北海道大学低温科学研究所

環オホーツク観測研究センター


更新情報

  • 低温研共同研究集会「環オホーツク陸海結合システムの冠動脈:対馬暖流系の物質循環」(7/21-22 講堂・オンライン開催)を掲載しました。 プログラム

  • 低温研共同研究集会「知床とオホーツク海の海氷・海洋・物質循環・生態系の連関と変動」(6/9-10 講堂・オンライン開催)を掲載しました。 プログラム

  • 出版物に Progress in Oceanography Special Issue "Biogeochemical and physical linkages between the Arctic Ocean and Sub-Arctic Pacific through the marginal seas"を掲載しました。

  • 研究トピックにプレスリリース記事(黒潮と親潮をつなぐ日本東方の海水輸送過程の可視化)を掲載しました。(3/20

  • 2月10日から16日にかけて、海上保安庁の砕氷船そうやによるオホーツク海の流氷観測を実施しました。

  • 研究トピックにプレスリリース記事(深海に滞留する燃焼由来の溶存物質)を掲載しました。(1/14)

  • 環オホーツク観測研究センターのFacebookはこちらです。


  • 黒潮と親潮をつなぐ日本東方の海水輸送過程の可視化(3/20)

  • 【研究集会】縁辺海と外洋を繋ぐ対馬暖流系の物理・化学・生物過程(10/25-26)

  • 2021年南東グリーンランド氷床におけるアイスコア掘削と雪氷・気象観測(10/18)

その他のページ


研究集会:環オホーツク陸海結合システムの冠動脈:対馬暖流系の物質循環

2022年7月21日(木)〜22日(金)

会場:北海道大学低温科学研究所 3階講堂およびオンライン

主催:低温科学研究所共同研究集会

プログラムはこちら

研究トピック

黒潮と親潮をつなぐ日本東方の海水輸送過程を可視化
(博士研究員 西川はつみ*,教授 三寺史夫)

*現 東京大学大気海洋研究所 研究員

  • 北太平洋移行領域は,中緯度の気候,海洋生態系にとって重要な海域。

  • 移行領域の黒潮水と親潮水の動向が海底地形と密接に結びついていることを可視化。

  • 流れの時間変動が,移行領域への黒潮水供給に重要な役割を果たしていることを明示。

北海道大学低温科学研究所博士研究員(研究当時/現:東京大学大気海洋研究所 研究員)の西川はつみ氏と同大低温科学研究所の三寺史夫教授,水産研究・教育機構水産資源研究所の奥西武グル ープ長,東京大学大気海洋研究所の伊藤進一教授,海洋研究開発機構の美山透主任研究員らの研究 グループは,亜熱帯循環と亜寒帯循環の境界である“北太平洋移行領域の形成過程を漂流型の海洋気象ブイや海流の仮想粒子追跡手法を用いて解明しました。

日本の東側の北緯 40 度付近に帯状に広がる北太平洋移行領域は,黒潮と親潮の水が混ざり合った特徴的な水塊が形成される海域です。この移行領域は,亜寒帯海域にもかかわらず比較的暖かく栄養 が豊富なことから海洋生態系にとって好環境であり,漁場も形成される豊かな海です。さらに,この海域での海面水温変動は,中緯度の大気循環に大きく影響することもわかってきています。しかし, 移行領域での黒潮・親潮水の挙動はこれまで十分には理解されてきませんでした。本研究では,黒潮水・親潮水が移行領域の中を海底地形に対応した流れによって輸送・滞留する様子を可視化し,移行 領域の形成過程を解明しました。また,移行領域へ黒潮水が供給されるためには,流れの時間変動成分(=渦)が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。

なお,本研究成果は,2021 年 10 月 18 日(月)公開の Progress in Oceanography にオンライン掲載されました

https://doi.org/10.1016/j.pocean.2021.102691

詳細はこちら(プレスリリース)

