宮城県栗原市(六日町通り商店街)・塩竈市(本町商店街) 視察
2025年4月21日(月)
2025年4月21日(月)
【PURPOSE】
大島グループが活性化に取り組む「浄興寺大門通りスクエア」を、将来的に観光拠点・交流拠点として展開していく中で、外部への情報発信の手段としての「視察受入れ」をどのように構築できるか、その参考とすることを目的として視察を実施。単なる見学ではなく、有料で視察を受け入れている先行事例に触れ、具体的な運営のあり方を学びます。
栗原市:人口6万人
かつては高度経済成長期の賑わいを見せていた六日町通り商店街ですが、人口減少や後継者不足、経営環境の変化により、店舗の廃業が続いてきました。平成20年頃には青果店を除き、生鮮食料品を扱う店がすべて閉店するなど、商店街としての機能が大きく低下していました。
このような状況を受け、商店会では平成28年に「地域おこし協力隊」を導入し、活性化に取り組み始めました。現在は4名の協力隊員が商店会のメンバーと連携し、「シャッターを開ける人!」というキャッチフレーズのもと、空き店舗の調査、情報発信、イベントの企画、商品開発など、多面的な活動を展開しています。商店街を、上質なものが揃うひとつの「百貨店」のような空間にすることを目指し、創意工夫を重ねています。
まちづくりの中心人物が開いたおしゃれなカフェ
協力隊の開いた本屋さん。かなり安価な家賃でチャレンジできるシェアショップの取り組み。
出店可能な物件はもうほぼ無い。大家さんが住んでいる場合は貸さないこともあるそう。
視察先のまちづくり会社より、これまでの取り組みやその背景についてご説明いただきました。一見するとシャッター通りのように見えるこの通りですが、過去10年間で約40店舗が新たに開業しており、そのうち約20店舗が現在も営業を続けているそうです。
毎年6月から8月にかけて、月に一度「土曜夜市」を開催しており、地域内外から多くの来場者を集めています。その他にも、季節ごとに趣向を凝らしたイベントを継続的に実施しています。地元のベテラン店主たちも若い世代の意見を柔軟に受け入れており、情報共有も活発で、良好な関係性が築かれている様子がうかがえました。
商店街には、雑貨店や本屋、カフェなどセンスの良い個人店も点在していますが、人通りの少なさは依然として課題です。「地域おこし協力隊」の隊員は活動4年目に自立して自身の店舗を構えることを目指していますが、商店街の活性化と両立しながら安定した経営を続けるには、相応の難しさがあるとのことでした。
なお、視察は有料で実施しており、次の2コースが用意されています。
Aコース(2万円・税込):資料投影による説明と質疑応答(60分)
Bコース(3万円・税込):Aコース内容に加え、商店街内のガイドウォーク(30分)
実際にBコースの視察を体験しましたが、視察受け入れが毎月1組程度あるとのことで、資料や説明、案内の流れなど対応が体制化されている印象を受けました。
塩竈市:人口5万人
塩竈市にある本町商店街では、以下の店舗を中心に視察を行いました。
佐浦(浦霞 蔵元直売所 & 角打ち処)/ひろ埜(宇喜世陶器卸元)/松野鮮魚店(地魚・惣菜販売)/熊久酒店(地酒販売・試飲)
店舗の密集度は高くないため、いわゆる「商店街らしさ」はやや薄いものの、徒歩で回れる距離に個性的な店が点在しています。
浦霞の酒蔵では直営ショップにて有料の利き酒体験を提供しており、通年で楽しめる観光コンテンツとなっています。また、酒蔵が近隣のショップ情報をまとめたチラシを配布するなど、エリア全体の回遊性を高める工夫が見られました。
コイン式試飲ができる酒蔵
角打ち・試飲できる酒屋さん
魚屋では焼き魚や総菜を店頭で販売しており、近隣の酒店では試飲や簡易的な角打ちスペースを設けているなど、地域の味を楽しめる仕掛けが点在しています。スイーツショップもあり、立ち寄りながらゆっくり巡れば、半日程度の滞在が可能と感じました。
さらに、近隣の港からは松島行きの遊覧船も出航しており、商店街の散策と合わせた観光ルートの構築も期待できそうです。
【PERSPECTIVE】
視察先の自治体はいずれも比較的小規模であり、上越・高田の市街地エリアとは地域特性や人口規模が異なる部分もありましたが、行政と連携しながら「地域おこし協力隊」を導入し、まちの活性化から定住支援へとつなげる取り組みは大変参考になりました。協力隊員が地域と関わりながら経験を積み、将来的には自立して店舗を構える仕組みは、商店街の担い手づくりという観点でも示唆に富んでいました。
ただし、「地域おこし協力隊」の受け入れについては、都市部では対象外となるケースもあり、私たちのエリアにおいてそのまま導入するのは難しい現状もあります。今後、制度的な支援を受けるためには、行政とのさらなる調整や制度の柔軟化が求められるかもしれません。
今回の視察を受けて、「浄興寺大門通りスクエア」でも視察受入れをテスト的に導入していく予定です。
その際には、料金設定、案内メンバーの選定、説明資料の整備、案内ルートの検討など、実務面の準備が重要になります。また、所要時間や適切な時間帯、対応可能な受け入れ人数、店舗の営業状況(定休日等)を考慮したうえでの受入体制の構築が求められます。
視察対応は単発の対応ではなく、継続的な地域の発信・関係人口づくりにもつながる要素です。関係者間で役割や分担を明確にし、受入れを「地域の仕事」として根づかせていけるよう、準備と検討を進めていきたいと考えています。