舎利石の用途

 釈迦の遺骨である真舎利は数に限りがあるため、この舎利石を代用品として用いる。用いるのは寺院(僧侶)であり、教えを受けたのならまだしも私のような一般人(凡人)が何をしたところで仏舎利とはならない。

 舎利石を仏舎利として用いるには秘法を用いて開眼する。よって、開眼の済んでいない舎利石に仏教的な意味やご利益などは無い。この秘法は真言宗の僧侶のブログやSNSなどに散見される。舎利石について実際の僧侶がネット上で紹介する場合、ほぼ全てが真言宗や高野山真言宗である。(過去には天台宗や曹洞宗も舎利石に興味を持っていたという話も聞くが、最近はあまり興味を示さないという情報も得ている。寄進にあたって青森県内の各地の寺を回ったが、高野山真言宗のお寺の中にも舎利石に興味を示さないお寺も実際には存在した。)

 拾ったばかりの舎利石は二酸化ケイ素の鉱物であり、単なるパワーストーン的な用途はあっても、仏舎利ではない。ましてや舎利石がどのような鉱物であるか分かっていない出品者が多すぎて、果たして舎利石を手にした一般人の何割が本物の舎利石を所持しているのだろうか?という疑問も多い。それだけ悪質な出品者が舎利石と仏舎利を金儲けのキーワードとして使用している。

 一般に売られている舎利石は仏舎利か否かというよりも、仏舎利として開眼されているものは売られている様子がない。つまり、仏舎利として入手する場合は僧侶に依頼するか自信で秘法を学んで開眼する他に手段がないが、それも現実的ではない。

 一般に売られているものは「開眼されていないもの」であるため、お釈迦様のご利益はないし、仏舎利ですらない。仏舎利ではないのでお釈迦様の遺骨の代用品ではなく、「お釈迦様の遺骨である仏舎利の代替品になる以前のもの」という解釈が正しい。ということで、本物の舎利石が通販やオークションなどで出品されている場合、それを手に入れても「パワーストーン」としての用途に限定されるということは確定しているし、果たしてそれが人工舎利石なのか、舎利石なのかを落札者が判断できるかということも言える。

 ヤフオクとメルカリは時々チェックしているが、現在出品している人で舎利石の真贋を即時鑑定できる人は5人居るだろうか?という感じ。出品歴が長い。良い評価が多い。パワーストーン屋さんだから間違いないとか思わないでください。舎利石についてはパワーストーン屋さんですら偽物や人工舎利石を出品していますから。

用途について

 一般人向けの用途としては舎利塔に入れてお祀りする。仏具屋では人工舎利石入りで売られているため、用途としても最も多いのではないか。現在でも旅費と労力を費やせば本物の舎利石は自分の手で拾えるのでチャレンジは可能。

 お寺に舎利石を持参して真っ先にご本尊の前(須弥壇:すみだん)に供えられたときは驚いた。舎利石を「お舎利」「お舎利さん」という呼んでいたことからすると、私ごときが拾ってきた舎利石でも僧侶から見ると相当に有難いものであると思われる。つまり本来の用途である仏舎利の代替品として利用されることは間違いない。

 仏像の内部へ収められる各種仏舎利代替品や納入品としての利用。仏像をエックス線CTスキャンで調査したところ、仏舎利や巻物・経典などの法舎利を含め多数の仏舎利の代替品が見つかっているニュース記事があった。(リンク参照

 記事では「釈迦の骨を納めた舎利容器」と記述があるも、開封されては居ないようなので真舎利なのか舎利石なのかは不明である。

 鎮壇具として地の神を鎮める際に地に埋めるなどして用いる。仏舎利塔、五重塔、三重塔、慰霊碑、お寺の建立および建て替えの際に用いる。何やら神社で行う地鎮祭の供物にも似た行為ですね。神社で行う地鎮祭はよく目にするが、仏教でも何かを建てる(建て替える)ときに供物を用意するようだ。

 用語でも解説しているが、寺院などを建てるときに建物の要となる柱「心礎(しんそ)」に納める用途。柱に埋めるものと言えば新しい船を作ると船霊(ふなだま)を祀るのは有名。 こうしてみると益々、日本で神仏にまつわる行事といえば、神も仏も共通する行事が見受けられる。

 仏像の飾り付けに使用する用途。 荘厳(しょうごん/そうごん)と言うらしい。パワーストーンでも瑪瑙や石英(水晶)って魔除けや清め(浄化)に関する用途が一般的。そういう意味で二酸化ケイ素でできている石には世界共通の「清いもの」「清めの効果」「神聖なもの」「魔除け」という用途が多いようだ。

 五重塔の建立に際し、天辺部分の「相輪(そうりん)」へ純金でできた容器に舎利石を32粒封入して納める。舎利石の粒が大きいと容器の大きさによって使用される純金の量も多くなるため、可能な限り舎利石も小粒なものが好まれる。この32という数字は、推そらく「三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう(ごう))」の32ではないかと思われる。

舎利石について通例とされる情報

 可能な限り真球(球体)に近いものが価値が高く、大きさは小さければ小さいほど良いとされる。最初はケシ粒ほどと言われるが、実際に拾える下限は直径1ミリ。独鈷杵(とっこしょ)に入れる数は108らしい。また、108粒を金属製の筒のペンダント(ロケット)に入れて身につけるという人も過去に居たという。

 卓上サイズの舎利塔には6ミリ以下の舎利石を用いるとか。舎利塔は金属製、水晶、木製など様々ある。

用途 あとがき

 平成最後の31年第二四半期。このサイトを開設しGoogleのクローラーに拾われるよう登録した。鉱物コレクター、仏具として舎利石に興味があるひと、業者、どこかのお寺も見ているかも知れない。

 平成31年1月から今別の山崎湾と袰月海岸にほぼ毎週通っては舎利石と母石の探索に忙しく、それまでの趣味はほぼ凍結。収集した舎利石の選別と、集めた情報のサイトへの反映も行なってきた。

 そのお蔭か、流通している舎利石には偽物があるということ。お寺でも人工舎利石を代用しているケースがあったこと。通販やオークションなどで舎利石ではないものが大量に出回っていたこと。メルカリでも仏舎利ではないと思われる舎利石を仏舎利と謳って出品している人が居るということなどが分かった。

 更新頻度を上げ、情報の質が上がっていくと検索上位に上がっていき、結果として多くの人の眼に届くようになった。これにより、偽物や誤解を招く販売も減ったと思う。