2022年9月7日に琉球大学農学部棟で作物保護検討会が開かれました。
この作物保護検討会では、OGである農業研究センターの山岸さんが「沖縄県の甘藷栽培における病害」について発表されました。
ところで、甘藷とは何なにか?ご説明します。
サイト右上、その他の『サツマイモを知ろう!』の「沖縄におけるサツマイモの歴史」にも書いてありますが、サツマイモはもともと、琉球から薩摩に伝わったモノであり、その当時の呼び名としては蕃薯(ハンス)であったとされています。それから、明治となり学校教育の場では甘藷と呼ばれるようになりました。ここ沖縄では薩摩のイモではないことを強く認識し、親しみを持ってもらうために「紅芋」「甘藷」「琉球芋」と呼ばれることが多いのです。
本題に戻りましょう。
発表の冒頭では、甘藷に関する様々な病害を説明していただき、続く流れで現在猛威を振るっている基腐病について説明していただきました。
この基腐病というのは、国内初発生の病害であるため、その原因や防除対策等の知見が全くないものであり、沖縄県で非常に深刻な被害をもたらしています。(具体的な数値等は「その他」→「サツマイモを知ろう」→「サツマイモの病気」を見てください)
基腐病は長雨による雨水の跳ね返りや台風の影響で蔓延しやすくなるため、この沖縄では非常に広がりやすい環境条件と言えます。そのような沖縄では個人レベルの防除対策だけではなく、行政や企業、研究機関とが連携し総合的な防除体系の構築を作ることが重要であると仰っていました。
農学部の学生でありながらも、このような学会等に参加しなければ知ることのなかった「基腐病」の存在は一般市民レベルともなればこのような事実を知ることなどほとんどないと思います。そして、その問題解決に対して、農家さんや行政、大学含めた研究機関等がこのような会を開き、議論を交わし、意見交換を行っているのです。今回のことに限らず、我々の安全で安定した食料供給の裏には、農家さんや行政、研究機関、皆様の日々の試行錯誤とお勤めがあるのだと、あらためて気づくことができました。
そして、自分たちの先輩である方が、実際に現場に出て活躍され、その報告を我々後輩である学生の前でしてくださり、学生としてこれからの勉学に対して身が引き締まるとともに、とてもカッコいいなと感じました。
編集者 山浦