第17回チェコ編ⅠCzech Republic
チェコの古典音楽
堀内和幸
2022.2.27(日)14:00~
チェコの古典音楽
堀内和幸
2022.2.27(日)14:00~
はじめに:
現在チェコ共和国のある地域は、周辺の諸勢力の影響を受けてきた歴史があります。ドボルザークを調べると、「オーストリア帝国ネラホゼヴェスにて1841年生誕、オーストリア=ハンガリー帝国プラハにて1904年死没」とあります。チェコスロバキア誕生が第一次世界大戦後の1918年。そしてチェコとスロバキアが分離してチェコ共和国になったのは1993年です。チェコ音楽は、ドイツ・オーストリアを中心とした音楽と切り離すことができません。
本日堀内さんがお話下さる「チェコの古典派」に出てくる作曲家たちは、私には馴染のない人ばかりでした。でも、モーツァルトが絶賛したという曲や、ゲーテがシューベルトのより高く評価した「魔王」(ゲーテ・詩)を作曲した人等が登場します。チェコ音楽に詳しい堀内さんによって、未知なる曲もたくさん紹介して頂けることと思います。
チェコ人の生活に音楽はとても大切な存在です。スメタナは、「チェコ人の生命は音楽の中にあり」と言いました(The life or the Czechs is in the music.) 当時の学校の教師は「カント―ル」と呼ばれ、文化水準を支える人たちであり、音楽は、「世界の仕組みを感じるもの」と認識されていて、教師は読み書きを教えるだけでなく、音楽家でなければならなかったそうです。
講師:堀内和幸
日本チェコ協会/日本スロバキア協会会員
国際マルティヌー協会日本支部会員
1997年頃より、ズデニェク・フィビヒを始めとするチェコの音楽や作曲家に関する文献の収集を開始する。
1999年、ウェブサイト「ズデニェク・フィビヒ図書館」開設
2015年、チェコの古典派時代の作曲家ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェクを紹介するウェブサイトを開設
2017年「日本ヤナーチェク友の会」刊行の「対訳と解説」シリーズ「ドヴォジャーク歌劇ルサルカ 対訳と解説」(関根日出男訳・解説)の編集に協力
http://www7b.biglobe.ne.jp/~janacekjapan/Rusalka_book.html
冊子「コメニウスへの新たな接近∼没後350年を記念して~」(チェコセンター東京/2020年)を初めとして、フィビヒに関する記事を寄稿。
参考文献
Josef Srb-Debrnov - „DĚJINY HUDBY” (1891)
Karel Hůlka – „JIŘÍ BENDA” (1903)
The Dvořák Society – „Czech Music“ Volume 20 (1997-1998)
佐川吉男 「佐川吉男遺稿集3・チェコの音楽」(2005)
関根日出男 「チェコ音楽祭2013 Vol.4」解説 (2013)
C.ダールハウス 「ベートーヴェンとその時代」(1997)
大崎滋生 「ベートヴェン 完全詳細年譜」(2019)
平野昭「ベートーヴェン」(2012)
Olga Zuckerová - „JAN HUGO VOŘÍŠEK - THEMATIC CATALOGUE” (2003)
丸本隆・編 「初期オペラの研究 総合舞台芸術への学術的なアプローチ」(2005)
柴田治三郎 「モーツァルトの手紙(上)」 (1980)
東川清一・訳 「音楽家の自叙伝」(2003)
石川達夫 「チェコ民族再生運動」(2010)
岩﨑周一 「ハプスブルク帝国」(2017)
大津留厚、他 「ハプスブルク史研究入門」(2013)
音源
Nahrávky
※注記
(CD) – CD 音源
(DL) – Down load (MP3, FLAC形式の音源ファイルのDL販売)
ベンダ Benda, Jiří Antonín
チェンバロ協奏曲 ト短調 – Koncert pro cembalo a orchestr, g moll
メロドラマ《ナクソスのアリアドネ》 - “Ariadne auf Naxos”, melodramy
第1幕 výstup I. https://youtu.be/D-3P33o2QHk
第2幕 výstup II. https://youtu.be/HfK53lnF89c
第3幕 výstup III. https://youtu.be/RKKNevhmw_4
元作品は独語テクストだが、これは英語による上演。
コジェルフ Koželuh, Leopold Jan Antonín
ピアノソナタ第34番 – Sonáta pro klavír, č.34
ピアノソナタ集(ケンプ・イングリッシュ)- Sonáty pro klavír (Hraje Kemp English)
(CD) ケンプ・イングリシュはコジェルフのピアノソナタを多数録音している。
多数のピリオド楽器を使用しており、曲によっては太鼓ペダルなども使用。
フランス・シンフォニア イ長調 – Sinfonia Francese A Dur
トマーシェク Tomášek, Václav Jan Křtitel
《狂詩曲》op.41-1 - Rhapsodie op.41-1
《3つのディテュランボス》op.65、他 - „Tre ditirambi“, op.65, atd.
