第24回ウクライナ編 Ukraine
Nadiia Velychkivska
2022.10.22(土)14:00~
Nadiia Velychkivska
2022.10.22(土)14:00~
はじめに:
ここでお話くださる講師の方々は、音楽を専門になさった方ばかりではありません。そうでない方のほうが多いです。しかし、講師の方々が紹介してくださる曲は、その国の過去現在未来と深く結びついている素晴らしい選曲だと感じます。
日々ウクライナについてのニュースは理不尽すぎてことばもありません。音楽が世界を結ぶという理想もむなしく感じることがあります。しかし、わたしたちは彼女の紹介してくれた音楽を受けとめ、彼女の朗読するウクライナ語の響きに耳を傾け、ウクライナの平和を祈りたいと思います。
Not all of the instructors who speak here are music specialists. Many of them are not. However, I feel that the music they introduce is a wonderful selection that is deeply connected to the past, present, and future of the country. The daily news about Ukraine is so unreasonable that I am at a loss for words. The ideal that music connects the world can also feel vain.
However, we will accept the music she introduced, listen to the sound of the Ukrainian language she recites, and pray for peace in Ukraine.
講師:Nadiia Velychkivska ナディア・ヴェリチキフスカさん
My name is Nadiia Velychkivska and I am a physical chemist with passion for travelling, skiing, learning about new cultures, singing, dancing and meeting interesting people.
私の名前はNadiia Velychkivskaです。私は物理化学者です。旅行、スキー、新しい文化について学ぶこと、歌、ダンス、そして面白い人々に会うことに情熱を注いでいます。
講義当日のナディアさん。民族衣装がお似合いです。
Nadia on the day of the lecture. The traditional costume suits her.
これはナディアさんが、ウクライナの歌のコンサートに出演したときの衣装です。
Traditional costume for a concert of Ukrainian songs
講義をお申込みの方には事前に、本日紹介される歌の歌詞(英語・日本語)を配布しました。
ホームページを見てご希望の方にも、連絡下さればお送りします。
ウクライナ年表は、「日本ウクライナ音楽協会」のホームページなどをご参照ください。
<ウクライナ編の録画が出来上がりました>(2022.12.23)
2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻はまだ終結しません。今年の世相を表す「今年の漢字」は「戦」という文字になってしまいました。今年もクリスマスが近づいています。ウクライナのクリスマスは、ユリウス暦で1/7になるそうです。(※注~2023年から西欧と同じ12月25日に変更となりました。)
新しい年が世界中のすべての人々に穏やかなものになることを願います。
録画は下記リンクよりご覧になれます。10月22日に行った「ウクライナ編」の前半部分が録画できず、撮り直しの録画には「ウクライナのクリスマス」が追加されました。撮り直したものを「本編」とし、10月に録画済の後半部分は「続編」としました。
ウクライナ編 本編 再録URL👉 https://youtu.be/t3Gy8yugg7g
「ウクライナ編・本編」の内容/ウクライナの象徴 ウクライナの歴史 ウクライナ料理、衣服、楽器 ウクライナを代表する作曲家と音楽 ウクライナのクリスマス
Links to the recording may not be reproduced or forwarded without permission.(無断転載・転送禁止)
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
青空と小麦畑の黄色は国旗の色。
右上:ウクライナの紋章「トリーズブ」 中央:伝統的なパン「コロヴァイ」 左下:ガマズミの実「カリーナ」 右下:刺繍タオル「ルシュニク」
ひまわりは、ウクライナ語でソニアシュニクといい、抵抗、団結、希望の世界的シンボルである。ヒマワリの種はヒマワリ油の原料になり、ウクライナは世界有数のヒマワリ油の生産国である。
モダンヒップホップバンドTMNK「5分でわかるウクライナの歴史」アニメーション映像(英語字幕付)
栄光も自由もウクライナでは死なない/運命はいつも私たちに微笑む/ウクライナに栄光あれ!
