透析治療は、腎臓の働きを代行し、患者さんの生命を維持する重要な治療法です。しかし、長期間にわたり人工的な環境で血液を浄化し続けることで、腎臓のホルモン産生機能の低下や、水・ミネラルバランスの変動などから、様々な合併症が起こりやすくなります。
当クリニックでは、これらの合併症のリスクを最小限に抑えるため、質の高い透析管理と、患者さん一人ひとりに合わせた細やかな指導を徹底しています。
合併症は、早期に気づき、対策を講じることが何よりも重要です。
透析治療で起こりやすい主な合併症は、体内の水分・ミネラルバランスの乱れ、ホルモン産生機能の低下、そして血液透析のアクセス(シャント)の管理の3つに大きく分類されます。
このページでは、特に患者さんの生活の質(QOL)に大きく関わる合併症について、その具体的な対策と、ご自宅でできるセルフケアのポイントを分かりやすく解説します。
日本透析医学会
透析治療に関する専門的な情報が掲載されており、合併症についても解説されています。
日本腎臓学会
腎臓病全般に関する情報が網羅されており、腎性貧血や骨病変についても詳しく解説されています。
腎臓病なんでもサイト(日本腎臓財団)
腎臓病患者さんやご家族向けに、食事療法や透析に関する分かりやすい情報を提供しています。
日本高血圧学会
高血圧に関する専門的な情報が掲載されています。
シャントは、毎日の透析を支える大切な「生命線」ですが、時には詰まりかけたり、感染したりとトラブルを起こすことがあります。※個人差があります。しかし、過度に恐れる必要はありません。ほとんどのトラブルは、初期の段階で気づき、迅速に対応することで大事に至るのを防げます。
シャントを長く、安定して使うためには、患者さんご自身による毎日のセルフケアが欠かせません。
ここでは、シャントを守るために絶対に守っていただきたい「4つの習慣」をご紹介します。
1. 毎日の必須習慣:拍動のチェック
シャントの調子が良いかどうかを知るための最も簡単な方法が、拍動(スリル)の確認です。
チェック方法: シャントのある腕の、血管が盛り上がっている部分に指の腹をそっと当ててください。
正常な状態: 「ザーッ」「シューッ」という連続した音や振動(スリル)を感じるはずです。これは、動脈の血液が勢いよく静脈に流れ込んでいる証拠です。
異常のサイン: 振動や音が弱くなった、または全く感じなくなった場合は、シャントが詰まりかけている可能性があります。すぐにクリニックへご連絡ください。
2. 圧迫は絶対に避ける
シャントを圧迫すると、血管の流れが悪くなり、詰まるリスクが急激に高まります。シャント側の腕では、以下の行為は厳禁です。
血圧測定・採血: 治療以外の目的で、シャント側に針を刺したり、カフで締め付けたりしないでください。
重い荷物を持つ: 重い買い物袋やカバンをシャント側の腕で持つのも避けましょう。
圧迫する服装: 腕を締め付けるきつい下着や、腕時計、アクセサリーの着用は避け、ゆったりとしたものを選んでください。
寝相に注意: 就寝時、シャント側の腕を体の下敷きにして寝ないように注意してください。
3. 清潔を保ち、感染を防ぐ
シャントは体外から針を刺すため、感染症のリスクがあります。
毎日の洗浄: 入浴時やシャワー時に、石鹸を使ってシャントの部分を優しく洗い、常に清潔に保ってください。
穿刺後のケア: 透析が終わった後の針を刺した部分は、完全に血が止まるまでしっかりと圧迫し、絆創膏などで清潔に保護しましょう。
以下のサインに気づいた場合、シャントが詰まりかけている、または感染症を起こしている可能性があり、緊急性が高い状態です。すぐに当院にご連絡ください。
① 振動(スリル)が消えた、弱い
想定されるトラブル:シャントの血流障害(狭窄・閉塞)
なぜ危険か:血液が流れていない証拠です。完全に詰まると、再開通が困難になります。
② 腕全体が急に腫れた、痛む
想定されるトラブル:シャントの閉塞や静脈のうっ血
なぜ危険か:血液の逃げ道がなくなり、腕全体に血流が滞っている可能性があります。
③ 穿刺部が赤く腫れ、熱を持っている
想定されるトラブル:感染症(蜂窩織炎など)
なぜ危険か:細菌が血管内に侵入し、敗血症など重篤な全身疾患につながる可能性があります。
④ 穿刺部から出血が止まらない
想定されるトラブル:血管壁の損傷や凝固機能の異常
なぜ危険か:圧迫を続けても止血しない場合は、すぐに専門的な処置が必要です。
