SDGsプロジェクト「環境エコ」
Report
2022年度
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2022年度
2023年3月23日(木)〜3月24日(金)
学校法人聖学院では2020年度から聖学院小学校、女子聖学院中高、聖学院中高の駒込3校で連携して教育を研究し、推進しており、その一つにESD・SDGs教育があります。中高生の男女合同の課外活動としてSDGsプロジェクトを設置し、そこに参加した有志の生徒たちがプロジェクト活動を企画運営します。活動期間は1年間とし、小学生・中高生向けのSDGsイベントの開催と、学内外のステークホルダーへの発表がゴールとなります。2021年度は「防災エコ」をテーマとし、2022年度は「環境エコ」をテーマとして取り組みました。
1年の活動を振り返ることで、より深い学びにつなげます。
聖学院SDGsデー 3月23日・24日
聖学院教育デザイン開発センターは世界気象デーである3月23日を聖学院SDGsデーと定め、SDGsをめざす活動を実施することにしました。2022年度は「環境エコ」に関するワークショップを実施しました。中高生環境プロジェクト8つのチームのうち、「学校菜園」「再生可能エネルギー」チームは聖学院小学校の児童(希望者約30名)を対象として、「ペットボトル削減」「フードロス」チームは聖学院、女子聖学院の中高生徒を対象としてワークショップを実施しました。
生徒によるプロジェクトが連環をはじめました。
SDGsプロジェクトは、8つのチームに分かれて、資源・環境面での課題を数値化し、啓蒙する活動を行いました。いずれも生徒が企画し、「コンポスト」「フードロス削減」「学校菜園」「PETボトル削減」「プラゴミ削減」「再生可能エネルギー」「消費電力削減」「無添加石けん」について取り組みました。最終的にはそれらの企画が連動し、新しい活動の流れを生み出し始めています。
フードロス削減
食べられるのに様々な事情で捨てられてしまっているフードロスのことを知ってもらうプロジェクトです。聖学院SDGsデーにおいては、野菜の皮など、普段捨てられてしまう食材を使い、いかに美味しい料理が作れるかというクッキングバトルを行いました。身近なフードロスを楽しく削減するのが目的です。また、皆でフードパントリー※のボランティアに参加しています。今後はどうしても使えない食材をコンポストに活用することが予定されています。
※家庭で余った食品や規格外野菜などを集めるフードバンクから食料の提供を受け、貧困で食べることに困っている子育て世帯に食品を配付する活動。フードロス削減と貧困の課題解決に貢献する活動です。
コンポスト
コンポストとは生ゴミから作る堆肥のことです。生ゴミの焼却にはとても大きなエネルギーを使い、かつそれによって大量のCO₂も発生します。生ゴミを減らし、温暖化抑制を目指したのがこのチームです。学校の食堂や購買部から生ゴミを回収し、コンポストバッグに入れて堆肥を作り、その量を計測することでCO₂をどれくらい削減できたか計測しています。また、コンポストでできた堆肥を使い、植物を育て始めており、菜園チームと連携しています。
学校菜園
聖学院中高の屋上で、こかぶやローズマリーなどの栽培を行い、植物の光合成の力を使ってCO₂削減をはかる他、菜園を通してコミュニティを形成することを重視しているのが学校菜園チームです。聖学院SDGsデーにおいては、PETボトルを使ったプランターを作りを小学生に体験してもらいました。土はコンポストチームから提供されています。また学校菜園で作った作物はフードロスチームへ提供することも予定されています。
PETボトル削減(男子)/プラゴミ削減(女子)
PETボトルを削減するため、聖学院中高のチームは学校に働きかけ、学内に給水機を設置しました。ウォーターサーバーによりPETボトルの購入量を減らすことが目的です。実際に効果があり、今後は設置台数を増やすことを目指しています。また聖学院SDGsデーでは双六で止まったマスに給水機を立て点数を競うゲームを開催し、啓蒙活動につなげました。給水機の電力は再生可能エネルギーチームの太陽光パネルで補われています。女子聖学院中高のチームはプラスチック容器やかさ袋のゴミ削減に取り組みました。
再生可能エネルギー
日本は電力消費量が多いにも関わらずエネルギー自給率は12%ととても低いという問題を抱えています。この課題を解決する方法として電力会社に頼らず個人で電気を作るオフグリッドというものがあります。オフグリッドと発電によるCO₂削減を目指すのが再生可能エネルギーチームです。実際に太陽光パネルを設置して発電したり、聖学院SDGsデーにおいては、クイズ形式で子どもたちに発電やエネルギーのことを知ってもらったり、レゴを使って自分なりのオフグリッドを考えてもらう機会を作りました。
消費電力量削減
電気の約7割が石油、石炭など化石燃料を燃やす火力発電で作られています。化石燃料の燃焼はCO₂排出につながります。電力の消費を抑え、CO₂削減を目指すのがこのチームの目標です。一定期間、特定のクラスのエアコンの設定温度を緩和し、窓側の電気を消してどれくらい効果があるのかデータをとりました。また節電がSDGsとどうつながっているのか理解度が低い実情を知り、啓蒙活動を行いました。今後はさらなる消費電力削減を模索する予定です。
無添加石けん
石けんの製造にはパーム油が使われていて、そのため大量の椰子の木が伐採されています。これにより地球温暖化、生物多様性損失などが起こっています。その啓蒙と、RSPO※認証を受けたパーム油、使用済み油を使った石けんを推奨するのがこのチームの目標です。取り組みの一環として使用済み油を使った無添加石けんを作り、実際に学校の一部のトイレ等に設置しました。今後は無添加石けんの設置を学校全体に拡大すること、小学生にヘチマ石けん作りの体験教室を行っていく予定です。
聖学院高等学校
大塚 有楠くん
2年/菜園チーム
2年/菜園チーム
私は、聖学院中高の屋上で野菜を作る菜園チームのリーダーを務めました。私も含め半数以上が初心者なので、野菜の管理が一番大変でした。ただ泥だらけになって作った野菜の味は格別です。過去の私は、ものごとを動かすにあたり、心のどこかでなんとかなるだろうと思っていました。しかし自然相手にそういう姿勢は全く通用しませんでした。そのことを痛感してからは責任感を持ってリーダーとして率先して行動するようになりました。リーダーシップの本質を体感できてとても良い経験ができたと思っています。
女子聖学院高等学校
山﨑 知依さん
1年/再生可能エネルギーチーム
1年/再生可能エネルギーチーム
私が参加したのは、エネルギー危機に対する知識と意欲向上を目的としたチームです。一番頭を悩まされたのは、可視化できないエネルギーについて啓蒙しなければいけないということでした。しかし聖学院SDGsデーで小学生に「楽しかった」「こんなことが分かった」と言ってもらえた時、自分たちの伝えたいことが伝わったとやりがいを感じました。また、この活動を通じて他のメンバーの自分にはない考え方に触れられたこと、難しいことに挑戦する勇気を持てたことはとても有意義でした。