ゲーム理論 予備の連絡ページ 2020年度 (log)

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このページでは授業記録,試験結果,授業の内容 (教材) への補足などを掲載する予定.重要な事務連絡は主として Moodle コースページで行います.だけどうまく使い分けられるのか自信がないし,いつまで続くかも分からない.ここで更新があれば Moodle コースページでお知らせするように努めます.

以下は過去に受講生に宛てた注意事項.今年度はあんまり関係ないかも.

  • このページは通常は授業当日に公開し,たいていその次の週の火曜日までに内容が確定する.公開後に修正した情報には [追記] あるいは [修正] などと付記することにする.読むのが早すぎた学生は後日それらを拾い読みするといい.

これ以降は配信された「投稿」が続く.古いものから順に並べる予定.

科目ポスターと研究紹介文 9/29

去年まではオリーブスクエア1階掲示板にポスターと科目開講案内を掲示して開講を周知していた.今年は大学に来る学生が少ないから止めたけど,去年のを見たければこちら:


受講科目を決める際に講師の研究業績はチェックしているだろうか? 業績リストを見てもわけがわからないことも多いかもしれない.以下のエッセイは三原の研究の一部を一般向けに紹介した文章である.科目選択の参考になるかもしれない:

履修登録を取消すべきか迷っている人へ 9/29

事務連絡だと思うが,Moodle に載せると「うざい」と言われそうなのでこちらに載せる.シラバスやメールに書いたことと重複があるが,以下を参考にして参加するかどうかを判断するといい:

  • 取消期間が短いので注意.

  • 取り消さなければ成績はつく (シラバス9頁あたり「履修登録の意味」参照).

    • 不可などの悪い成績がつけば GPA (grade point average) は下がる.GPA が下がると在学中や卒業後の海外留学のチャンスを大きく失うだろう.また,奨学金が取り消されたり,特定科目群で一定の成績を要求するような卒業要件を満たせなくなったりする.

  • この科目ではボードゲームやコンピューターゲームは扱わない.社会における人間行動をあつかう.

  • 高校数学の知識はほとんど必要ない.だが,関数を表す f(x, y) といった数学記号に早いうちに慣れないときびしい.「場合分け」などの数学的議論について行ける力も必要.補助教材の2章を眺めれば感じはつかめるはず.「場合分け」はたとえば2.3節に登場する.

  • プログラミングの課題もやるかどうか一応考えている (可能性は低いけど,やるとしたら「秀」の条件として Python あたりで; 講師自身 Python やったことないけど,猿でもできるはずなんで (笑)).グローバル化や人工知能に対応できる人材の育成が大学に迫られているからねえ.

  • 成績に差がつきやすい.期末試験問題の大半は課題や小テストにひじょうに近い類題である.それらをしっかりやっていれば「優」以上を取るのは容易だが (でも2020年度は自習がメインだから「しっかりやる」というのが大変かも),手を抜いたらすぐに「不可」になるだろう.現在の教材に切り換えたのは2016年度で,その年は秀,優,良,可,不可はそれぞれ 4, 2, 0, 3, 1名で,2017年度は1, 0, 1, 0, 3名だった.中間試験を Web 小テストに替えた2018年度は 7, 3, 2, 1, 9名で,2019年度は2, 4, 2, 5, 4 名.

講師の自己紹介 9/29

講師の人物像を知ることは授業内容の理解の増進にもつながると言われている.気になる人のために以下に掲載する.他にも「ゲーム理論: 補助教材」の5.2.1節「三原麗珠の自己紹介への補足」でも見るといい.また,このページ左枠の「連絡先・別サイト」からは個人ページに行けるし,そこからさらに別サイトにもリンクが張ってある.

三原麗珠の自己紹介 (2020年9月).嫌いなものは騒音.活発すぎる娘たちや息子の教育に悩まされ,日々消耗している. もともと長く眠る方だったけど,この4年くらいはほぼ毎日睡眠導入剤を飲んで以前より眠れるようになったため,睡眠時間は9時間を切るようになったと思う.長年の IBS (過敏性腸症候群) のせいで外食だけでなく外出すること自体が億劫になった.授業のある朝は基本的に食事は避けている.最近身体のいろんなところに不調が出て来た.2017年7月にクビの後ろの骨を開く手術を受けたけど,症状である右腕の麻痺はまだまだ続きそう.以前は咳喘息のため一年のうち数ヶ月は咳で苦しむ日々だったが,ここ7年はアドエアあるいはエリプタというステロイド吸入薬が効いている.(でもここ1年ちょっと効きが悪い気も.カビでも吸ってるんだろうか.) ICU (国際基督教大学) の社会科学科で学士,ミネソタ大学の数学院で修士,経済学大学院で博士を取り,大阪大学やカリフォルニア工科大学にいたこともある.10年前に図書館に異動したことで仕事上のストレスは減ったけど,大学では相変わらず学生のためにならない「改革」が続いているため心安らかでない日々を送っている.詩を作ったりオルガン音楽を聴きに行ったりといった時期もあったが,最近は Twitter でときどきつぶやくくらいで,趣味らしい趣味もなくなってしまった.趣味なんかよりたくさん勉強して良質な研究をしたいのだが,家庭的事情や身体的事情でなかなか研究する時間が取れない (いはんや勉強の時間をや) のが残念.