https://www.youtube.com/watch?v=kM_dUH0PQfQ&list=OLAK5uy_nONQBMTJ5x1daKUXXvIDKxyuvR92AukOo
ピアノ協奏曲第2番 変ホ長調 op.20 – Klavírní koncert č.2, Es dur, op.20
https://youtu.be/X6gU2iYvNBY
ゲーテ歌曲集 Goethe Lieder
https://www.youtube.com/watch?v=TSXVXFa8oqc&list=OLAK5uy_mtFCRr7hkqlWhTBkrw_ZQgDpt5ZKV1r6E
《魔王》(シューベルトの歌曲と同じ詩に基づく)、《野ばら》(同左)、他
(CD) https://tower.jp/item/3032397/Tomaschek%EF%BC%9A-Goethe-Lieder
上記 YouTube 動画の元 CD音源
レイハ Rejcha, Antonín
《大四重奏曲》変ホ長調 op.104、他 - Grand quatuor concertant Es dur, op.104, etc.
(CD) https://www.amazon.co.jp/Antonin-Rejcha-Adam-Skoumal/dp/B0000263W4
木管五重奏曲第3番 ト長調 op.88 -3 – Grand quatuor Es dur, op.104
チェロ三重奏曲 変ホ長調 – Trio pro violoncella, Es Dur
《36のフーガ》 - 36 Fugues for Piano, Op. 36
ヴォジーシェク Voříšek, Jan Václav
《12の狂詩曲》op.1 (全曲) - XII Rhapsodie, op.1 (Všechno)
《6つの即興曲》op.7 より第5曲 – Impromptu č.5 z cyklu “Šestero Impromptu”, op.7
交響曲ニ長調 op.23 – Symfonie d dur, op.23
ピリオド楽器を使用。個性的な解釈とテンポ設定による好演。
ピアノ作品 - Díla pro klavír
https://www.youtube.com/watch?v=5L9zVW4aHLo&list=OLAK5uy_myZC84no_cpzW5IPLVCKzAO8kBZrkw7Zk
フォルテピアノによる演奏録音(廃盤)
(CD) https://tower.jp/item/1019674/Vorisek-%EF%BC%9A-Piano-Works---Kvapil
主要なピアノ作品をほぼ収録。
(DL) https://www.supraphonline.cz/album/347833-rejcha-fugy-pro-klavir-vorisek-sonata-pro-klavir-b-moll
視聴者の感想:チェコの作曲家についてはほとんど知識がなかったのですが、先駆的な役割を果たしたり、のちに有名になる作曲家の導き手になったりと、素晴らしい功績がある作曲家が多いことがわかりました。/聞きやすい曲が多くて良かったですし、中でも変わったフーガが面白かったです。 /ゲーテの「魔王」には他にも曲をつけた人がいたこと、古典派ボヘミア音楽の美しさに感動しました。 / チェコを初め、本当に知らない国が多い。ツェルニーがチェコ人と聞いて親しみが湧いた。音楽を教育の大きな柱に据える国に敬意を感じます。/ 実際の音楽を聴ける時間が長く確保されていたのがよかったです。種々さまざまなチェコ音楽を濃縮して楽しめました。
👉質問タイムでは、みなさんからのどんな質問にも丁寧に的確にお答え頂き、堀内さんの、チェコ音楽への造詣の深さには本当に驚きました。堀内さんにはいずれまた、続編、ドボルザークやスメタナなどの「国民楽派」の講義もお願いしたいです。