緊急性は低いものの、シャントの状態が悪化していることを示すサインもあります。これらの症状がある場合は、次回の診察時ではなく、気づいた時点でスタッフに相談してください。
⑤ シャント上の皮膚が薄くなる
想定されるトラブル:血管への圧力が継続的にかかり、皮膚が脆弱になっているサインです。
⑥ 腕の末端(指先)が冷たい
想定されるトラブル:シャントに血流が取られすぎている(スチール症候群)の可能性があります。
⑦ 腕にズキズキとした痛み
想定されるトラブル:炎症などの可能性があります。
「おかしい」と感じたとき、患者さんが慌てずに取るべき行動が、シャントを守るために最も重要です。
拍動(スリル)が弱い、または消えた場合
【最優先】絶対に自己判断せず、すぐにクリニックに連絡する。(揉んだり叩いたりするのは避けてください)
穿刺部が熱を持っている場合
【最優先】 1.患部を温めたり、お風呂に入ったりせず、清潔に保つ。2.すぐにクリニックに連絡し、指示を仰ぐ。(感染を広げないことが重要です)
腕が重く、むくみが強い場合
【相談】 次回の診察を待たずにクリニックに連絡し、指示を仰ぐ。
シャントはデリケートですが、その変化はあなた自身が一番よく分かります。毎日のチェックと、「いつもと違う」という感覚を大切にしてください。
当院では、シャントトラブルを専門的に診る体制を整えており、超音波検査などで血流の状態をすぐに確認できます。不安なことがあれば、いつでも、どんな小さなことでも、私たちスタッフを頼ってください。あなたのシャントを長く大切に守っていきましょう。
腎臓からは、血液を作るホルモン(エリスロポエチン)が分泌されていますが、腎臓の機能が低下するとこのホルモンが十分に作られなくなり、貧血が起こりやすくなります。
症状:
めまいや立ちくらみ
息切れ
だるさ
【薬物治療】
注射: エリスロポエチンを補充する注射などを定期的に行います。
内服薬:エリスロポエチンの産生を誘導するHIFーPH阻害薬を服薬します。
鉄剤の補充: 必要に応じて、鉄剤を内服または注射で補給します。
【当院の強み】 当院では血液検査を月2回行うため、貧血を早期発見し、迅速に必要な注射や内服薬の処方を行います。
貧血の改善には、鉄分を多く含む食品(レバー、ほうれん草など)を意識して摂取することも大切ですが、リンやカリウムにも注意が必要です。栄養士の指導を受けながら、バランスの取れた食事を心がけましょう。
透析患者さんにとって、食事で最も気を使うべき成分の一つが「リン(P)」です。
リンは私たちに必要なミネラルですが、腎臓の働きが低下すると尿から排泄されず、血液中に溜まってしまいます。この「高リン血症」が続くと、ただの検査値の異常では済まされません。
リンの管理は、あなたの骨だけでなく、心臓や血管の健康を維持するための「命綱」なのです。
※血液検査の目標値:リン 3.5‐ 6.0mg/dL(透析前)
1. 高リン血症が引き起こす2つの深刻な危険
血液中のリンが高い状態が続くと、体内で次のような危険な連鎖が起こり始めます。
骨がもろくなる
血液中のリン濃度が高くなると、骨からカルシウムが過剰に溶け出すようになり、骨がスカスカになります(透析骨症)。これにより、骨折のリスクが急激に高まります。
血管が石灰化する
溶け出したカルシウムが、過剰なリンと結合し、心臓や血管の壁に「石」となって沈着します。これが血管の石灰化です。動脈硬化を急速に進行させ、心不全、心筋梗塞、脳卒中など、命に関わる病気のリスクを高めます。
透析治療だけでは、食事から摂取したリンを全て取り除くことはできません。そのため、リンの管理は「食事制限」と「薬」の二本柱で行うことが非常に重要です。
管理の柱 1:食事(摂取量を抑える)
リン管理の土台です。どんなに薬を飲んでも、食事から大量にリンを摂れば追いつきません。
加工食品を避ける: 肉や魚卵、乳製品、特にハム、ソーセージ、清涼飲料水などの食品添加物(リン酸塩)に注意が必要です。
たんぱく質のバランス: リンは良質なたんぱく質に多く含まれます。医師や栄養士の指示に従い、必要な量のたんぱく質はしっかり確保しつつ、リンを抑える工夫をしましょう。例えば乳製品はタンパク質も多いですが、リンも多く含まれるため、食べる量を控えなければなりません。
※リンを気にしすぎて、食事量を落としてしまうと、体力が落ち、悪循環におちいります。必ず食事はきちんと摂ってください。
管理の柱2:リン吸着薬(吸収をブロック)
