令和8年度のメンバーを更新しました。(4/20)
修士論文、博士論文を更新しました。
メンバーのページを更新しました。外国人特別研究員としてMatthew J. Corkill博士、Alfira Yuniar博士が環オホーツク観測研究センターに所属しました。(2026.1.16)
伊原希望さんがPICES(北太平洋海洋科学機構)の2025 Future ECOP SEES Award Winnerを受賞しまし、基調講演をしました。(2025.11.11)
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研究集会:西部北太平洋の沿岸ー外洋を繋ぐ海洋循環・物質循環・海洋生態系研究(12/8-9)
オホーツク海北海道陸棚における高濁度底層混合水:分布、季節変動、拡散(4/15)
北太平洋西部亜寒帯域における純一次生産量の10年規模での減少(4/15)
西部北太平洋の植物プランクトン群集組成を制御する栄養物質供給機構の解明(4/10)
砕氷型巡視船「そうや」による観測(2020年2月)を掲載しました。(最新情報、「そうや」観測ページ)
【課題名】海洋貯熱量ならびにそれが駆動する海洋熱波と生態系への影響の理解(UHEAT)
研究代表者:
黒田寛(北海道大学低温科学研究所)
フランシスコ=ハイメ・ ミル・カラファット バレアレス諸島大学、スペイン)
エレノア・フライカ= ウィリアムズ ハンブルク大学、ドイツ)
EIG CONCERT-JAPAN, SICORP
プレスリリース
本研究は、北太平洋および北大西洋における地域的な海洋貯熱量の変化と、それに関連する海洋熱波の発生メカニズムについて理解を深めることを目的とする。それらの理解に基づき海洋熱波を高精度予測する手法を開発し、魚類の将来分布を予測することで、海洋熱波の頻発に対応できる柔軟な漁業の実現に貢献する。従来手法では、十年規模変動を除去するために気候モデル出力を10年程度平均し、その将来水温から魚類分布を予測していたが、新手法では、典型的に5日~数カ月続く海洋熱波を高精度に予測し、漁業現場に実装可能なより信頼性の高い魚類分布予測を提示する。 日本チームは、気候モデルの出力と創発的制約手法を用いて将来の海洋貯熱量と海洋熱波を評価・予測するとともに、主要魚種の生息域分布を予測することで、健全な水産業の発展・維持に資する情報を提供する。他方、欧州チームは、衛星データやベイズ手法を活用して海洋貯熱量および海洋南北熱輸送量を高精度に推定し、さらにこれらを活用して海洋熱波を高精度に予測するAIモデルを構築する。日欧共同研究の強みは、海洋貯熱量を共通軸として、北太平洋・北大西洋における気候モデルと深層学習による将来予測を融合し、海洋熱波の高精度予測を実現できる点にある。2つの大洋を対象とすることで、海洋熱波の一般性と地域特異性の両面が解明される。
【本研究のポイント】
●グリーンランド氷床北西沿岸地域の積雪の化学的特性を犬橇を使って観測。
●ノースウォーター海域の海洋生物活動と海氷上のフロストフラワー由来のエアロゾルを検出。
●アイスコア掘削によるノースウォーター海域の100年規模の環境変動の復元の可能性を示唆。
北海道大学低温科学研究所の黒﨑 豊特任助教、的場澄人助教、飯塚芳徳教授らの研究グループは、グリーンランド北西沿岸部の氷河・氷床上を犬橇で移動しながら積雪を採取し、この地域の積雪中の非海塩性硫酸イオン(nssSO42−)濃度とメタンスルホン酸(MSA)濃度が隣接するノースウォーター海域の過去の海氷変動と海洋生物活動を復元する指標になることを示しました。
ノースウォーター海域は、強い北風と暖流の影響を受けて海氷の生成と流出が繰り返されるポリニヤ域です。ポリニヤの形成・維持機構の変化は、その周辺の海氷変動や海洋生物活動、水・物質循環に大きく影響します。グリーンランド氷床の積雪やアイスコアは、過去の降雪や大気中に浮遊する不純物(エアロゾル)を保存しており過去の環境変動を復元するための貴重なアーカイブです。本研究では、ノースウォーター海域の環境変動と周辺積雪の化学的特性の関係を明らかにすることを目的に、グリーンランド氷床北西沿岸地域において広域積雪観測を行いました。
