GX・SX教育ユニット
Report
2024年度
Report
2024年度
目的
持続可能な社会のための教育を目指す
小中高の学校間を横断したSDGs教育の実現を目指すユニットです。「防災・共助」「資源・環境」「平和・国際」の3つの分野においてどのような生徒を育てるかを決め、そのためにどのような教育を行うかを策定し、各校のSDGsカリキュラムMAPに落とし込んでいます。実践面としては、中高の生徒が学んだことを啓蒙活動につなげるための課外活動「SDGsプロジェクト」を行なっています。その集大成となる「SDGsデー」では小学校の児童を聖学院中高に招いて社会課題を身近に感じてもらうための様々な体験型イベントを開催しています。
マインド
行動することを重視
目標達成のためには実際に動くことが必要です。GX・SXは自分たちだけでは実現できません。大きな力を持っていなくても、身近なところから啓発活動を広げていけば、それがやがて社会を動かすことにつながります。また生徒・児童の在学時だけの活動では本当の意味でのSDGs教育とはいえません。そのため課外活動として「SDGsプロジェクト」を設置し、生徒が自分の興味関心に基づいて、いくつかのチームに分かれ、1年間を通して考えながら行動する機会を作りました。自分ごと化することで人に伝えたいという想いも強くなります。
実績
自由研究フェスタ(外部の小学生に向けたイベント)に出展
サイエンスアゴラへの出展
慶應義塾大学のSFC万国博覧会に参加
ユネスコスクールに認定
ESD大賞の奨励賞受賞
当初個別に行われていたフードロスとコンポストと菜園と資源など「SDGsプロジェクト」のチームの活動が、お互いを補い合うために連携するようになりました。また大正大学高大接続パートナーシッププロジェクトをはじめ、GX・SXの先駆者となる外部組織・団体と連携し、活動の場を社会に広げています。外部のイベントにも生徒が積極的に参加し、2024年度はNPO法人日本持続発展教育推進フォーラムが主催する「ESD大賞」の奨励賞を受賞しました。2025年度ユネスコスクールにも認定されました。
展望
持続可能な社会のための教育を目指す
「SDGsプロジェクト」は2年目から環境・資源を中心にチームを構成してきました。しかしSDGsが取り組む社会課題はそれだけではありません。そのため2025年度から新しい社会課題に取り組むチームを「Pioneer」、これまでの環境・資源の活動を継承していくチームを「Ongoing」と分け、今年から参加する生徒にはよりコミットした活動ができるように幅を広げていきます。さらに今後は企業連携や地域連携を目指します。生徒と共に、実際に社会を動かします。
日本では年間472万tの食料が廃棄されていて、そのうち約半数が家庭から出ています。家庭と学校のフードロスに焦点を当て、フードロス削減の意識を高めるために活動しているのがこのチームです。荒川区のフードパントリー※でボランティア活動をしフードロスの現場を体験し、記念祭で家庭にある余剰な食品を募りフードパントリーに寄付し、さらに自分たちでもフードパントリーを開催しました。SDGsデーではクイズ、カードゲームを通じてフードロスの現状を小学生に伝えました。
※家庭で余った食品や規格外野菜などを集めるフードバンクから食料の提供を受け、貧困で食べることに困っている子育て世帯に食品を配付する活動。フードロス削減と貧困の課題解決に貢献する活動です。
企業連携例:企業から出るフードロスの回収と配布、他
バガス容器班※1、無添加石鹸班、プラスチック削減班があり、SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」に根差したチームです。バガス容器班は、女子聖学院の購買部のお弁当容器をプラスチックからバガスに変えることを目指しています。無添加石鹸班は、一般的な石鹸の原料となるパーム油の採集のために、大量のアブラヤシ※2が伐採されている現状を認知してもらうための活動をしています。プラスチック削減班はビーチクリーンと海洋プラスチックゴミの再資源化に取り組んでいます。
※1 バガスとは砂糖抽出後のサトウキビ等植物性廃材の繊維を再利用した資材です。
※2 アブラヤシが大量に伐採されることで環境や生態系が著しくダメージを受けています。またアブラヤシの農園では児童労働も行われていて、このことも問題となっています。
企業連携例:無添加石鹸メーカー、バガス容器メーカー、他
学内の購買等から出る生ゴミを使ってコンポスト※を作り、生徒の憩いの場となる「コミュニティーの庭」で自作コンポストを活用した菜園作りをしているチームです。フードロスとCO2削減の意識を高めることを目指しています。先駆者である大正大学やクルックフィールズにも協力と指導を受けています。SDGsデーでは、ペットボトルとコンポストで作るプランターと、菜園でのクイズと収穫体験をするワークショップを実施しました。
※生ゴミから作る堆肥のことです。学食等から出た生ゴミ65日間分、約28.57kgを肥料にした結果、焼却した場合と比べてCO2、58.61kgを削減に成功しました。
企業連携例:野菜の種のメーカー、近隣農家、他
生徒のCO2削減に関する意識向上を目的とし、省エネと創エネの両面からアプローチするチームです。省エネ班は2月の4日間、女子聖学院中高の中学3年と高校1年において、エアコンの設定温度を下げ、使用時間を減らす試みを実施。中学3年が53%、高校1年が62%の電気代削減に成功しました。創エネは記念祭で自転車発電、SDGsデーにて風力発電の模型作りを行いました。いずれもほとんど電力を生み出せない体験をしてもらうことで、電気の大切さを実感してもらうことがねらいです。
企業連携例:空調メーカー、太陽光発電パネルメーカー、他
聖学院高等学校
小学生の時にSDGsを知り、自分もアクションを起こしたいと思ってSDGsプロジェクトに参加しました。SDGsは主に環境問題という意識がありましたが、無添加石鹸の活動を通じて社会問題も含まれていることがわかり視野が広がったと感じています。今の活動をブラッシュアップして有料化し、環境問題に取り組む団体に寄付するなど、より社会に関わっていけたら良いなと思っています。
女子聖学院高等学校
プロジェクトを通じて、年齢を問わず学外の様々な方と会う機会があり、考えさせられる事がたくさんありました。そのおかげで自分で考える力や現状の課題点を洗い出す力、大人の方々とコミュニケーションを取る力が鍛えられたと強く感じています。また、自分に出来ることはないか積極的に探し、指示を待つだけではなく自分から動く事の大切さを学びました。高校生のうちにこのような経験ができたのはとても貴重だと思います。