Slide2:
①「5分でわかるウクライナの歴史」 ラップミュージック
https://www.youtube.com/watch?v=BhuWhgS_HlA
A song ‘History of Ukraine in 5 minutes’ is made by the band TNMK or Tanok na Maidani Kongo (literally "Dance at the Congo Square).
Music to the song was written by Oleg Mykhailiuta also well known as Fahot, lyrics by Artem Polezhaka, animation by Sashko Danylenko
↓英語の歌詞が見れます。
ウクライナ料理:
左上/「サーロ(塩漬け豚肉)」とライ麦パン
中上/「ボルシチ」ユネスコ認定。
右上/「デルニー」ジャガイモパンケーキ
左下/「ヴァレーニキ―」餃子
中下/「ホルブツィ」ロールキャベツ
右下/「シルニキー」白チーズのケーキ
伝統的衣装「ヴィシヴァンカ」:
ヴィシバンカの日は毎年5月の第3木曜日 ヴィシヴァンカを着れば誰でも参加できる
2006年、大学生がある日を選んでヴィシバンカを着ることを提案。その後の数年間で全ウクライナに広がった。
ウクライナの民謡は15000曲あると言われ世界最大。2位はイタリアで6000曲。ウクライナの歌は、知識、歴史、文化を世代から世代へと伝えるため歌われてきた。ウクライナ語はイタリア語に次ぐ、メロディ言語といわれていて、魅力的なメロディ、感情的炎、比喩的な輝きをもち、歌の世界を表現する。
伝統楽器:
バンドゥーラ(日本の琵琶に似ている)
トレンビータ(アルプスホルン)
ソピルカ(フルート属)
ツィンバリー(弦楽打楽器)
エレクトロ・フォークバンド「オヌカ」feat.NAONIオーケストラのコンサート
ウクライナの伝統的な楽器が現代音楽で使われています。
👉ユーロヴィジョンソングコンテスト:1956年~世界的長寿テレビ番組。ABBAやセリーヌディオンがここで優勝してのち成功。
ソピルカやトレンビータがつかわれています。
ミコラ・リセンコ 「ウクライナのクラシック音楽の父」:
作曲家、ピアニスト、指揮者、民族音楽学者
「ウクライナのための祈り」1885年
1917~1920にかけてのウクライナ独立戦争ででは国家的意味をもつ歌となった。
日曜学校で農民にウクライナ語を教え、ウクライナ人としての自覚を高めようとした。
マイコラ・レオントーヴィチ 「ウクライナのバッハ」
作曲家、指揮者、民族音楽学者、教師、アカペラ合唱曲が専門
Shchedryk(1914)最もよく知られる曲。英語版では「Carol of the Bells」と呼ばれ、映画「ホームアローン」や「ダイハード2」で使われている。
1 ミロスラフ・スコリク ウクライナ人民芸術家
2011-2016までウクライナ国立歌劇場総監督 代表作「メロディ」
2 ソロミア・クルシェリニツカ 20世紀の「ワーグナーの歌姫」
プッチーニは彼女を「最も美しく魅力的な蝶々」と呼んだ。
リヴィブ州立ソロミヤ・クルシェルニツカ・アカデミーオペラバレエ劇場の名前にもなっている。
3 ミハイロ・ヴェルビツキー 「ウクライナ国歌」を作曲
「ウクライナの栄光と自由は滅びず」(作詞 パブロ・チュビンスキー)
1943年ハリコフで設立された、ヴェリョフカ・ウクライナ民族合唱団による
「草原の赤き実(カリーナ)」
第一次世界大戦がはじまってから大流行したウクライナの愛国的な歌。
ウクライナのクリスマス(コリャダ)
クリスマス・イブは1月6日。イブの晩餐Svyata vecheryaは、12皿の料理を並べる。
この日の大事な食べ物は、kutia(材料:小麦の実、ケシの実、クルミ、蜂蜜)とuzvar(フルーツドリンク)。
その他に、holubtsi(ロールキャベツ)varenyky(餃子風)キノコのスープまたはborshch(ボルシチ)魚のフライ、キセルゼリー、pampyshky(甘いイーストパンまたはドーナツ)等で祝います。3〜4時間かけたお祈りで始まり、クリスマスキャロルと共に終了します。幼い子供たちが一軒一軒を回り、クリスマスキャロルを歌いながらお菓子やお金を集めます。
