第25回フィリピン編 Philippines
マリア・ジェンヌ・フェルナンド小田島
2023.1.22(日)15:00~
マリア・ジェンヌ・フェルナンド小田島
2023.1.22(日)15:00~
はじめに:2023年今年初めての「世界音楽の旅」はフィリピンです。
フィリピンの音楽は、スペイン、アメリカの植民地支配を受けた歴史と深く関係していました。特に印象に残ったのは、フィリピンの人々が、自国の民族音楽も誇りに思い、大切に守りながら、外来の音楽と融合させて、豊かなものにしてきたことです。音楽もダンスも、多様性にあふれています。
1977年、フィリピンのフォークシンガー・フレディ・アギラールが作曲した、ANAK「息子よ」という歌は、翌年日本でもカバーされ、 56カ国で歌われた大ヒット曲です。今日のレクチャーのフィナーレに取り上げられていますが、フレディ・アギラールの動画紹介ではなく、講師ジェニーさんの多重録音ボーカルと、あらかじめ録画した伴奏(石井)とを、ジェニーさん自身が合成して作ったビデオで紹介されます。
Filipino music was deeply related to the history of Spanish and American colonial rule. What particularly impressed me was that the Filipino people are also proud of their own traditional music, and have carefully preserved and enriched it by fusing it with foreign music. Both music and dance are rich in diversity.
In 1977, Filipino folk singer Freddie Aguilar composed the song ANAK, "My Son," which was covered in Japan the following year and was a big hit, sung in 56 countries. The song is featured in the finale of today's lecture, but instead of a video of Freddie Aguilar, it will be presented in a video created by Jenny herself by combining her multiple recorded vocals with the accompaniment of me.
講師:マリア・ジャンヌ・フェルナンド小田島さん(愛称ジェニー)つくば市在。コンテンポラリーソロボーカリストとして活躍中。「Sing!English」でボーカルコーチング。
オーストロネシア系(マレー系)の人々が大半を占めます。
アエタ族と呼ばれるフィリピンの原住民は、アンダマン諸島のネグリト族の子孫です。現在では全人口の0.003%。
フィリピンには186の言語が存在する。
そのうち182は使われている。4つは現在話者がいない。スペイン語をベースにしたクレオール(Chavacano)と総称される言語も存在します。
フィリピンの公用語はフィリピン語と英語。
中国人と中国系メスチーソの間では中国語(福建)と広東語、イスラム教徒の間ではアラビア語とマレー語、スペイン系メスティーソの間ではスペイン語が話されている。
ほとんどのフィリピン人は少なくとも2つの言語を話す。ほとんどの子どもたちは、地元の言語に関係なく、幼稚園に入るとタガログ語と英語の勉強を始めます。
1521年、マゼランがフィリピンへ来た最初のスペイン人。
1521年4月、マゼランはマクタン島でラプラプとの政治的対立に巻き込まれ、先住民の戦士に殺された。
スペイン王フィリップ2世にちなみ、ルイ・ロペス・デ・ビラロボス(スペイン探検家1542-46)が「フィリピン諸島」と命名した。
1565年にスペインの植民地支配開始~1896年のフィリピン(独立)革命まで約300年間続いた。
1898年、米西戦争でスペインが破れ、スペインの支配が終わる。
フィリピンの民族衣装であるバロトサヤは、フィリピンとスペインの服装を融合させたエレガントなもの。
この言葉は、タガログ語の「バロ・アット・サヤ」、つまり「ブラウスとスカート」に由来している。
フィリピン固有の繊維であるパイナップル繊維を使用。
バロト・サヤは4つのパーツで構成されています。
1.バロ~軽い素材でできたブラウス
