第2分科会
「縄文時代に火葬があったのか?」
「縄文時代に火葬があったのか?」
【第2分科会】
テーマ :縄文時代に火葬があったのか?
共 催 :日本人類学会骨考古学分科会
日 時 :10月26日(日)
場 所 :新潟医療福祉大学 第2講義棟Q203教室 アクセス
現在、日本の火葬の普及率は99%に及び、仏教の普及と関連して説明されることが多い。しかし、仏教による火葬以前にも被熱を受けた人骨は、縄文時代から存在する。それらは白骨化した人骨が焚火などのそばに置かれて、偶然被熱したと思われるものから、現在の火葬と同じく高温で完全に白色を呈する人骨まで、骨の状況は様々である。
1988年の石川日出志氏の被熱人骨に関する論考のなかでは、縄文時代で全国21遺跡、弥生時代を入れると32遺跡の出土例が記載されている。今では、縄文時代に限っても全国の91遺跡で確認され、出土例は増加している。しかし、これらの被熱人骨が、どのように被熱したかを検討した研究はこれまであまり知られていない。縄文時代の火葬の実態は未解決のままである。
欧米では出土焼人骨の研究は盛んであるが、我が国においては具体的な検討事例は多くない。近年、新潟県阿賀野市土橋遺跡、村上市上野遺跡で相次いで焼人骨関連の良好な遺構が検出され、人骨に関する詳細な分析が行われている。被熱した骨がどのようにして生じたのかを、従来からの形態的な肉眼観察に加えて、これまで用いられてこなかった新手法の理化学的な分析や、動物骨による焼成実験を行って明らかにしようとしている。そこで、本分科会では、これらの分析・実験から得られた成果とともに、遺跡の概要、縄文時代の遺体の扱い方や焼獣骨との関係を含めたシンポジウムとし、「縄文時代に火葬があったのか?」に迫る内容とした。
人類の歴史のなかで家族、もしくは仲間が亡くなった場合、どのようにして葬送儀礼をおこなったかを解明することは、精神性、もしくは心性の歴史を探るうえで極めて重要な視点と考えている。
なお、当日は新潟医療福祉大学自然人類学研究所で焼人骨に関連する展示を行う。シンポジウムと合わせて、ご覧頂きたい。
9:00~ 9:10 趣旨説明
奈良貴史(新潟医療福祉大学)
9:10~ 9:35 縄文時代葬制にみる遺体の取り扱い
谷口康浩(國學院大學)
9:35~10:00 阿賀野市土橋遺跡の概要
村上章久(株式会社帆苅組)
10:00~10:25 村上市上野遺跡の調査概要
加藤元康(公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団)
10:25~10:50 出土焼人骨の基礎的研究
古澤妥史(新潟医療福祉大学) ・奈良貴史
10:50~11:00 (休憩)
11:00~11:25 新潟県で出土した縄文時代の焼人骨の放射性炭素年代測定(予報)
米田 穣(東京大学)・逢坂暖(東京大学) ・奈良貴史
11:25~11:50 縄文人はいつ焼かれたのか?
逢坂暖 ・米 田 穣・奈良貴史
11:50~13:30 (昼食休憩)
13:30~13:50 縄文時代における焼人骨と焼獣骨の相関
阿部友寿(公益財団法人かながわ考古学財団)
13:50~14:10 (休憩)
14:10~16:00 討論
司会:奈良貴史・宮尾亨(新潟県立歴史博物館)
16:00~16:10 総括コメン ト
石川日出志(明治大学・日本考古学協会会長)