観測地域の深さ4.20 mの積雪は4年間の環境情報を保存しており、春から夏の海洋植物プランクトンの増殖を起源とするMSA濃度と、秋から冬の薄氷上に形成されるフロストフラワー起源のnssSO42−濃度のピークが検出されました。これらのエアロゾルの輸送経路を推定した結果、これらのエアロゾルの放出源はノースウォーター海域であったことが示唆されました。
本研究では、グリーンランド氷床北西沿岸地域の積雪が、ノースウォーター海域における海氷変動と海洋生物活動を理解するためのアーカイブであることを示しました。今後、この地域でアイスコアを掘削し、過去100年間のノースウォーター海域の環境変動とそれが周辺環境に与えた影響を復元することを目指します。
なお、本研究成果は、2025年11月25日(火)公開のThe Cryosphere誌にオンライン掲載されました。
論文名:Characteristics of snowpack chemistry on the coastal region in the northwestern Greenland Ice Sheet facing the North Water(ノースウォーター海域に隣接するグリーンランド氷床北西沿岸地域の積雪の化学的特性)
URL:https://doi.org/10.5194/tc-19-6171-2025
詳細はこちら
https://meetings.pices.int/meetings/annual/2025/pices/speakers
全文ダウンロード(85MB)
北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP):個々の論文のダウンロードができます。
環オホーツク観測研究センター(以下センター)は,2004年4月に北海道大学低温科学研究所の附属施設として,それまで紋別にあった流氷研究施設を改組する形で設置された.当センターは,オホーツク海を中心とする北東ユーラシアから北太平洋,北極圏から亜熱帯にわたる地域(環オホーツク圏)が地球規模の気候変動に果たす役割を解明すること,また同地域における気候変動のインパクトを正しく評価することを目的とし,環オホーツク圏環境研究の国際拠点となることを目指して活動してきた. 2013年には改組を行い,分野横断的なテーマを対象とした2つの研究分野「気候変動影響評価分野」,「流域圏システム分野」を設け,さらに国内外との共同研究ネットワークを強化するために「国際連携研究推進室」を設置した.この3つを横断的に機能させることで,環オホーツク圏の科学的研究を強く推進してきた
センターは2024年3月で発足後20年を迎える.政治的背景のために観測が困難でデータの空白域であった環オホーツク圏の実態を明らかにすることを目指し,国内,ロシア,中国,米国など50以上の大学や研究・行政機関と連携し,研究機関ネットワークと観測網の構築を行い,数多くの国際共同研究プロジェクトを実施してきた.センターではこれまでにロシア極東海洋気象学研究所(Far Eastern Region Hydro-meteorological Research Institute; FERHRI)との共同研究を立ち上げ継続し,ロシアの調査船を使用した共同観測を実施してきた.この共同観測はロシアの排他的経済水域内における海洋観測の事実上唯一の機会となり,多数の国内外の研究者が参加し,当海域の海洋循環・物質循環の解明や古気候の復元などの成果に繋げてきた.また,アムール川河川流域の水文・物質循環の観測,サハリン北部の海氷・気象・沿岸観測,カムチャツカ半島の森林動態調査,エアロゾルモニタリング,山岳氷河研究などが,ロシア科学アカデミー極東支部太平洋地理研究所,同水生態学研究所,同火山地震学研究所などの研究機関との連携によって実施されてきた.宗谷暖流の研究では,海洋短波海洋レーダー,ドップラーレーダーの運用や,衛星観測,船舶観測,現場調査等を通し,道内水産試験場,漁業組合などと地域機関と連携し,環境変動モニタリングを進めてきた.