第12回ドイツ編③Germany
ドイツリートへの招待2/3・シューベルト
竹田和子 (歌とピアノ 草野京子)
2021.10.10(日)16:00~
ドイツリートへの招待2/3・シューベルト
竹田和子 (歌とピアノ 草野京子)
2021.10.10(日)16:00~
はじめに:
「ドイツリートへの招待(全3回)」の、今回は2回めとなります。
前回は「モーツァルトとベートーヴェン」でした。ベートーヴェンとゲーテとの出会いなど、教科書の偉人たちが人間味をもって感じられました。
今回は、シューベルトです。31年という人生の中で、歌曲だけでも約630曲あるその中から、馴染みがあり、かつ、ピアノの伴奏が詩の内容に踏み込んだ曲を選ばれた、ということです。
講師:竹田和子 (歌とピアノ 草野京子)
竹田和子:東京芸術大学卒業。ピアノを柳川守に師事。ドイツ文学を上智大学社会人学級にて6年間学ぶ。横浜市在住。
草野京子:国立音楽大学音楽教育学科卒業。現在小学校の音楽講師。川崎市在住。
シューベルトは17歳~19歳の3年間で約300もの歌曲を書きました。
「野ばら」
有節形式。伴奏は和音で支えられる。ゲーテの若き日の恋の後悔。フリーデリーケという少女を捨ててしまった悔いが一生続き、色々な場面に出てくる(「ファウスト」のグレートヒェン等)。
「糸を紡ぐグレートヒェン」
シューベルト17歳、ゲーテの詩に初めて曲をつけた作品。この詩は「ファウスト」第1部で糸車の前のグレートヒェンが、ファウストへのやるせない気持ちを告白する歌からとられている。ピアノは右手が糸車のまわる音、左手は規則的な機(はた)のパタンパタンという音を刻む。有節形式といえなくもないが、少しずつ変化している。
「ます」
ピアノ伴奏が水の流れを表す曲。軽やかな川の流れと魚の銀色のきらめき。ひとりの釣り人とそれを離れてみている立場の詩人。「ピアノ5重奏」を書いた1818年頃の作。
「美しき水車小屋の娘」より/「どこへ?」「しりたがる男」
交響曲第7番「未完成」を仕上げたとされる1823年の作。不治の病にかかり、非現実的な美しさで、シューベルトらしさを表した曲。
「冬の旅」より/「おやすみ」「春の夢」「菩提樹」
孤独と絶望。本気で生身の自分を投影した作品。「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」、ともに、修業に出た若者の物語。
「魔王」
病気の子を馬に乗せて走らせる父、子、魔王、ナレータ、の4人の登場人物が出てくる。木をゆする風の音と馬のひずめの音をピアノが表現します。
「ミューズの子」 「白鳥の歌」より「鳩の使い」
翼の音をピアノが表した2曲。「鳩の使い」の最後にでてくる言葉、憧れ(Sehnsucht)という言葉はドイツ人が最も好きな言葉のひとつです。
※「さらば」は時間の関係で次回へまわします。
モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトと移りくる間に、ピアノに負わされた役目が次第に大きくなってきていることがお聴き取りいただけたのではないかと思います。次回「ドイツリートへの招待3」(ドイツ編⑤)ではシューマンについてお話します。
視聴者から:
ピアノの伴奏が馬の蹄の音や、鳥の羽ばたき、機織りの音など、詩に合わせた演出になっているというお話を伺って、お芝居の一場面を見ている気分で音楽を鑑賞することができました。/ シューベルトの歌曲をこれだけまとめて聞いたことはなかったと思うくらい充実したレクチャーだった。分かりやすい説明を聞きながら、歌曲を聴くと、すんなり入ってきて、とても楽しめた。/ とても興味深く拝聴いたしました、ご説明は分かりやすく、内容豊富で、お聞かせくださった録音も演奏も、とても充実していました。/ 1988年 茨城県民文化センターでヘルマンプライの「冬の旅」を聞いてドイツリートの魅力に惹かれました。ディスカウ、シュヴァルツコップ、シュライヤー他素晴らしい歌手がたくさんいます。楽譜を買ってなぞりながら楽しく聞いています。/ Schubert の人生が病気や様々な苦しみの中に、あの美しいメロディーがあり、今回聞いた数曲の歌曲だけでも思いが伝わり、あらためて、ゆっくりと聞いてみたくなりました。/ シューベルトの生涯、短命の中にも沢山の曲を作ったのですね。詳しく教えて頂きましてありがとう御座いました。