北海道大学低温科学研究所

環オホーツク観測研究センター

更新情報

  • 著書紹介:アムール・オホーツクシステム(巨大魚附き林)(最新情報)(6/3)
  • サハリンポリニアにおけるフラジルアイス生成に関する論文が出版されました(最新情報)(5/28)
  • チベット高原の空気塊の起源と挙動に関する論文が出版されました(最新情報)(5/28)
  • 研究のトピック「海洋のコンベアベルトの終着点における栄養塩循環の解明」を掲載しました(5/26)
  • オホーツク海の豊かな生態系を育む流氷の役割を解明した論文が出版されました。(最新情報
  • ロシア極東海洋気象学研究所との国際共同研究の成果の論文が2編出版されました。(最新情報
  • 環オホーツク自己点検評価2019を掲載しました。(出版物のページへ)
  • 砕氷型巡視船「そうや」による観測(2020年2月)を掲載しました。(最新情報「そうや」観測ページ
  • パタゴニア横断雪氷観測の論文が出版されました(最新情報
  • 東部南太平洋の海洋観測の様子を掲載しました。


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研究トピック

海洋のコンベアベルトの終着点における栄養塩循環の解明

〜縁辺海が海を混ぜ、栄養分を湧き上がらせる〜

    • 海洋コンベアベルトの終着点である北部北太平洋において栄養物質循環を捉えることに成功
    • 北太平洋に広がる中層水が栄養物質を運び、縁辺海で混ざって表層へ湧き上がることを解明
    • 気候変動による海洋の炭素巡回、栄養物質循環、生態系の変化を含めた将来予測の進展に期待

北海道大学低温科学研究所の西岡 純准教授と同大学院地球環境科学研究院の山下洋平准教授,東京大学大気海洋研究所の小畑 元教授,小川浩史教授,安田一郎教授,長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科の武田重信教授らの研究グループは,これまで明確には理解されていなかった,グローバルスケールの海洋循環(海洋コンベアベルト)の終着点に位置する北太平洋の栄養物質循環像を明らかにしました。


これまで北太平洋では,どのようなメカニズムを経て海洋表層に窒素やリンなどの栄養塩が供給され,生物活動が維持されているのかは良くわかっていませんでした。本研究では,これまでに予想されていた,深層に蓄積されている栄養塩が直接表層の高緯度海域を肥沃にしているという考えを覆し,ベーリング海で形成される中層水の栄養塩プールの形成と海峡部で起こる混合が,深層と表層の栄養塩を繋ぐ重要な役割を果たしていることを明らかにしました。この中層水由来の栄養塩とオホーツク海から流出する鉄分が混合することで,西部北太平洋の生物生産が高い状態で維持されていることが解明されました。本研究で見えてきた北太平洋の栄養物質循環像は,地球規模の海洋物質循環を解明する上で鍵となるエリアの理解を大きく進めます。今後,海洋における炭素循環,栄養物質循環,生態系の気候変動に起因する変化を理解する上で欠かせない知見となります。

本研究は,新学術領域研究「海洋混合学の創設」及び「新海洋像」,その他の科学研究費補助金,低温科学研究所共同利用開拓型研究の助成を受けて実施されました。

なお,本研究成果は2020年5月26日(火)公開のProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌にオンライン掲載されました。


詳細はこちら(プレスリリース)



観測を実施したプロフェッサー・マルタノフスキー号(上)と白鳳丸(下)
プレスリリースより引用

研究トピック

オホーツク海の豊かな生態系を育む流氷の役割を解明

~生物に必要な鉄分を流氷が運ぶ~

    • 微量栄養素である鉄分が流氷から海へ放出される仕組みを解明。
    • 流氷から放出された鉄分が植物プランクトンの増殖を促すことを実証。
    • オホーツク海の水産資源はどのように変わっていくのか,将来予測に繋がることが期待。

北海道大学北極域研究センターの漢那直也博士研究員と同低温科学研究所の西岡 純准教授らの研究グループは,オホーツクの流氷に含まれる鉄分の量と存在状態,その起源を明らかにし,流氷から放出される鉄分が生物に使われやすいことを証明しました。

流氷は,様々な起源からなる粒子状の鉄分を非常に多く含んでいますが,粒子状の鉄分が海水中に放出された際に,植物プランクトンが鉄分を使えるのかどうかはわかっていませんでした。本研究では,流氷が融けた状態を模擬した培養実験を行い,植物プランクトンが使うことのできる流氷中の鉄分の存在状態を調べました。その結果,植物プランクトンは流氷から放出された粒子状の鉄分を使って増殖することが確認されました。

本研究成果は,「オホーツクの流氷は栄養物質を運び,豊かな生態系を支えている」という従来の認識を科学的見地から裏付けるもので,流氷がオホーツク海の生物生産に果たす役割の理解が進むと期待されます。

本研究は,GRENE北極気候変動研究事業,科学研究費補助金,キヤノン財団,タスマニア大学ツネイチフジイ奨学金,低温科学研究所共同利用の助成を受け,タスマニア大学海洋南極学研究所の研究者らと共同で実施しました。

なお,本研究成果は,2020年3月31日(火)公開のMarine Chemistry誌に掲載されました。

詳細はこちら(北海道大学プレスリリース)



海水中の小型と大型の植物プランクトンの色素の同度変化。流氷の融け水を加えた実験区では、溶存の鉄を加えた実験区と同様に植物プランクトンが増殖した。






「環オホーツク地域」とは直接的にはオホーツク海とその周辺地域を指しています。しかしその意味するところは、東西には北太平洋とユーラシア大陸を包含 し、南北には熱帯・亜熱帯や北極圏からの影響を受けている、広大な領域であると私たちは捉えています。厳寒なシベリアからの寒気により、オホーツク海は北 半球において最も低緯度で結氷するという大きな特徴があります。海氷は地球環境に様々なインパクトを与えていますが、中でも私たちは結氷時に生成される高 塩水の中層(300-500m)への沈み込みと、それを原動力とした物質の長距離輸送に注目してきました。特に、アムール川を起源とする「鉄分」がオホー ツク海中層循環に乗って千島列島へと到達し、潮汐混合等を介して海表面に戻ることで最終的に親潮域や北太平洋亜寒帯循環の広域にわたって植物プランクトン の光合成に利用され生物生産を支えているという、絶妙な仕組みが明らかになりつつあります。また、海氷自体が鉄分を効率的に運ぶことも分かってきました。 このように巧妙なシステムを持つ環オホーツク地域ですが、河川流域における土地利用の変遷や昨今の温暖化による海氷の減少の影響が懸念されています。

環オホーツク観測研究センターは、このように豊かな環オホーツク地域の環境の研究を進めるため、平成16年に北海道大学低温科学研究所の付属施設として 設立された国際研究拠点です。設立から10年を経て平成25年に改組を行い、新しい分野横断的研究テーマを対象とした2つの研究分野「気候変動影響評価分 野」、「流域圏システム分野」を設け研究活動の更なる発展を目指しています。また、国内はもとより、ロシア、中国、アメリカ、カナダなどの大学・研究機関 との共同研究ネットワークをさらに強化するため「国際連携研究推進室」を設置しました。国際的な研究者コミュニティーの発展と研究基盤・観測ロジスティク スの整備により、長期的視野に立った、より独創的な共同研究プロジェクトの創出を目指しています。

センター長 三寺 史夫

お問い合わせ

〒060-0819 札幌市北区北19条西8丁目

北海道大学低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

E-mail: porc-info at pop.lowtem.hokudai.ac.jp

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