2018年7月にセクハラなどに関するTwitter での発言が盛り上がって全国ニュースになった.そのため「大学の信用を傷つけた」とかで上層部に睨まれた.でもみなさんはまったく気にしなくていいと思う.(どうしても受け入れられない人はこの科目は受講しない方がいいだろう.というか,そういう繊細な人はわざわざそれらの発言を見るな.笑) 批判の大半はストローマン論法 (僕が言ってもいないことを言ったことにして,それを攻撃) だったし,学問的意義も込められた文脈を無視したものだった.問題にされた発言は,仮想的人物の発言の引用だったり,仮定法だったり,反語的表現であったり,同一発言中で取り消してあったり等々.作品中で演じられたペルソナと作者の区別もせずに彼らは怒っていたわけだ.

授業の内容への補足 (改訂中)

この項目は「教材の補足」というタイトルにしたかったのだが,教材自体がいきなり最初に来たのでタイトルを変えた.以下は見落とす人が多いので強調しておく.

  • 補助教材1.2節と2.7節の「コメント」および1.3節と2.9節の「読書案内」を参照.

  • 第2週.用語の和訳付き英語スライド yasuda1504micro8.pdf を Moodle に置いてある.もっと英語で学びたい学生は,補助教材「はじめに」で紹介した Jehle and Reny (2011) あるいは Tadelis (2013) といったテキストの該当部分を拾い読みするだけでもためになるだろう.すでに日本語で理解した部分だけを拾って行くだけでも十分.

  • 第3週.PowerPoint ふうの箇条書きスライドあるいは文章で書かれたテキストのどちらを教材として渡してもらいたいだろうか.講師としては無駄にスライドを増やしたくないため,そしてテキスト自体をじっくり読んでもらいたいためスライドを提供することは避けている.数学では高校時代「問題が解ければいいから」という理由で教科書をよく読んで来なかった学生が多いかもしれない.でも,大学の数学のテキストは,証明などじっくり読むに価する内容を持つものが多い.この授業で用いるテキストは数学というより経済学のものだが,じっくり読むに価するものを選んでいる.緻密で数学的な論理展開をしている割には読みやすいはずだ.


つづく



アンケート 1 の結果を考慮したアドバイス 12/29

2020年11月26日から実施中のアンケートの結果は近いうちに別記事に掲載する.ここではその結果 (過年度のものを一部ふくむ) を受けたうえで,受講生に伝えておきたいアドバイスを述べておく:

  • 履修科目の選択は合理的に.個々の学生が「どういう科目を受講したいか」は個人の選好 (利得) に関する情報であり,講師にはわからない.つまり不完備情報である.講師は学生一般の選好の傾向と自分の選好 (どういう科目を教えたいか) を考慮しつつ科目の内容を決める.いったん決めてシラバス提示した科目の内容を変えることはあまりない.講師にできることは科目の情報をできるだけ提供し,あとは学生に受講するかどうかを判断してもらうことだ.だから今後,選択できる科目を受講するかどうかを決めるときは,その科目の情報を十分吟味した方がいい.あらかじめシラバスを読み.扱っているテキストに目を通し,場合によっては履修取り消し期日までの授業に参加した上でないと決められないこともあるだろう.不確実性が伴うので後悔のない科目選びはゼロにはできないが,できるだけ少なくすることはできるはずだ.書籍を買うとき,中身や評判をまったく見ないで買うことはあまりないはずであるのと同様に.

    • 以上は一般論.まあ,このページを読まないような学生にこそ伝えたい内容だが.この科目ではテキストを含むすべての教材もシラバスも学期冒頭に示しているし,試験も補助教材の類題であると告げている.できるだけ不確実性を小さくしているつもりだ.


  • 勉強法について.「ゲーム理論は今まで習ってきた数学とはかなり異なる」とか「履修している内容は自分の考える数学というイメージより離れていた」といった感想があった.今年度はそうでもないが,例年それで苦労したという感想を聞く.気になる人もいるだろうから,回答しておく.

    • 大学で抽象数学をやり始めた途端に,それまで数学が得意だった学生が数学苦手になるのはよくあることだ. たとえば関数の極限とか連続性 [8分弱の動画] といった,単なる定義さえ理解できない人は少なくない (書けないどころか読めなかったりする; 動画に付いたコメントからも,大学の授業では分からなかったという感想が多い).簡単には克服できない問題であり,数学科の学生であればいくつかの授業を取る中で自分なりの勉強法を見つけていくことになる.よってやり方は人それぞれだろうが,できるだけ授業時に理解すること (授業中起きておくこと; 分からない部分はその場で質問すること; 文字というものは数学的アイディアをなかなか伝えられないからライブを重視しよう),時間をかけて復習して理解を完璧にすること (数学書はある程度分かった時点で読まないと時間がかかりすぎる) あたりは重要だと思う.

    • この科目についてはとりあえず重要な演習を解けるようにすることでポイントはつかめるように構成してある.テスト直前は「この問題ならこの答え」というふうにすぐ知識を取り出せる状態にしておく,つまり「覚える」作業もやるといい.あくまで上記の「理解する」という段階を経た上でやるべし.シラバスの「授業および学習の方法」も参照のこと.


  • やさしい読み物.「私のような者でも理解できるような日本語で書かれ、かつ専門的な計算式などを省いた(文系に優しい)文献など」を教えてもらいたいというコメントが過去にあった.そのときのアドバイスを掲載する:

    • この科目で点数を稼ぐためには必読文献と演習をやるのが効果的だろう.必読文献が難しすぎるなら,伊藤秀史『ひたすら読むエコノミクス』(図も数式もほとんどない),天谷研一『図解で学ぶゲーム理論入門』(概念の解説はいいが,均衡を求める計算の解説が不十分) あたりで科目のイメージを掴んでおくといい (ただしこの科目の点数には直結しない).(読み始めたら2週間以内で終えるのを推奨する.こういう本は時間が空くと読み終えた部分とのつながりがわからなくなるから.) 好みにより鎌田雄一郎『ゲーム理論入門の入門』も検討に値するだろう.将来政治学をやりたいなら浅古泰史『ゲーム理論で考える政治学』も眺めてみるといい (ゲーム理論でどのような政治現象が分析できるかが分かる).武藤滋夫『ゲーム理論入門』はやや単調で (数式はかなり抑えられているけど) 理系的かもしれんが,点数獲得にはより直接的に役に立つだろう.

