「温泉道場」視察
2023年12月7日(木)
2023年12月7日(木)
【PURPOSE】高田仲町における温浴施設建設および運営の検討にあたり、先進事例から効率的かつ戦略的な施設運営等を学ぶ
(埼玉県児玉郡神川町渡瀬337-1)
【施設の特長】
食事処では、地元企業の「ヤマキ醸造」の協力による発酵食品を活用したメニューを展開。糀・地味噌・地醤油などを取り入れ、美容と健康を意識した飲食を提供している。地産地消の取り組みとして、地元の食材はもちろんのこと、“海なし県:埼玉”でサバを育てることにチャレンジし、温泉水を活用したサバの養殖事業を手掛けている。
【Point Of View】
料理の味のレベルの高さもさることながら、地域の食の価値を高めることに積極的に取り組む姿勢からも、「食」への強いこだわりが感じられる。
温泉部分や建物外観といったハード面は古いまま手を付けず、中の休憩スペースや食事処などソフト面を徹底的にリノベーションしている。狭い敷地面積ながら、ゆったり寛げて、かつプライベート空間が確保できるような、おこもり感のあるくつろぎスペースが点在。中でも、床を丸くくりぬいた穴にソファーが埋め込まれている、「お味噌のように寛ぐ発酵空間:葉隠」は、地域の食である「発酵」と温浴施設が提供する「くつろぎ」を融合させた、この施設を象徴する空間である。
また、季節ごとの雰囲気を演出する仕掛けとして、冬は「こたつとおでん」、夏は「縁日屋台」を設置。そのほか、館内の掲示物にも遊び心があり、つい足を止めてしまうような仕掛けが随所にある。
(埼玉県熊谷市久保島939)
【施設の特長】
ハレニワ=「ココロとカラダが晴れる庭」をテーマに、緑があふれ、まちなかにいながら自然を感じられる空間を演出。レストランでは、㈱ザ・ファームと共同開発した野菜や地元の食材をふんだんに使った地産地消のメニューを展開している。地域最大級のキッズパークを備え、ファミリー層をターゲットに設備を充実させている。
【Point Of View】
近隣に競合施設がいくつかある中で、ターゲットを完全にファミリー層にシフトすることで、差別化をはかっている。キッズエリアの遊具は、いわゆる「健康ランド」では見ることができない本格的なもので、こどもたちが夢中で遊べて安全に楽しく過ごせる場所を提供している。遊具の数々は、スタッフがDIYで作り上げ、充実度を維持しながらも、経費は最低限に抑えることで、顧客の興味やニーズに敏感に反応し、飽きさせない空間づくりに努めている。
また地元の野球チームの発信基地であるカフェでは、定期的なパブリックビューイングでファンが集い、ここでしか得られない地域密着型の情報と体験を提供している。
(埼玉県比企郡ときがわ町玉川3700)
【施設の特長】
親子三代で楽しめる施設として、昔なつかしい昭和レトロをコンセプトにし、古き良き銭湯文化を伝えている。
地域に根ざした季節ごとの行事やイベントを積極的に開催し、こどもからお年寄りまで幅広い年代をターゲットにした空間づくりに力を入れている。
【Point Of View】
まわりに何もない山間にあり、ゴルフ帰りの方が立ち寄るだけであった温泉施設を、徹底的な雰囲気造成を施すことで、「旅の目的地」にまで育て上げている。「昭和レトロ」な空間は、その時代を知らない世代にとってもどこか懐かしく、駄菓子屋やおもちゃコーナー、ゲームコーナー、昔ながらの銭湯のタイル、時代を感じさせる看板やポスターなど、大人も子供も一緒になって時間を忘れて非日常を楽しめる工夫が随所に散りばめられている。
休憩コーナーにはカラオケ設備があり、ランキング入賞者のポスターを作成して貼りだすなど、遊び心のあるサービスからも、顧客との距離感バランスの高さが窺える。ただ懐かしい疑似的な空間ではなく、現役の施設として地元の方々にも愛され、季節の行事には地域の人でにぎわう場所でありながら、「昭和レトロ」というはっきりしたテーマを打ち出すことで、地元客と観光客をつないでいる。
(埼玉県比企郡ときがわ町本郷930-1)
【施設の特長】
美しい清流沿いにある里山グランピングリゾート。川と自然に囲まれて、BBQや川遊びのほか、本格的なサウナも楽しめる。持ち込みキャンプのほか、デラックスキャビンで、グランピングを楽しむこともできるので、アウトドアビギナーも安心。企業合宿などの研修も受け入れている。
【Point Of View】
企業向けの研修施設・合宿施設の側面も残しながら、トレンドをうまく取り入れ、イグルーサウナやフィンランド式の本格サウナを導入。キャンプ施設は、アウトドア上級者向けの持ち込みテントエリアと、初心者向けのグランピングエリアがあり、さらに、グランピングエリアの中でも、テントタイプ・キャビンタイプ・デラックスキャビンタイプと段階的に備えることで、利用者が求める体験に応じて選択できる設定になっており、顧客層の幅を広げている。
清流「都幾川」は本当に美しく、地域資源を生かした施設づくりと、ニーズやトレンドに敏感に反応する集客戦略がマッチした施設である。
【PROSPECT】
「温泉道場」の施設運営や集客手法として、明確なコンセプトの設定と、顧客ニーズやトレンドに応じた仕掛けづくりの努力を各施設で見ることができた。利用客の回転率ではなく、「ひとりひとりの滞在時間をいかに長くするか」ということに重きをおいて、空間づくりを考えている。また、各施設は異なるテーマやコンセプトのもと運営しているが、母体である「温泉道場」の、地域における役割と未来のイメージは共有されており、一見唐突に思える挑戦的な取り組みも、ストーリーとして発信することで、利用客の共感を得て、ファンを増やし、「目的地」になる施設づくりにつなげている。この点は、大島グループの上越・高田エリアの地域活性化や観光事業開発の取り組みにも通ずるものがあり、施設の新設や運営において非常に参考になった。