研究トピック

深海に滞留する燃焼由来の溶存物質
~太平洋深海における溶存黒色炭素の除去プロセスを発見~
(地球環境科学研究院 准教授 山下洋平,低温科学研究所 教授 西岡 純)

●森林火災や化石燃料燃焼の副産物である溶存黒色炭素が深海に普遍的に存在することを発見。

●深海の溶存黒色炭素が沈降粒子に吸着され,除去されるプロセスを発見。

●自然界に備わる二酸化炭素隔離機構の理解に大きく貢献。

北海道大学大学院地球環境科学研究院の山下洋平准教授と,同大学大学院環境科学院(研究当時)の中根基裕氏,森雄太郎氏,同大学低温科学研究所の西岡 純教授は,東京大学大気海洋研究所の小川浩史教授と共同で,太平洋に燃焼の副産物である溶存黒色炭素が普遍的に存在すること,太平洋深海から溶存黒色炭素が除去されていることを明らかにしました。

森林火災や化石燃料燃焼に伴い不完全燃焼産物である煤や炭などの熱成炭素が生成されます。熱成炭素の多くは,環境微生物による分解を受けにくく,土壌や海洋に蓄積されやすいことから,地球表層の炭素循環から二酸化炭素を隔離する機能を有すると考えられています。陸上の燃焼活動により生成された熱成炭素の一部は水と共に移動できる形態である溶存黒色炭素に変質し,河川を経由して海洋へと輸送されることが知られています。しかし,海洋へと輸送された溶存黒色炭素が,どのように分布し,どのように挙動するのかは不明でした。そこで研究グループは,南緯40度から北緯54度までの太平洋全域における観測を行い,溶存黒色炭素が太平洋に普遍的に存在すること,太平洋深海中の溶存黒色炭素の濃度は深層水循環に伴い減少することを世界で初めて明らかにしました。また,溶存黒色炭素濃度と溶存酸素濃度との関係から,沈降粒子に溶存黒色炭素が吸着され,深海から除去されることが判明しました。

本研究成果は,地球全体での熱成炭素の収支を解明する上で欠かせない成果であり,気候変動によって変わりつつある森林火災と炭素循環の関係を正しく理解する上でも貴重な知見となります。

なお,本研究成果は2022年1月13日(木)公開のNature Communications 誌にオンライン掲載されました。
https://doi.org/10.1038/s41467-022-27954-0


詳細はこちら(プレスリリース)




環オホーツク地域とは、オホーツク海を中心とし、西は北東ユーラシアから東は北太平洋、北は北極圏から南は亜熱帯域にわたる地域と捉える。この環オホーツク地域では、近年温暖化が進み、シベリア高気圧の急速な弱化、オホーツク海季節海氷域の減少、海洋中層の温暖化、陸域雪氷圏の面的変化としてその影響が鋭敏に現れている。当センターは、環オホーツク地域が地球規模の環境変動に果たす役割を解明すること、また気候変動から受けるインパクトを正しく評価することを目的とし、その国際研究拠点となることを目指して設立された。これまで、短波海洋レーダの運用や、衛星観測、船舶観測、現地調査等を通し、オホーツク海及びその周辺地域の地球科学的研究と環境変動モニタリングを進めてきた。また、ロシアをはじめとする海外との国際的な研究ネットワーク構築を進め、国際的な観測がほとんど行われたことの無かった環オホーツク地域の陸域・海域・空域の研究を推進してきた。環オホーツク地域に存在する多分野にまたがる地球科学的な課題に挑戦するためには、分野を超えた研究を進める必要があり、当センターでは、専門の異なる研究者間が分野をまたいで有機的に連携し研究に取り組んでいる。当センターではこのような体制のもと、国内外の研究者とともにプロジェクトや共同研究を立ち上げ、牽引し、科学的課題に挑戦し、研究成果に結びつけることを目指し活動している。

センター長 西岡 純

お問い合わせ

〒060-0819 札幌市北区北19条西8丁目

北海道大学低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

E-mail: porc-info at pop.lowtem.hokudai.ac.jp

Facebook