんだ歌~ショスタコーヴィチ「祖国は聴いている」 〇2021年前澤友作ソユーズで宇宙へ
〇宇宙飛行士の帰還 〇草原での出会い 〇モスクで聴いたコーラン 〇ボロディン「中央アジアの草原にて」
〇「カザフスタン」とは 〇ヨーロッパ世界の変遷 〇ロシアの領土拡大
〇コサックの頭領ステンカ・ラージンの歌
17世紀、ラージンはペルシア攻略の際、奪い去った姫とヴォルガ川の舟上で婚礼を挙げる。陽気に酔っぱらうラージンだったが「女にうつつをぬかして」と不満をもらす部下の前で、姫をヴォルガ川に投げ込んだという。
(意訳)
ヴォルガ、ヴォルガ、母なる川よ ヴォルガ、ロシアの山よ ドン・コサックの贈り物をしかと見よ ラージンは力強く美しい姫を抱き上げると 舟から波の中へと投げ込んだ
与田準一訳でダークダックスの歌、妹尾幸陽訳で東海林太郎の歌がある
〇ボルガのほとりサマーラ ソユーズロケットの工場がある 〇サマーラの思い出
〇モスクワ宇 宙飛行博物館、訓練センター
〇極東ボストーチヌイ宇宙基地 〇ハバロフスクとアムール川
〇現代アニメソングをロシア語で「新世紀エヴァンゲリオン」主題歌
〇大洗 アニメ「ガールズ&パンツァー」より「カチューシャ」 〇カザフスタン旅行の仲間との宴 〇「キエフの大門」
👉スタッフより ウクライナ民謡「出ておいで、イヴァン」
ウクライナと縁のある作曲家チャイコフスキー(祖父がウクライナ出身)の「ピアノ協奏曲第1番」には、チャイコフスキーが夏を過ごしたウクライナで親しんだ民謡がモチーフに使われています。
歌の歌詞は、「ウクライナ編」のナディアさんがウクライナ語から英語に翻訳し、日本語訳は藤本さんのご協力を得ました。
※「ウクライナ編」参照。ナディアさんによる解説を載せます。