アンケート 1 の結果とコメント 1/2

Web 解答式のアンケートを2020年11月26日から実施している.1月1日現在で8名から回答を得ている.同時期に実施した小テスト4の受験者数10名 (締切後の回答1名分をふくむ) より少ない.(前年度は同時期に実施した小テスト受験者16名全員から回答が得られた.) ゲーム理論への興味を表明してくれるポジティブな回答多かった.さすが (当初47名いて20名まで減った履修登録者のうちから) 自己選抜された学生たちだ.以下に結果を掲載する.


アンケート質問 1.今後学ぶ範囲について,だれの作成した動画を紹介して欲しいですか.(問題解説3の動画は講師が作成する予定なので,それ以外の範囲について尋ねます.) 以下からあなたの考えにいちばん近いものを選んでください.[以下8名の回答を多い順に列挙]

  • これまでくらいの品質を維持できるのであれば,この科目の講師 (三原) が作成した動画が欲しい.(教材に近いからといった理由か.) 5名

  • (教材と少々ちがっても) 学ぶべき内容をカバーできるなら作者にはこだわらない (講師でもそれ以外でもいい).できるだけ品質の高い日本語動画が欲しい3名

  • (教材と少々ちがっても) 学ぶべき内容をカバーできるなら,講師 (三原) 以外の作者による,できるだけ品質の高い日本語動画が欲しい.0名.

  • (教材と少々ちがっても) 学ぶべき内容をカバーできるなら,英語でもいいのでできるだけ品質の高い動画が欲しい.0名.

  • 動画は要らない.0名.

  • 分からない.0名.

三原のコメント.日本語動画はあまり出回っていないため,希望されたら講師が作らなければならないケースが多い.ここではよりストレートに講師による動画を求められてしまった.それにしては Moodle に置いた動画の閲覧実績は低迷しているんだが.(もちろん動画があっても見ないという選択はできるので,希望すると答えるのは合理的ではある.)


アンケート質問 2.この科目に関して意見や感想を述べてください.文字数は 40-800字を目安とします.内容が充実していれば (不足なく答えることで得点できる1点以外に) 救済点を与えます.一方,不足で書き直しを求められたばあい,修正しなければ得点をもらえないことがあります.

回答の修正は送信後でもできる.回答例を挙げる.◆経済学に対する印象が受講前と変わったとか,経済理論やゲーム理論のファンになれそう/なれなさそうとか,授業でこういう点を改善した方がいいとか,こういう学生はこの科目を受講してはならないといったこと.◆これまでの小テストは勉強になったかどうかとか,小テストの回数や1回あたりの量を増やせ/もう十分とか,Web テストの仕様をこう変えるといいとか,小テストで全問クリアしないと5点獲得し損ねるのはゲーム感覚があって楽しいとか.(ちなみに小テストの仕様についてはお知らせしてある.) ◆回答は (個人情報を除いた上で) 一般公開することがある.同意できない場合はそう書いてください.

質問2の回答と三原からのコメントを載せておく.回答ありがとう.内容ごとにまとめるのはたいへんだったので,各人の回答を段落わけするにとどめ,その後にコメントを書いた:

  • [s1] 経済学は難しい数式がたくさん出てきてとても難しい学問だと思っていたが、ゲーム理論を履修したことでまるでゲームをしているような感覚で経済学を学んでいると感じとても満足している(ゲーム理論それ自体は難しい科目だと感じている)。

    • 三原.学者としては「ゲームをしているような感覚」というのは分かるが,それを学部生が言うときどういう感覚なのかはよく実感がわかない.本当のことを言ってるのなら,学問に向くタイプかも.

  • [s1] これまでの小テストは実践的な問題を解くことでどこが分かっていなかったかを知ることができたのでとても参考になったし、勉強にもなった。ただ難しいと言われているからといってすぐ諦めてしまうという学生は受講しないほうがいいかもしれない。

    • 三原.小テストは教材としてわりと好評みたい [s5, s6, s7 もそういう意見].教える側としては「授業ですでに例をあつかっているのだから,演習問題も解説も余計じゃない? 学生をこんなに甘やかしていいのか?」という思いはあるけど.問題を解くこと自体は (講師が与えようと与えまいと) すすめる.

  • [s2] ゲーム理論については、囚人のジレンマなどのわかりやすい有名な例では知ってはいたが、支配戦略などの専門用語は全くしらなっかったので、当初考えていたよりも意外と奥が深いのだなと思った。 この科目を学ぶ上ではやはり地道な努力が必要であるだろう。

    • 三原.奥は深いだろうね.たった数人が提唱する「学説」なんかとちがって,世界中のいろんな分野の多くの研究者が長年やってるわけだから.

  • [s3] 数学が好きという理由と1年時に履修したある講義で「ビューティフルマインド」の映画を見たときにジョンナッシュの存在とゲーム理論について知ったことで興味を持ちこの授業を履修したわけであるが,この授業はいわゆる代数学や幾何学,解析学の授業とは異なる面白さがあった。それは日常何気なく過ごす中で経験している人間の行動をゲーム理論で説明できるという点である。特にエレベーターの左寄り右寄りがナッシュ均衡で説明されたときには少し興奮してしまった。

    • 三原.ナッシュは混合戦略均衡の存在を角谷の不動点定理を用いて数学的に証明した.数学が得意なら,どんな関数の不動点になるか調べてみるといい.エレベータの左寄り右寄りはとっても初歩的な例だけど,ゲーム理論はもっともっといろんな社会現象を説明できる.説明にとどまらず各種ルール (たとえばオークションのアルゴリズム) の設計にも役に立っている.「マーケットデザイン」といった単語を検索してみるといい.

