SDGsプロジェクト「環境エコ」
Report
2023年度
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2023年度
2024年3月22日(金)・3月25日(月)
2024年3月22日(金)・3月25日(月)
学校法人聖学院では2020年度から聖学院小学校、女子聖学院中高、聖学院中高の駒込3校で連携して教育を研究し、推進しており、その一つにESD・SDGs教育があります。中高生の男女合同の課外活動としてSDGsプロジェクトを設置し、そこに参加した有志の生徒たちがプロジェクト活動を企画運営します。活動期間は1年間とし、小学生・中高生向けのSDGsイベントの開催と、学内外のステークホルダーへの発表がゴールとなります。今年度は昨年に引き続き「環境エコ」をテーマとして取り組みました。
1年の活動を振り返ることで、より深い学びにつなげます。
聖学院SDGsデー 3月22日・25日
聖学院教育デザイン開発センターは、世界気象デーである3月23日を聖学院SDGsデーと定めています。2023年度は昨年度に続き「環境エコ」に関するワークショップを実施しました(2023年度は暦の関係で3月22日に実施)。中高生環境プロジェクト6つのチームのうち、「菜園」「無添加石鹸」チームが、それぞれペットボトルプランター作りと石鹸作りを企画し、聖学院小学校の児童(希望者約20名)に体験してもらいました。また、「プラスチックゴミ削減」チームが聖学院、女子聖学院の中高生徒を対象として、みんなで協力してより良い海の環境を目指す「海ごみカードゲーム」のワークショップを実施しました。
3月25日には生徒たちが1年の活動を振り返り発表する、最終報告を行いました。発表の最後には、各校の先生方、法人関係者などが講評を行い、改善点などをアドバイスするとともに生徒たちにエールを送りました。
生徒によるプロジェクトが連環を始めました。
SDGsプロジェクトは、資源・環境面での課題を啓蒙する活動です。
今年は「菜園」「コンポスト」「エネルギー」「フードロス削減」「無添加石鹸」「プラスチックゴミ削減」の6チームに分かれ、
生徒が環境への貢献を考え、研究し、啓蒙活動を企画しました。
「菜園」に使われる土を「コンポスト」チームが提供したり、菜園チームとエネルギーチームが空間を共有したり、生徒同士が連携を始めています。
よりよい環境の循環が学院内で芽吹き始めています。
本来、植物の光合成の力を使ってCO₂を減らすには植林が必要です。しかし菜園を通してCO₂削減の意識を向上させることはできます。菜園チームの目的はCO₂削減の啓蒙と、そのためのコミュニティ作りです。男子・女子それぞれの中高の屋上で、ナス、バジル、ニラ、春菊などを栽培した他、「コミュニティの庭」という人が集まる場所作りを行いました。SDGsデーではペットボトルを使ったプランター作りを行い、プラスチックゴミ削減チームのペットボトルを再利用しつつ啓蒙活動を行いました。参加した小学生から楽しかったという声が多数寄せられました。
コンポストとは生ゴミから作る堆肥のことです。今、世界で生産・収穫された食品の1/3が生ゴミとして廃棄処分されています。そしてその焼却により温室効果ガス排出量が8〜10%増加しています。コンポストを啓蒙し、温暖化抑制を目指したのがこのチームです。活動としては、コンポストの研究を進めたり、土づくりを行ったりしています。作った土は菜園チームに提供しています。コーヒーの出がらしを混ぜると分解が促進されて良い土が作れるということから、今年はコーヒー豆を混ぜる工夫が行われました。2024年度からは菜園チームと合併し、効率の良い校内循環を目指していきます。
日本の主な発電方法は化石燃料を使用した火力発電です。そのため大量のCO₂が排出されます。CO₂排出量削減のため、電気使用量自体を減らす省エネと、ソーラーパネルで電気を作り、火力による発電量を減らす創エネの2つのアプローチを啓蒙しているのがエネルギーチームです。省エネは、特定のクラスでエアコンをこまめに消すと、どれくらい電力削減できるかを検証※しました。創エネは菜園チームの「コミュニティの庭」に小規模ソーラーパネルを設置。そこから得られる電気量を校舎屋上のソーラーパネルの面積に換算するとどれくらいの効果があるのかを検証しました。いずれも結果を可視化することで校内の意識向上につなげました。
※当初エアコンの電力使用量の1割削減を目指していましたが、6割削減に成功し、意識することの大切さを裏付ける結果となりました。
日本では年間東京ドーム5個分の食料が廃棄されています。そのうち47%は家庭から捨てられているものです。生徒の家庭内のフードロスを減らし、保護者も含めてフードロスへの意識を高めるのがこのチームの目標です。取り組みとしては、食材を極力捨てずにいかに美味しい料理を作るかを競うクッキングバトルを開催したり、食に困っている人に食べ物をシェアするフードパントリー※に参加したりしました。クッキングバトルではイベント前60%だったフードロスへの関心がイベント後のアンケートでは100%に上がりました。フードバントリーにおいては累計592品を寄付し、現地でボランティア活動も経験しました。
※家庭で余った食品や規格外野菜などを集めるフードバンクから食料の提供を受け、貧困で食べることに困っている子育て世帯に食品を配付する活動。フードロス削減と貧困の課題解決に貢献する活動です。
一般的な石鹸(合成石鹸)はパーム油が使われていて、そのために毎年、東京都の約半分の面積の椰子の木が伐採されています。これにより地球温暖化、生物多様性の損失が起こっています。その啓蒙と、RSPO※認証を受けたパーム油、使用済み油を使った石けんを推奨するのがこのチームの目標です。SDGsデーでは、粘土のようにこねると無添加石鹸になる石鹸作りを実施、クイズも交え、小学生に楽しく石鹸について学んでもらいました。
※RSPO:持続可能なパーム油のための円卓会議
新型コロナウイルスの流行で冷水機が使えなくなり、生徒のペットボトル飲料の購入量が増えました。男子聖学院では増えたペットボトル消費を減らす取り組みを行い、昨年度は冷水機ではなく給水機を導入しペットボトル削減に成功しました。現在では給水機3台を導入しています。女子聖学院ではゴミの分別に注目し、分別の徹底を目指しました。分別リストを作成して各クラスに掲示、ゴミ箱の上に分別マークを貼って分別を喚起しました。この取り組みはゴミの分別改善につながりました。また、校内で使用されるお弁当のプラスチック容器を、環境に配慮した容器に変えるため、バガス容器を試験導入しました。
聖学院高等学校
私はエネルギーチームのリーダーとして、校内のCO₂を削減するために電力に焦点を当てて活動しました。私たちの活動内容は学校全体の協力が必要なので、理解してもらうための啓蒙活動が大変でした。最初は手探りでしたが、検証結果の公開などの活動が目標以上の省エネ達成という結果につながり、学校を良い方向に変えることができたと感じました。この活動を通じて環境問題に対する関心や理解が深まっただけでなく、責任感や企画力や行動力がつき、多くの学びを得ることができました。
女子聖学院高等学校
私はフードロス削減を啓蒙するチームに参加しました。このチームは生徒を通して各家庭に呼びかけるため、成果があってもとても分かりづらいです。そこで生徒に家庭で余った食品の寄付を呼びかけ、フードパントリーに寄付しました。寄付した食品数で活動の成果が明確化できるからです。また北区の子ども食堂では、再度集めた食品を自分たちで持ち込み、自分たちの手で必要な人に届ける経験をしました。「自分たちで食品配付がしたい」というのが活動当初からの目的だったので、その目標も達成できました。