また低温科学研究所が1996年より進めてきた海上保安庁との共同研究である砕氷巡視船「そうや」を用いた冬季南部オホーツク海の海氷域観測を,当センターが引き継ぎ,継続し実施している.この希少な海氷域の観測の結果,海氷の消長に関わる物理学的な知見や,オホーツク海の海氷長期変動,海氷が関わる海洋循環や生物地球化学的過程などが明らかになっている.これら海洋観測で得られた知見は,「環オホーツク情報処理システム」を用いた将来予測なども含めた数値シミュレーション研究の展開に利用されている.陸域山岳氷河観測では,国際共同研究として米国のアラスカ,ロシアのカムチャッカ半島においてアイスコア掘削を行い,水物質循環メカニズムの変遷を理解するための研究に用いられた.これらの氷河研究はその後,ヒマラヤやグリーンランドにおけるアイスコア研究へと発展し展開されている.また,「知床科学委員会」など国や地方が進める環オホーツク地域の自然理解と環境保全に対して積極的な貢献を行い,世界自然遺産「知床」周辺の海洋や陸面の観測を主体としたプロジェクトを立ち上げ,この地域の陸海相互作用の仕組みと変遷の理解を目指して研究を進めた.この知床周辺の取り組みでは,ゴミ問題などの社会学的な視点も含めて研究が進められた.このようにセンターでは,環オホーツク圏の理解を深化するための研究プロジェクトを牽引・推進し,その地球環境システムにおける役割を明らかにする点で成果を上げてきた.この20年間の研究で,環オホーツク圏では温暖化が進み,シベリア高気圧の急速な弱化にともない,オホーツク海季節海氷域の減少,海洋中層の温暖化と循環の弱化,オホーツク海から北太平洋への物質移送と生物生産,陸域雪氷圏の面的変化などにその影響が鋭敏に現れていることを示した点は重要な発見と言えるだろう.
本号の「低温科学」では,当センターが20年間で実施してきた数々の研究で得られた主な成果の一部と,当センターで始められた研究が発展し全国や世界を舞台に展開された研究などを,現センターに在職する研究者およびセンターを卒業し現在は第一線の研究者として活躍しているOB/OGによって執筆することにした.本稿の読者に,この20年間で広くセンターで実施してきた研究の軌跡と,その後,発展的に進められた研究について紹介できれば嬉しく思う.
「低温科学」 第82巻編集委員会
西岡 純・三寺史夫・白岩孝行・中村知裕・的場澄人・篠原琴乃
環オホーツク地域とは、オホーツク海を中心とし、西は北東ユーラシアから東は北太平洋、北は北極圏から南は亜熱帯域にわたる地域と捉える。この環オホーツク地域では、近年温暖化が進み、シベリア高気圧の急速な弱化、オホーツク海季節海氷域の減少、海洋中層の温暖化、陸域雪氷圏の面的変化としてその影響が鋭敏に現れている。当センターは、環オホーツク地域が地球規模の環境変動に果たす役割を解明すること、また気候変動から受けるインパクトを正しく評価することを目的とし、その国際研究拠点となることを目指して設立された。これまで、短波海洋レーダの運用や、衛星観測、船舶観測、現地調査等を通し、オホーツク海及びその周辺地域の地球科学的研究と環境変動モニタリングを進めてきた。また、ロシアをはじめとする海外との国際的な研究ネットワーク構築を進め、国際的な観測がほとんど行われたことの無かった環オホーツク地域の陸域・海域・空域の研究を推進してきた。環オホーツク地域に存在する多分野にまたがる地球科学的な課題に挑戦するためには、分野を超えた研究を進める必要があり、当センターでは、専門の異なる研究者間が分野をまたいで有機的に連携し研究に取り組んでいる。当センターではこのような体制のもと、国内外の研究者とともにプロジェクトや共同研究を立ち上げ、牽引し、科学的課題に挑戦し、研究成果に結びつけることを目指し活動している。
センター長 西岡 純
〒060-0819 札幌市北区北19条西8丁目
北海道大学低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター
E-mail: porc-info at pop.lowtem.hokudai.ac.jp