2.サヤ~膝下から足先まであるスカート
3.パニュエロまたはアランパイ~肩にかけるスカーフ
4.タピツ~サヤの上に着る短いスカート
バロン・タガログ (男性用洋服)
クリスマスは「-ber」の月、つまり9月、10月、11月、12月に祝われる。フィリピンで最大のお祭りです。
「マノポ」子供や若者が年上の人に挨拶したり、別れを告げたりするときに、右手で年長者の右手を取り、その手の甲を背中やおでこに軽く触れる。
「ホスピタリティ」フィリピン人はホスピタリティに溢れている。フィリピン人にとって、他人に奉仕できることは、真の友情を示す名誉になるのです。
「家族の絆」これもフィリピン人の特徴の一つです。家族は互いの面倒を見ます。
家族や年長者に忠実であるよう教えられます。
フィリピンの音楽の特徴
フィリピン音楽は、東洋音楽と西洋音楽が融合されています。
(1)伝統音楽
(2)スペイン植民地時代の影響
(3)アメリカ植民地時代の影響
(4)現代音楽(様々な音楽がmix)
(1)伝統音楽
「ボーカルミュージック」
応答的(リーダー&コーラス)またはソロで演奏され、目的に応じて使い分けられます。
🎵農作業のとき歌う歌などを鑑賞
「舞踊音楽」
①キリスト教 ②イスラム教 ③フィリピン伝統のもの
🎵「パロパロン・ブキド」を鑑賞。
ルシオ・サンペドロ
ウゴイ・ナン・ドゥヤン「Ugoy ng Duyan」作曲。
母親の歌う子守唄のメロディからインスピレーションを得て作曲した。
レア・サロンガ
フィリピン出身の歌手、女優。ミュージカルの歌手として最もよく知られている。
👉1989年、17歳のとき、ロンドン「ミスサイゴン」のキム役でデビュー。1990年ローレンスオリヴィエ賞ミュージカル主演女優賞「ミスサイゴン」受賞、第45回ミュージカル主演女優賞トニー賞受賞。1992年「アラジン」のジャスミン、1998年「ムーラン」のファ・ムーランの歌声担当。「となりのトトロ」英語版で、さつきとメイの母親の声担当。
🎵「Ugoy ng Duyan」(ゆりかご揺れる)を鑑賞 (歌 レア・サロンガ)
(歌詞の内容)
かつての日々が色褪せないことを願う 幼い頃、母に抱かれながら聞いたあの母のうた
揺りかごの眠りの中でとてもとても平安だった
傷ついた私の心 またあの揺りかごで眠りたいと切に思うのだ
フィリピンのゴング音楽は、地理的に2つのタイプに分けられる。
北の地域で使われる平らな銅鑼と、南の地域のイスラム教徒が使う器型のゴング。
ティニクリング レイテ島のダンス
2人のパフォーマーが竹の棒で地面を叩いたり、滑らせたりします。フィリピンを代表する踊りの一つで他の東南アジアのバンブーダンスに似ています。"ティクリング(鳥)のように演じる "という意味。
シングキル
フィリピン南部のマラナオ族の踊り。伝統的に王家の血を引く娘だけが踊る舞踊。王女が魔法の森に捕らわれるという叙事詩を再現したものです。
🎵シングキル鑑賞
シングキルで使われる楽器
(2)スペインの影響を受けた音楽
フィリピンは、333年間スペインに統治されていたため、フィリピン文化におけるヒスパニックの影響は大きい。
「ハラナ」 メキシコ・スペインの伝統に根ざし、ハバネラのリズムパターンを基にしている。2/4拍子 伝統的な求愛の方法で、男性が夜中に窓の下で歌って女性を口説くというもの。 🎵「ハラナ」鑑賞
「クンジマン」3/4拍子。短調から長調へと変化するのが特徴。主人公は心に傷を負っていて、とても貧しく、愛を証明するためなら、苦しみも死もいとわない。
「ロンダーラ音楽」 マンドリンタイプの楽器で構成される伝統的な弦楽オーケストラ。ヒスパニック系の歌や踊りの伴奏に使われる。
🎵バジョ デ ウニョス鑑賞
「カリニョーサ」(愛するもの)スペイン植民地時代の踊り。求愛のダンス。 🎵「カリニョーサ」鑑賞
(3)1898年~1946年 アメリカの影響をうけた音楽
「ANAK」 1977年
フィリピンのフォークシンガー、フレディ・アギラール(1953~)が作曲した曲。100ものカバーバージョンが作られ 56カ国、27の外国語で発表された。
日本でも1978年「息子よ」杉田二郎、加藤登紀子などがレコードを出している。
フレディは18歳の時、父の期待を裏切り、家を出てギャンブルにのめりこむ。しかしその後自分の過ちに気付き、両親への許しを請うために「アナック」を作曲した。
👉伴奏を先に録画、その後ジェニーさんが歌を多重録音して合成したビデオです。
【視聴者から】久方ぶりに世界音楽の旅、拝見しました。やはり楽しいですねぇ。フィリピンの音楽もとても陽気! 窓辺の求愛ソング「ハナラ」を聴き、日本にも和歌での求愛があったなと思い出しました。