クリスマスキャロルを歌うことをコリャドヴァニアといいます。
♪GOOD EVENING TO YOU, SIR♪ "あなたの家族とすべてのウクライナの栄光を共に”
番外extra
Hey Hey, Rise Up, Pink Floyd ピンクフロイド 「ヘイヘイ、ライズアップ」
👉ピンクフロイドが、「草原の赤きガマズミ」の曲に歌詞をつけて、CDの売上でウクライナへの支援活動をしています。
≪「続編」のページ ≫
"Хай живе надія" Наталія Гудзій / 希望の灯:
歌ナターシャ・グジー 2016.April29 Kyiv National Operetta Theater
原田義也さんについて:昨年ドイツ編で「ドイツリートへの招待」の講義をされた竹田和子さんのお知り合いということで、もしお時間あれば、参加していただけたらと思っていましたが、ウクライナ関係の学会に出席の予定と重なってしまいました。
原田さんは、現在、「三田文学」に、ウクライナについての寄稿をされています。「三田文学」というのは、慶応義塾大学内に編集部があり、永井荷風が明治43年に創刊した伝統ある文芸雑誌です。
現在最新号が10月に出たばかりですが、本日は2022年夏季号からのご紹介をします。ロシア侵攻以降に書かれたウクライナの詩の翻訳・解説と、「希望が生き続けます様に」(ハイ・ジヴェ・ナジーヤ)という歌の楽譜と日本語訳を載せています。1990年代チェルノイリ原発事故の時ボランティアでウクライナに行ったときにある少女が歌う歌を聴き、その歌に感銘を受け、いままたウクライナの厳しい現状を目の当たりにして再びこの歌を思い出し、日本語で紹介したいと、自ら翻訳をされました。
最初に見た「5分でわかるウクライナの歴史」のアニメーションに、本が燃やされる映像が見えました。ウクライナ語が禁止されていた時代もありますが、その中でウクライナの人々はウクライナの言葉、文学、音楽を守ってきました。 ナディアさんの朗読で、ウクライナ語の響きを聞いてください。
「希望が生き続けます様に」
ハイ・ジヴェ・ナジーヤ
朗読:ナディアさん
(音読は、動画にて聞くことができます)
ウクライナの詩人 ウクライナの絵本
本日は音楽を中心とした講義のため登場しませんが、現在もウクライナの人々の熱い支持を受けている人物に、タラス・シェフチェンコ(Taras Hryhorovych Shevchenko)という人がいます。19世紀(1814-1861)の画家で詩人、農奴の子として生まれ、理不尽な民族的抑圧への怒りと嘆きをうたい、ウクライナの国民的詩人と呼ばれています。 サッカー選手に、アンドレイ・シェフチェンコというレジェンドがいますが、彼はある時、記者に「タラス・シェフチェンコの詩でなにか暗唱できるものはないか」と聞かれ即座に「ザポビット」(遺言)という詩(ウクライナのために死ねる)を吟詠しました。そのように彼の詩はウクライナの人々の心に浸透しています。ナディアさんも彼の詩のいくつかを学校で習ったそうです。
タラス・シェフチェンコについて調べると、彼の詩集を翻訳している日本人女性がいました。19歳のとき詩を読んで感動し、独学でウクライナ語を学び、50歳過ぎてから、シェフチェンコの詩集をいくつか日本語に翻訳をして出版しています。訳者の藤井悦子さんは、「シェフチェンコの生涯はウクライナの運命そのものだ」と言い、訳本の中には、シェフチェンコの生涯についても書いてあります。
その他、私たちが知っているウクライナの童話に「てぶくろ」があります。おじいさんが落とした片方の手袋に、森の動物たちが次々に入っていくお話です。
♬ 使用された音源と参考音源 SONG LIST
Slide2:
①「5分でわかるウクライナの歴史」 ラップミュージック
A song ‘History of Ukraine in 5 minutes’ is made by the band TNMK or Tanok na Maidani Kongo (literally "Dance at the Congo Square).