食事中のリンが体内に吸収されるのをブロックする薬です。黄金の飲み方: 必ず食事中、または食後5分以内に服用してください。※薬の説明に従ってください。
食後時間が経つと、リンはすでに腸を通過して吸収され始めているため、薬の効果が大幅に低下します。お菓子もリンが多いものがあるので、間食で食べる場合は、その際にもリン吸着薬を服用されたほうがいい場合もあります。医師にご相談ください。
リンの管理と切っても切り離せないのがカルシウムと活性型ビタミンD製剤の管理です。
腎臓の機能が低下すると、体内のカルシウムのバランスも崩れやすくなります。
カルシウム製剤(リン吸着薬): 一部のリン吸着薬(沈降炭酸カルシウムなど)はカルシウムを含んでいます。リンを吸着する一方、体内のカルシウム値が上がりすぎると(高カルシウム血症)、血管石灰化のリスクが高まるため、医師の指示に基づき、慎重に量や種類が調整されます。
活性型ビタミンD製剤: 骨代謝を整えるために処方されますが、これが効きすぎると血液中のカルシウム値が上がりすぎる(高カルシウム血症)原因にもなります。
自己判断で薬を増減したり、飲み忘れたりすると、このデリケートなバランスが崩壊し、高リン血症と高カルシウム血症の両方から血管や骨が脅かされることになります。
リンとカルシウムの管理は、透析患者さんの長期的な健康、特に心臓血管系の病気予防に直結します。
毎食、薬を食事のタイミングで適切にのむ習慣を徹底する。
加工食品を極力避け、減塩と合わせてリンの摂取量を意識する。
採血結果を常に確認し、目標値から外れていないか医師と共有する。
不安な点や食事の工夫については、いつでも医療スタッフご相談ください。私たちと一緒に、いつまでも活動的な生活を送れるよう、「強い骨」と「しなやかな血管」を守りましょう。
透析患者さんにとって、ドライウエイト(DW)は単なる数字ではありません。それはあなたの心臓と血管に一番負担がかからない、「ベストな状態の体重」です。このDWを目指して水分をコントロールすることが、安心で安全な透析治療の土台となります。
ドライウエイトとは、透析で余分な水分を完全に抜き切った後、「高血圧にもならず、透析中に足がつったり血圧が下がったりしない」、あなたにとって一番無理のない理想の体重のことです。英語では「Dry Weight」と書き、「乾燥した体重」という意味合いを持っています。
DWを正しく維持できていないと、体にさまざまな不調が生じます。
⚠️ DWより重い場合(水分を溜めすぎ)
体が水浸しになり、心臓に大きな負担がかかります。その結果、高血圧や、最悪の場合、心不全や肺水腫(はいすいしゅ)といった命に関わるリスクが高まります。
⚠️ DWより軽い場合(水分を抜きすぎ)
透析中に体に必要な水分まで抜けている状態となり、急激に血圧が下がりやすくなります。めまいや吐き気、足のつりといった辛い症状が出やすくなり、快適な透析を受けられなくなってしまいます。
DWは、一度決めたら変わらないものではありません。日々の体調や血液検査の結果に合わせて、「見直し」ていくことが大切です。
誰が決定するか
医師が中心となり、看護師、臨床工学技士がチームで総合的に判断します。
判断材料:毎回の透析での血圧や毎日の血圧、むくみの有無、心臓のレントゲン(水分の溜まり具合)、そして何より「あなたの体調」です。
あなたの役割
「次の透析までに何キロ増えたか」「最近、足がよくつる」「息切れしやすい」など、体の小さな変化を隠さずスタッフに伝えることが、DWを正確に保つための一番大切な行動です。
水分管理: 医師や看護師の指導に従い、一日の飲水量や塩分摂取量を適切に管理します。
塩分管理: 塩分摂取を控えめにすることが、水分管理にもつながります。
定期的な血圧測定: ご自宅でも定期的に血圧を測り、日々の変化を把握することが大切です。
【当クリニックの技術サポート】
当センターでは、透析中の血圧の変動を少なくし、心臓血管の負担を最小限に抑えるため、オンラインHDFや積層型ダイアライザなどの多様な透析選択肢を駆使し、安全性の高い透析を提供しています。
高血圧の原因は水分の過剰蓄積だけではありません。体内のホルモンやミネラルバランスの乱れも深く関わっています。
レニン・アンジオテンシン系の異常(ホルモン): 腎臓から分泌されるホルモンの異常により血圧のコントロールに乱れが生じます。この場合、医師の指示に従い、適切な**降圧薬(血圧の薬)**を服用して血圧をコントロールします。