  • [s3] 今年に限ったことかもしれないが,自習ができない学生や後に回しがちな学生は受講する際に覚悟を決めてから履修登録すべきだと思われる。(そういう自分も自習ができない学生や後に回しがちな学生の一人ではあるのだが。)

    • 三原.そうですね.覚悟についてはかなり強く警告した [s8 へのコメントも参照].

  • [s3] Webテストに関しては必ず自分が解答した選択肢がマークされているか確認してから次に進み,念のために送信前に一度全ページ確認しなおしてから送信するとよいだろう。(小テスト4で私はマークしているつもりがマークされておらず1点失って泣いた。)

    • 三原.テストの仕様についてはすみません.理由は説明しているけど,Google フォームの限界から来てる.

  • [s4] 私は経済学部ですが、経済学という分野が国内外に広く開かれているということを教材の導入や読書案内の部分で感じました。

    • 三原.導入部とは「経済学を学ぶ方のための読書案内」のことかな.動画も前半は英語のものを紹介することが多かった.(希望がなかったから後半は英語の紹介するのを止めたけど.) その辺の国際性については理系科目と変わらない.

  • [s4] 私は理系で経済学部に入学しましたが前期は数学系の講義がありませんでした。後期にこの講義を受講して数学を久しぶりに学習する機会を得たのでとても有意義に感じています。前期は経済学という分野は社会学系の内容が多いのだろうか、とも思っていましたが経済学は数学の要素も多くあるということを実感しました。自分は一応理系なので経済学でも数学的な分野をより学びたいと思っています。

    • 三原.「前期は数学系の講義がありませんでした」というが,なにか取り忘れてない? (また数理科目が削減されたのかしらん……社会情勢に逆行して.) 数学的にやって行きたいなら理論 (ミクロ・数理・マクロ)・統計学・計量経済学を教える教員の科目を中心に学んでいくといい.応用分野でも授業によっては数理的にやるはず.

  • [s5] 履修している内容は自分の考える数学というイメージより離れていたが、理解ができれば楽しい。1度理解すれば楽しくテストも解けるが、わからなければとことんわからないのでテストが難しい。

    • 三原.基礎概念が分からないと始まらないよね.そこは純粋数学に近い.s1 ふたつめのコメントも参照.

  • [s6] ゲーム理論は今まで習ってきた数学とはかなり異なるものであったので非常に興味のあるものであった。

    • 三原.他の回答へのコメントでほぼ指摘した.別記事アンケート 1 の結果を考慮したアドバイス」も参考になるかも.

  • [s6] また例題も豊富で理解を深めることができる点やテスト対策として良いと感じている。

    • 三原.s1 ふたつめのコメント参照.

  • [s7] ナッシュ均衡や強支配など、聞いたこともなかったゲーム理論の専門用語について理解した時が非常に楽しい。[……]また、ゲーム理論は直感に背く事象も多く存在するが、その事象について論理的に解明するのが非常に楽しい。

    • 三原.s5 と s3 最初のコメントが関係するかも.

  • [s7] また、小テストに期限が設けられていることで、期限内までに小テストに該当する範囲を完ぺきに理解することが求められ、それによって効率的な学修ができていると考える。

    • 三原.s1 ふたつめのコメント参照.s8 の意見とは対比的.

  • [s8] 私はこの講義は計画性のない者(自分も含め)は受講すべきではないように感じた。というのも、Moodleのカレンダーの欄に小テストやアンケートの締め切りが表示されないため、こまめにページを開く必要があったり、授業動画の視聴に締め切りがないため、計画性のない者はどんどんと遅れる形になるからだ。もちろんこれは個人の責任であるが、人には向き不向きがあると思うので、私のような計画性のない人にはお勧めできないと考える。

    • 三原.回答者に計画性が無さそうなのは実績 (4回あった小テストの初回受験記録は,締切後が2回で締切前40分以内が2回) からも納得できる.しかし20名の登録者のうち小テスト4を受けたのが10名に過ぎないことを考慮すると,そのくらいが「普通」なのかもしれない.

    • 三原.講師としてはこういう事態を予測して,履修取り消しを検討するように学期始めにかなり警告した「学生への指示: 2章まで」に「自習時間は週6時間ていどを想定している.時間を十分確保できない人は,履修を取り消した方が身のためだろう」とも書いた.はっきり警告しただけの時間さえ確保するつもりがなかったのなら問題外.たとえ確保していても想定外の用事が多かった,ということはあるだろう.でも,小テストの準備をする時間くらいは捻出して欲しかった.

    • 三原.授業動画の視聴に締め切りを設けるのは,神取7.4節で扱った「コミットメント」になっていることを説明できるだろうか? 一応有効な方法ではあるが,講師としてはつい「救済」したくなるんだよ.

    • 三原.カレンダーについては検討する.(設定した日付が記事に表示されないことなど) 機能的に不満があるので採用するかどうかは悩ましい.ただ,小まめにコースページを訪れる必要があるわけではない.たとえば小テストの範囲は学期始めに予告しているし,締切は2週間前までに予告している.週1回訪れれば締め切りまで最低1週間はあるはずだ.たとえカレンダーを導入したとしてもイベント設定時以外にも週1度は訪れてもらいたいところ.