Music to the song was written by Oleg Mykhailiuta also well known as Fahot, lyrics by Artem Polezhaka, animation by Sashko Danylenko
https://www.youtube.com/watch?v=BhuWhgS_HlA
Slide 6:
②オヌカ エレクトリックバンド Onuka (Ukrainian electro-folk band) feat. NAONI Orchestra - Megamix - Interval act - 2017 Eurovision Song Contest Grand Final
https://www.youtube.com/watch?v=p6J4tyAB_5o
Slide 7:
③「ウクライナへの祈り」 曲:ミコラ・リセンコ ‘Prayer for Ukraine’ – composer Mykola Lysenko. The lyrics was written by Oleksandr Konysky.
https://z2.fm/artist/5938923?sort=date
(動画で使用された音源)
(ウクライナの風景入りUkrainian landscape)
Slide 8:
④「シュチェドリック」(英語版「キャロルオブザベルズ」) 曲:マイコラ・レオントーヴィチ A song ‘Shchedryk’ composer Mykola Leontovych.
https://z2.fm/artist/1361603 (動画で使用された音源)
https://youtu.be/PvgSKnrj62g (楽譜つき合唱 chorus with sheet music)
Slide 9:
⑤「メロディー」曲:ミロスラフ・スコリク Myroslav Skoryk ‘Melody’
https://z2.fm/artist/1937560 (動画で使用された音源)
https://youtu.be/z_buSmZ0BJ4 (オーケストラ版 orchestra)
⑥「ウクライナ国歌」State Anthem of Ukraine –“Shche ne vmerla Ukraina”
曲:ミハイロ・ヴェルビツキーMykhailo Verbytsky. 詩:Lyrics for the anthem was written by Pavlo Chubynsky (1862).
https://z2.fm/artist/767650 (動画で使用された音源)
https://youtu.be/bHzHlSLhtmM (歌詞英語つきEnglish )
https://youtu.be/-hmE02eRU2c (ウクライナ風景入り Ukrainian landscape)
Slide10:
⑦「草原の赤きガマズミ」‘Oh, the Red Viburnum in the Meadow’ ‘Oi u luzi chervona kalyna’
Songwriter - Stepan Charnetskyi.
https://www.youtube.com/watch?v=-oqeFwRhKf4
~番外extra~
➇「ヘイヘイライズアップ」byピンクフロイドHey Hey, Rise Up, Pink Floyd
https://youtu.be/saEpkcVi1d4 (ウクライナ映像入り)
視聴者より:
ナディアさんのお話はとてもよかったです。ウクライナの人々にとって、歌は生活そのものであることが理解できました。私は小学生に日本の古い歌を教えていますが、今の生活とかけ離れていて、ぴんと来ないものがありました。でも、今日の話を聞いて、歌は生き方であり、自分はそれを教えているのだと改めて思いました。彼女は本当に美しく、刺繍のお洋服がとても素敵でした。/Nadia's talk was very good. I understood that for the Ukrainian people, singing is life itself. While I was teaching old Japanese songs to elementary school students, there was something that didn't feel right to me because it was so far removed from their current lives. But today's talk reminded me that songs are a way of life and I am teaching them. She is really beautiful. Her embroidered clothes were so beautiful.」