高リン血症と動脈硬化: 血液検査でリンの値が高い「高リン血症」は動脈硬化を進行させ、高血圧の原因となります。このため、リン吸着剤の服用と食事管理を徹底することが、血圧安定にもつながります。
透析患者さんの約半数が悩んでいると(70~80%とも)言われる「かゆみ(透析そう痒症)」。夜中に目が覚めるほどのつらいかゆみは、睡眠不足やQOL(生活の質)低下の大きな原因です。
かゆみの原因は諸説ありますが、老廃物の蓄積と皮膚の乾燥が主な原因と言われます。この二つにアプローチする正しいスキンケアと治療法をご紹介します。
かゆみの原因の一つは、従来の透析(HD)では除去しきれなかった「中分子量以上」の老廃物(ゴミ)や炎症物質が体内に溜まってしまうことです。透析時間を長くしたり、透析効率のいいダイアライザを利用したりすることが有効です。また、当院も採用している、透析療法のひとつオンラインHDFの「濾過」は、この中分子量物質の除去に特に優れています。治療を続けることで、これらの物質が減少し、かゆみが徐々に軽減していくことが期待できます。
乾燥対策
入浴方法: 熱すぎるお湯は皮膚のバリア機能を壊すため、ぬるめの湯で短時間にし、石鹸は泡立てて優しく洗いましょう。
徹底した保湿: 入浴後、皮膚の水分が蒸発しきる前に、保湿剤(ワセリンや尿素配合クリームなど)を全身にしっかり塗りましょう。
かゆみ止め薬の活用:
自己判断せずに: 医師から処方された抗ヒスタミン薬やステロイド軟膏などを、用法・用量を守って正しく使用しましょう。
かゆみは治療で改善できる症状です。当院では、最新の治療法と連携し、保湿剤の正しい使い方指導や、かゆみ止めの処方など、総合的な対策で患者さんのかゆみの悩みに寄り添います
冬のかゆみについての動画はコチラ
夏のかゆみについての動画①はコチラ
夏のかゆみについての動画②はコチラ
透析治療中や、治療後に「足がつる」「体がだるい」といった不快な症状を感じることはありませんか?これらの症状は、体が発している大切なSOSサインです。
これらの症状の原因を知り、適切な対策をとることで、透析中の不快感を最小限に抑え、快適な治療を受けられるようにしましょう。
主なSOSと原因、対処法
SOSサイン①足がつる
よくある主な原因:透析中の急速な水分除去(除水)による電解質やミネラルの急激な変化。
対処法:治療前に体重増加を抑えること。透析中に足浴やマッサージで血行を促す。
足のつりに関する動画はコチラ
https://youtube.com/shorts/IyTS0Z9cUF4
SOSサイン②だるさ・疲労感
よくある主な原因:従来の透析では抜けにくい老廃物の蓄積や、透析中の血圧変動。
対処法:医師に相談し、オンラインHDFなど、老廃物除去効率の高い治療法を検討する。血圧を安定させるためにドライウエイトの調節や降圧剤の投与を検討する。
SOSサイン③透析中の吐き気
よくある主な原因:急激な血圧低下や、透析液の濃度による影響。
対処法:ナースコールなどでスタッフにすぐ伝え、血圧のコントロールのための処置をしてもらう。
まとめ:不調は我慢しないでください
これらの症状は、患者さんの自己管理だけでなく、透析の設定で改善できることが多くあります。「よくあることだから」と我慢せず、必ずスタッフにご相談ください。あなたの症状に合わせて、除水速度や透析液の組成を調整するなど、最適な対策をとります。
透析治療は長期にわたり、生活に大きな変化をもたらします。そのため、不安、抑うつ、無気力といった「心の疲れ」を感じることは、決して特別なことではありません。
透析患者さんの心の健康を守るためのヒントと、当院でのサポート体制をご紹介します。
心の健康を守るためのヒント
感情を言葉にする: 不安や辛さを一人で抱え込まず、家族や友人、信頼できるスタッフに話しましょう。言葉にすることで、感情を整理できます。人に話すのが苦手な方は、ノートに書き出したり、日記をつけたりするのも効果的です。
完璧を目指さない: 食事や水分管理で「失敗」しても自分を責めないこと。「昨日より今日」と、少しずつ改善できれば十分です。
役割を維持する: 趣味や仕事、家庭内での役割など、「自分が必要とされている」と感じられる活動を続けることが、生きがいにつながります。
まとめ:一人で悩まないでください