  • [s8] ただ、経済学部に所属しており、内容は非常に興味があることなので個人的にはどうにかついていきたいと考えている。

    • 三原.非常に興味がある」と言う割には,動画を閲覧した記録がほとんど無いんだけど (瞬間的にでも閲覧した動画は16本中1本のみ).「選好は行動に現れる」というのは経済学の基本的な考え方 (顕示選好) のひとつ.

  • [s8] また、本講義ではたくさんの外部資料を用いる点からトラブルが発生しやすい点は否めない。理解を深めるために様々な種類の資料などを用いるのは納得がいくが、可能であれば講義担当の先生にそれら資料を踏まえたまとめの動画を作成し、そちらを主として授業を進めていき、わからない点があれば掲示板で質問、回答し、その回答に合わせる形で補足資料の紹介をし、講義サイトのトップページはきれいにまとめていただきたい。先生方が多忙であることは重々承知で非常に恐縮ではありますが、この講義の受講者を増やし、経済学並びにゲーム理論への理解を深め、広げていくために何卒よろしくお願いいたします。

    • 三原.採用していたテキストが絶版になって教材の改訂に追われたことが過去数回あった.それもあって,定評あるテキストを組み合わせる現在の方式に変更した.複数のテキストを用いるにあたっては,(「トラブル」というほどではないものの) 当然注意すべき点がある.用語の不統一 (展開形ゲームの「決定点」が「点」「分岐点」「節」「ノード」などとよばれる類い),記述の誤り,モデルの微妙な違い,文献の適切な位置付け等々.

      • それら注意すべき点については補助教材で十分すぎるほど指摘している.各章にコメントや読書案内をつけているし,教材本文で代替的な説明に言及したり (2.4節が一例),モデルの微妙な違いを脚注で指摘することもある (3.3節の脚注19が一例).通常の数学テキストは他のテキストがどういう記述をしているかといった (教育効果の薄い) ことに紙面を割かない.それに比べると補助教材の指摘は大幅に (たぶん必要以上に) 充実しているはずだ.

      • 回答者は「教材」ではなく「講義」(動画; 本人はほとんど見てないようだが) で説明して欲しいのかもしれない.しかし上述のような注釈に時間を割くのは得策ではないと考える (文献比較の授業ではないのだから) .講義ではメインアイディアを伝えることに重点を置きたい.講義は理解しづらい部分などに絞ったハイライトである.分かりやすくするために,いずれかの必読文献にできるだけ沿った形にしている.自作しない場合も,必読文献の重要ポイントを終えさえたものを選んでいる.

        • 細かいことについては.補助教材を参考にしつつ元の文献を熟読して欲しい.定評あるテキストに書かれた注意深い説明は,限られた時間の口頭説明で代替できるものではない.

    • 三原.掲示板は「学生も投稿できるフォーラム」という形で設置している.当初から積極的な貢献を求めているのは「こちらのフォーラムを通じて授業に貢献することを期待します」とある通り.質問に限らず補助教材で不十分だった点とか,それらを自分で調べて分かった解答の書き込みなんかも歓迎する.

    • 三原.「トップページ」とは,Moodle コースページの扉を指すのだろうけど,授業準備の進捗にあわせて更新していることもあって,確かに改善の余地はありそうだ.どうすればいいか,具体的なヒントはあるだろうか? 現時点で重視している条件は,日付などの事務連絡についてできるだけクリックなしで一覧できることなどである (追記や修正もクリックなしで読めるように).見やすいページが満たすべき条件はお互いに両立できないことがある.結果的に扉ページが見にくくなってる可能性はある.

期末試験直前情報 2020年度 2/10

期末試験の形式,受験上の注意 (結果の発表についても),出題ポイントにかんする情報を以下に掲載する.試験問題冊子に記載する「注意」項目が多いので,あらかじめここで把握しておいた方がいい.

試験形式など

    • 試験の場所と時刻は各自確認のこと.

    • 出題形式は小テストの Web バージョンと「記述式」バージョンのあいだに近い.式や導出過程を問う問題がある.

    • 以下のような問題がそのまま出題されることは (追試験や再試験を除いて) ない.ただしこの一問には出題ポイントの多くがふくまれているので,参考にするといい:

      • 自分が好きなゲームを8個挙げ,それぞれについて適当な解概念を定義し,その解を求めよ.ただし,戦略形ゲーム・展開形ゲーム・不完備情報ゲームのそれぞれを最低2つはふくめること.また,解概念としては,支配戦略均衡・ナッシュ均衡・部分ゲーム完全均衡・完全ベイジアン均衡をすべてふくめること.

試験問題冊子に載っている「注意」

以下は例示であり,数字などは年度に応じて変わる:

  • 問題冊子4枚,計算用紙1枚が綴じてある.問題数は8問である.解答は問題冊子に直接記入して提出すること.計算用紙は提出しなくてよい.

  • 配点の目安はそれぞれの問題のところにしめしている.合計で74点である.

  • 問題 4 以外は純粋戦略の範囲で考えよ.

  • 「分子/分母」の形で分数を表すことがある.たとえば 3/5 は5分の3である.

  • 記号法や表の配列などは,特に断りのないかぎり授業でしめしたものにしたがう.展開形ゲームの情報集合の表し方がテキストと異なることがあることに注意.

  • 問題中に誤りを発見したばあい,試験中または試験直後に三原まで申し出ること.ボーナス点を与えることがある.

  • 試験中に問題修正をすることがある [実際にやった実績はゼロに近い].その際すでに退室した受験者が不利益を被る可能性がある.途中退室した受験者は,退室することによる不利益を了解した上で退室したものとみなす.

最後のページに「自由記述欄」があるときの指示書きの例:

  • 解答への補足,計算,落書き,授業の感想などを書いていい.