心の健康も、体と同じくらい大切です。週に三回顔を合わす透析スタッフ。その人たちに少しぐらい悩み相談したっていいじゃないですか。一人で悩んでしんどくなるぐらいなら、私たちスタッフを頼ってください。
ここまででご紹介した「だるさ」「不眠」「慢性的な疲労感」といったQOLを下げる不調は、体内に蓄積した老廃物が原因となっている可能性があります。特に従来の透析(HD)では除去しきれない「中分子量以上」の老廃物(ゴミ)や炎症物質がその原因と言われます。近年の治療法であるオンラインHDFは、この除去が難しい物質を効率よく取り除くことで、患者さんの「困った」を解決に導く可能性を秘めています。
オンラインHDFは、倦怠感や不眠、かゆみといった不快な症状の改善だけでなく、長期的な炎症の抑制や貧血の改善にもつながり、あなたの生活をより活動的にサポートします。当院では、患者さんの症状に応じて適用を検討していますので、お気軽にご相談ください 。
透析患者さんは、免疫力が低下しやすいことや、透析のためのアクセス(シャント)があるため、一般の方よりも感染症のリスクが高い状態にあります。命綱であるシャントを守り、安全に透析を続けるため、感染症予防は非常に重要です。
A. 日常的な感染予防と衛生管理
シャントの清潔保持: 穿刺部やシャントのある腕は、入浴時に石鹸で優しく洗い、常に清潔に保ちましょう。
手洗いと消毒: 来院時、食事前後、外出後など、こまめな手洗いや手指消毒を徹底してください。
体調管理: 発熱や咳などの症状がある場合は、来院前に必ずクリニックへご連絡ください。
B. 予防接種(ワクチン)の重要性
感染症を重症化させないため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの定期的な予防接種が推奨されます。
当院では、患者さんの状態を確認した上で、これらのワクチン接種に対応しています。
C. 当院の徹底した感染管理体制
当クリニックでは、患者さんに安心して治療を受けていただくため、見えない部分でも厳格な感染対策を実施しています。
透析液の清浄化: 透析液の細菌管理(エンドトキシン、生菌数)を日本透析医学会の基準よりも厳しく管理し、体内に清浄な透析液が入ることを徹底しています。
院内環境: 換気、ベッド周辺や機器の定期的な消毒、スタッフの厳密な体調管理と衛生管理を徹底しています。
透析治療では、定期的に血液検査を行い、体内のバランスを詳細にチェックしています。
検査項目は互いに複雑に絡み合っているため、一つの数値だけを見て自己判断することは危険です。必ず、医師やスタッフから丁寧な説明を受け、日々の食事・水分管理に活かすようにしましょう。ここでは、特に重要な4つの項目と、その目標値の目安をご紹介します。
何を見るのか? 血液中の酸素運搬の役割を果たすヘモグロビン(Hb)の値を見ています。この値が低いと、だるさや息切れなどの貧血症状につながります。
目標値の目安: Hb 10〜11g/dL 程度
値が低い場合: 貧血治療薬や鉄剤の投与が必要になります。
何を見るのか? リンの管理は、骨がもろくなること(腎性骨病)だけでなく、血管の石灰化(動脈硬化の進行)を防ぐための「命綱」です。
目標値の目安: リン(透析前)3.5〜6.0mg/dL
値が高い場合: 食事でのリン制限と、リン吸着薬の食直前の確実な服用が重要になります。
何を見るのか? カリウムは心臓の動きに直接関わるため、高すぎても低すぎても、重篤な不整脈や心停止につながる緊急性の高い項目です。
目標値の目安: 5.5mEq/L 以下(透析前)
値が高い場合: 高カリウム血症は非常に危険です。生野菜や果物、芋類などのカリウムが多い食品の摂取制限と、医師・栄養士への相談が必須です。
何を見るのか? アルブミン(栄養状態の指標)や、透析がどれだけ効果的かを評価するKt/Vなどの値を見ています。
Kt/Vの目標値: 1.2 以上(透析量が十分であることを示します)
値が低い場合: 栄養状態や透析設定の見直しが必要になることがあります。
日本透析医学会
透析治療に関する専門的な情報が掲載されており、合併症についても解説されています。
日本腎臓学会
腎臓病全般に関する情報が網羅されており、腎性貧血や骨病変についても詳しく解説されています。
腎臓病なんでもサイト(日本腎臓財団)
腎臓病患者さんやご家族向けに、食事療法や透析に関する分かりやすい情報を提供しています。
日本高血圧学会
高血圧に関する専門的な情報が掲載されています。