    • なにか書いたことが理由で減点されることはない.加点される可能性はいくらかある.(科目によっては単位の請願などを不正扱いすることがあるので注意.)

    • 感想などは (個人情報を除いた上で) 連絡ページに掲載される可能性が高い.

    • 解答に補足するときは問題番号を明記すること.(たとえば問題4は解法によっては式を端的に示しにくいかもしれない.導出過程が長くなるときはこの欄を利用してよい.)

試験問題冊子に載っていない注意など

  • 規定である15分を越える遅刻でも受験を認めることがある.退出者の有無等で判断する.試験開始後30分は退出を認めないつもり.(申し出があれば受験時間を70分は与えるが,途中で別室に移動してもらうことがある.)

  • 万一欠席し,かつ単位取得を希望する場合:

    • 試験後早めに (できれば2時間以内に) 講師にメール等で連絡がとれれば,非公式の追試験や再試験を行うことがある.

    • 非公式の試験を行えないばあいは,大学公式の追試験/再試験となる.大学が定めた要件を満たす受験希望者は,期日内に修学支援グループに受験願を提出すること.筆記試験あるいは口述試験あるいはそれらの組み合わせになる.

  • 結果の発表について:

    • 試験問題,正解,配点,および採点基準は試験後に Moodle コースページに掲載する.

    • 成績の分布などは Moodle または連絡ページに掲載する.

    • 期末試験の個別の結果 (各問題の得点合計点) および総合評価は Moodle あるいはメールで各自に知らせる予定.

出題ポイント

  • 試験範囲はこの科目であつかったものすべてである.準備としては,課題および小テストを復習しておくといい.

    • 今年度の期末試験の配点はたぶん74点 (小テストは26点).ほとんどは「試験対策用課題一覧」(自分の受講年度のものを参照すること) にある問題を理解しておけばできるはずの問題だと思ってよい.

      • 大部分の演習にある動画も助けになるだろう.

    • 小テストの正解例 (Moodle で配布済み) には目を通しておいた方がいい.問題を筆記式に書き直してある.

      • 小テストの類題の比重は高い.もともと課題一覧にある問題数は25題と限定されているし,小テストはその半分以上を軽くカバーしてるから.

      • 支配戦略やナッシュ均衡の定義を忘れていないだろうか.上記動画や正解例などで記憶をリフレッシュしておこう.

      • 例年,中間試験 (今年度でいえば小テスト) はよくできたのに期末試験で失敗する学生が少なくない.小テストは最後の回を除くとその後の授業の理解に必要不可欠な最低限の内容しかテストしない一方で,期末試験はその科目全体の理解をまんべんなくテストする.このちがいを踏まえて準備すること.とうぜん期末の準備には小テストにくらべてだいぶ多くの時間がかかるはず.

    • 他の科目にも役立つかもしれない試験勉強のヒント.今さらだが,以下のふたつのタイプの勉強法は分けた方がいいと思う.小テストの初回受験時の点数が低い人は,前者が不足してるのではないか.後者だけでは現状の能力内での対応の練習にはなっても,能力向上にはあまり役に立たない感じがある (試験が済めばなにも残らない):

      • 普段の勉強では時間をたっぷりかけて問題をじっくり理解する.

      • 試験直前の勉強では問題の理解を再確認し,すぐに答えを「取り出せる」(思い出せる) 状態にしておく.

    • ある問題のヒントが他の問題に書かれていることが例年のようにある.たとえば定義問題で答えるべき式のヒントが別の問題中の式で与えられているとか,情報集合や戦略の意味をうろ覚えでも別の問題の脚注を読めば思い出せるとか,そういう類いのこと.

      • 問題文の意味さえ正確に把握できれば,ゲーム理論を学んでいなくても正解できるはずの問題を出す年も結構ある.

    • 演習2.7 (戦略形ゲームにかんする真偽問題) については,均衡からひとりが離れるかふたりが離れるかという小問 g または h の類題を出すことが多かった.偽の命題に関しては反例を挙げられるようにしておこう.

    • 演習2.11 (混合戦略均衡) については,利得の数値の違いはもちろん,Player A と B どちらの戦略を尋ねられても対応できるようにしておくべし.

    • 追加演習4.1, 4.2, 4.3 (4.7節の最初の3問) の類題は出題しない.

    • 演習4.10または4.12の類題 (オークションを扱ったもの) は出題する.4.12については,微分など他問題とはちがう数学が必要なので注意.また,問題文中に出てこない文字を断りなく使わないように注意 (たとえば人数は n 人ではなくて10人となってるかもしれない; 入札額は b ではなくて y となってるかもしれない).解答中に改めて n=10 などと導入すれば可.

    • ヘンな問題」については.Moodle コースページその他で挙げたものに注意.たとえば補助教材5章「問題解説と「おわりに」」からの出題例や高松市中央卸売市場の水産部のセリに関する出題例が挙げられていた.

では,グッド・ラック!

期末試験結果 3/7

記録・事務連絡

    • 期末試験は2月12日実施.9名受験.1030開始,12:00までに4名退出.残り5名は最後まで受けた.

    • 期末試験問題・正解例・配点・採点基準は Moodle のコースページに掲載した.

      • 期末試験の採点は以下の3種類の点数を別々に計算して念入りに行った: (i) 獲得点を手計算で合計した点数,(ii) 獲得点を自動で合計した点数,(iii) 減点を手計算で合計した点数.

      • 期末試験総点の得点率は56%だった.2016年度以来の数値は80%, 57%, 80%, 70%だった.今回は受験者数が少なかった割には得点率が低かった.得点率59%以下の問題が8問中5問あった.小テストや試験対策用として予告した課題との類似性を考えれば,もっと点数を取って欲しかった.

      • 過半数の受験者が失点した問題 (中央値が満点でない問題) は2016年度は8題中2題,2017年度は9題中7題,2018年度は9題中1題,2019年度は8題中5題,2020年度は8題中6題だった.

      • 期末試験問題は返却しない.内容を確認したい人は三原オフィスへ.あらかじめメールで連絡を取った方がいい.

    • 成績に関するデータはこちら. 成績評価 (秀はS, 優は A, 良は B, 可は C, 不可は X) の分布,小テスト・期末試験・それら合計の得点分布・平均点・中央値が載っている.得点分布はそれぞれ高い得点から順にリストしており,特定の行に横に並ぶ点数は同一学生のものを意味しない.

    • 期末試験の各問題ごとの得点分布・平均・中央値は,上のスプレッドシート左上の「期末詳細」タブをクリックすると現れる.得点分布は問題ごとに高い得点から順にリストしており,特定の行に横に並ぶ点数は同一学生のものを意味しない.

    • 当初および最終的な履修登録者47名と20名に対して,期末試験受験者は9名,合格者は6名だった.(今年度は自習が中心になるため) 当初から合格者はこの程度になるだろうと予想していた.最後までしっかりと取り組む学生だけを学期はじめに十分確保することは毎年度の課題である.来年度については今年度の実績をしめせば安易な受講は減らせるだろう.しかしこれが結構くせもので,好成績を目指すような学生に限ってリスクを嫌いすぎ,履修登録を取り消したりする.

    • 個別の成績は Moodle に掲載した.Moodle に表示された成績が大学から後日受け取った成績と一致していない場合は,修学支援グループに「成績調査依頼票」を提出のこと.

      • 以下の全項目の値が確認できる (このような詳細な情報を提供していることを知ることもなく終わってしまう人が毎年のようにいるけど): 期末の各問の点数,各回の小テスト点数,小テスト合計,期末得点,試験総点,救済点,救済点コメント,救済後総点,最終評定.

      • 小テストの配点は26点で,各回の配点は当初予告した「評価点」通りとした.以下は合格した時期で区切った評価点:

        • 小テスト1: 5, 0, -5

        • 小テスト2: (6 or 5), 0, -5

        • 小テスト3: 5, 0, -5

        • 小テスト4: 5, 0, -5

        • 小テスト5: 5, 0

      • 小テストの受験回数による評価点の減点は最初の締め切り以前についてのみ実施した.締め切り以後は正解例が配布されているため受験回数を数える意味がないため.

        • 合格点に至るまでの受験回数が6回以上でマイナス1点,16回以上でマイナス2点とした.

        • 小テストの記録で (タイムスタンプと氏名表記を除く) すべての回答が同じものは重複としてあつかった.重複分は受験回数には数えていない.(1度だけ送信したつもりのものが2度送信されたり2度記録されたりするエラーにはこれで対処できる.)

      • 7点を上限とする救済点 (ボーナス点) の扱いは以下のとおり.フォーラム参加とアンケート回答で2名が2点を,7名が1点を獲得した.その時点で救済点の考慮は中断した.アンケートの追加分と期末テストのコメント欄に2点を与えても評価が改善される可能性がある人がいなかったため.救済点で評定が変わった者はいなかった.

    • Moodle コースページは 4月1日以降のいずれかの日に閉鎖される予定.必要なファイルは各自保存すること.

    • [教員向け情報] Moodle に成績評定を載せる方法をアップデートした.


最後に

    • ゲーム理論についてもっと知りたければ,あらためてシラバスの「参考文献」欄を見るとよい.読み物の類いも載っている.

      • もちろん補助教材の読書案内も参考に.特に経済学を専攻しようとする学生には,「はじめに」にある「経済学を学ぶ方のための読書案内」を何度も参照して,経済学マスターのためのプランを作ってみることを勧める.

    • なにか相談したいことがあったら今後も会いに来てくれていい.ただしメールで連絡をとっておかないと捕まりにくいだろう.学問一般とか若者・学生事情にかんする雑談,経済学関連分野大学院進学にかんする相談などを歓迎する.一方,普通の就職とか経済情勢なんかについて尋ねてくれてもあまりためになることは言えないと思う.また,自分はひとの名前だけでなく顔もすぐ忘れてしまうので,ゲーム理論を取っただれだと教えてくれないとたぶん分からない.

では,ごきげんよう! おっと,下の付録を忘れずに.

付録: 期末試験の自由記述欄のコメントと,それへの返答 3/7

期末試験の自由記述欄のコメントから (表記は多少変えてある; カッコ内の数字は講師の独断によるパワー指数):

    • 「本講義では今までさんざん言われてきた数学が実生活に役立つことを実感することができたと思う.特にせりなどのオークションは実際に社会の中で起こっていることであり,実感が湧きやすかった.ゲーム理論は経済学の一種であることを知り,ほんの入門にすぎないかもしれないが学べてよかったと思う」(2065)

      • 三原: 模範的回答だね (笑).もっと泥臭くない応用例も挙げておくべきだった.(以下を「ゲーム理論の教材」ページに追記した.) ビジネスや政策の最先端に関わろうとするマーケットデザインではゲーム理論がばりばりに使われている: 東京大学マーケットデザインセンター; Economics Design Inc.

    • 「理系で経済学部に入りましたが,数学の授業などはあまりなかったので,この講義を通して経済学の数学をもっと学びたいと思いました」(2058)

      • 三原: その機会はじゅうぶんある.経済学部には理論科目が少なくない一方で理論に興味を持つ学生は希少だから,教員方には歓迎されるんじゃないかな.興味がある科目や入りたいゼミがあったら,授業中に積極的に発言するなりオフィスを訪れるなりして,できるだけ早いうちにその教員に関心を伝えた方がいいと思う.その際もし関係があったら,「三原麗珠のゲーム理論科目で」あるいは「三原麗珠のゲーム理論科目に」興味を持ったと伝えてもらえるとありがたい.一般論として,大学時代の思い出を聞かれたときには,教授名や科目名を具体的に挙げられるようでありたい.学者は論文なんかでも世話になった人への「謝辞」をとても大切にするものだ.

    • 「私は経済学部で,理系科目を一つ取らなければならないと考えた時に,経済学に通ずるものがいいと思い,この数学Bを取った.最初の方 (特に2章) は抽象的で文字や記号が頻出していたのできつかった.非常に.しかし,ゲーム理論を学んでいくにつれて,日常生活との結びつきが感じられたり生活の上で有用であることが感じられたりした.学問らしい学問をしているなと思った.「ナッシュ均衡」や「ベイジアンゲーム」など初めてきいた限りではフォルマーの定理のように難しそうにきこえるものの概念や意味を,学修を進めるにつれて理解するのは快感であった.快感は学問をする上での特権である.私の持論です.」(2049)

      • 三原: ゲーム理論は,経済学に通じるというより経済理論そのものだけどね.

      • 三原: それぞれの概念がどういうカテゴリに属するか確認する習慣を.たとえば利得 u_1(p, q) はひとつの数値であって,数値の組ではない.そこから誤解しているのは,ゾウとかライオンといった動物を動物園の一種と思うくらい酷いぞ.

    • 「加えて,他の授業とは違い,完璧に主体的な学習が求められる.それなりに学修を怠ると,振り落とされていくような気がして,自分を律するいい機会になったと言えるだろう.サバイバルゲームのような感じだった.最後にゲーム理論を選んで良かったと思いました.ありがとうございました」(同上)

      • 三原: 「完璧に主体的な学習が求められる」なら「サバイバルゲームのような感じ」にはならない気もするが,まあいい.「テキストを読んだことを確認するていどのクイズ」を毎回やるといったことなら考えられる.今年度はまったく余裕がなくて無理だったが,他の教員はやってるのかしらん.あんまりテストをやると効き目も薄らいでしまうので,ちょっと考えこむ.

    • 「数学のオンライン講義はなかなか厳しいものがあると思う.大学数学に入り抽象概念などいわゆる「イミの分からない奴」に多く遭遇したときに質問がメールなどの文語ではなかなかしづらい」「自分が思っているより研究室訪問のハードルは低いのだろうか……行きづらくて入りにくい印象を持っている」(2034)

      • 三原: 数学は講義をフォローするのが大変だったりするから,繰り返し聞けるのは助かるんじゃないかと思う.意思伝達については印刷された文字だけで伝えるのは限界があるので,動画でも手書きをかなり取り入れた.質問もタブレットを使うとか手元をカメラで写すなど工夫すれば,ホワイトボードを利用するのとあまり変わらないんじゃないか.今年度は動画作成で余裕がなかったのと,そもそもリクエストされなかったので実際には試す機会がなかったけど.

      • 三原: オフィス訪問のハードルの高さは教員とオフィス構造と学生本人次第.親切でない教員もいるが,親切な教員も多いはず.いっしょにいて楽しいフェミニストもいれば女性蔑視の言葉だとかにいちいちいちゃもんをつけるフェミニストもいる.だからやってみないと分からないけど,やって不利になる事は考えにくい.しばらくいても大丈夫かとか,どのくらい丁寧に話せばいいかとかが気になるなら聞いて,自分が合わせるなり相手に合わせてもらうなりすればいい.

        • 僕の場合は基本的に放置 (分かったと思った後にひとりで考え直す時間が必要だということを知ってるから; あと,店で店員にいろいろ対応されるのは好きじゃないし).自己紹介くらいはして欲しいところだが.学問の本質にかかわるような疑問を持ってきてくれるとありがたいけど,そういう学生はほぼ皆無だから気にしなくていい.三原オフィスは長机が数脚並んでいて,小さな教室のような感じ (古い写真).お客さんの真正面にならないように机も微妙にずらしてある.試験前に何人か来てオフィスの中で自習して,疑問があれば質問するというのが例年.

    • 「初めのころは利得表を見ても,どれがナッシュ均衡なのかさっぱり分からなかったが,勉強していくにつれ,色んなことがわかるようになり,楽しんで問題に取り組むことができた」「[全称量化子の書き方など] 1つのことについて複数通りの表し方,考え方ができるようになった」(2030)

      • 三原: 「すべての」を扱った問題1ができたのはよかった.その努力を他の問題にも広げて欲しかった.

    • 「私は計画性がない点と忘れっぽい性格とが重なり,講義ページ,ウェブサイトにいくのを忘れ,他の方に比べると頻度はかなり少なくなってしまったと思う.この点に関しては熱心に授業をしてくださっている先生に対し大変失礼であったと思う.この場を借り,謝罪したい」(2018)

      • 三原: 本人が損をしただけなので,反省するのはいいだろうが謝罪はいらない.

    • 小テストは1度しか受けられないと勘違いした.iPhone Safari のプライベートモードを使っていたため動画閲覧の記録が失敗した可能性あり.連絡希望.「他の方が私のようにならないよう情報提供していきたい」(同上)

      • 三原: 連絡済み.小テストが複数回受けられることは十分伝わっているはず.プライベートモードは利用した機器に記録を残さないためのもの.ログインしたらサービス側には記録が残ると考えるのが自然だが,いずれ検証してみたい.そちらで分かったことがあったら情報提供よろしく.