第1分科会
「ヒスイ原産地から見た縄文~古墳時代のヒスイの加熱処理と玉製作」
「ヒスイ原産地から見た縄文~古墳時代のヒスイの加熱処理と玉製作」
【第1分科会】
テーマ :「ヒスイ原産地から見た縄文~古墳時代のヒスイの加熱処理と玉製作」
日 時 :10月26日(日)
場 所 :新潟医療福祉大学 第2講義棟Q201教室 アクセス
当分科会はヒスイ原産地である糸魚川地域(富山県朝日町含む)におけるヒスイ玉製作に加熱処理が用いられたことを明らかにし、原産地以外におけるヒスイ素材・製品やヒスイ玉製作のあり方について原産地との比較を通して検討するものである。
加熱処理については既に寺村光晴らの指摘があり、研究史を整理し縄文時代の資料観察を基にその存在を述べる(加藤発表)。科学的な根拠を得るために長者ケ原遺跡公園でヒスイ加熱実験を行い(誌上発表)、走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)や粉末X線回折装置(XRD)鉱物同定分析の結果をもって実証する(小河原発表)。研究の核となる縄文時代中期の長者ケ原遺跡ではヒスイ製敲石を含めたすべてのヒスイを対象としたうえで玉製作工程を再検討し、各工程における加熱処理の実態を明らかにする(小池発表)。縄文時代中期の北海道・北東北では根付形大珠が盛行し、その素材について長者ケ原遺跡との比較、特にヒスイ製敲石との関係について検討する(長谷川発表)。一方、南関東では緒締形大珠が分布し、各資料の詳細な調査と糸魚川市六反田南遺跡資料との比較を基に関東における玉製作の可能性を論じる(坪田発表)。縄文時代後・晩期では富山県境A遺跡における加熱処理を用いた玉製作の詳細を述べたうえで、東北日本におけるヒスイ玉の展開について論じる(長田発表)。縄文時代晩期末葉~弥生時代前期にはヒスイ製玉が激減するが、他石材のものも含め東西日本のヒスイ製玉の様相について述べる(荒川発表)。
弥生時代では北陸地方で盛行するヒスイ製勾玉製作の工程を再検討したうえで、九州北部のヒスイ勾玉の分析を通して東日本との関係を論じる(笹澤発表)。そして、長岡市大武遺跡の玉製作資料500点余りの被熱有無の観察を通して、原産地からの素材獲得方法を述べる(葭原発表)。古墳時代前期では糸魚川市南押上遺跡で原石形状に沿った複数の勾玉製作工程があることを示したうえで、原産地に大規模な製作遺跡群が形成されたことを論じる(金田発表)。討論では加熱処理を伴うヒスイ製玉の加工技術の実態や、原産地から他地域へのヒスイ供給について検討したい。
9:00~ 9:10 開会挨拶・趣旨説明
荒川隆史(公益財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団)
9:10~ 9:35 ヒスイの加熱処理と玉製作
加藤 学(新潟県観光文化スポーツ部文化課)
9:35~10:00 加熱痕跡のあるヒスイのXRD及びSEM分析結果
小河原孝彦(糸魚川市フォッサマグナミュージアム)
10:00~10:25 ヒスイ原産地遺跡における縄文時代のヒスイ利用
小池悠介(糸魚川市教育委員会文化振興課)
10:25~10:35 (休憩)
10:35~11:00 北海道・北東北における縄文時代中期のヒスイ利用と加熱処理
長谷川大旗(青森県埋蔵文化財調査センター)
11:00~11:25 関東における縄文時代中期のヒスイ利用
坪田弘子(株式会社玉川文化財研究所)
11:25~11:50 縄文時代後晩期におけるヒスイ製玉の製作
長田友也(中部大学)
11:50~13:10 (昼食休憩)
13:10~13:35 縄文~弥生時代移行期におけるヒスイ利用
荒川隆史
13:35~14:00 弥生時代におけるヒスイ製勾玉製作の検討と北部九州のヒスイ製玉類
笹澤正史(株式会社吉田建設)
14:00~14:25 弥生時代におけるヒスイ製玉作資料と被熱痕跡一新潟県長岡市大武遺跡を中心として一
葭原佳純(妙高市教育委員会生涯学習課)
14:25~14:50 古墳時代におけるヒスイの加熱処理と玉製作
金田拓也(新潟市文化スポーツ部歴史文化課)
14:50~15:00 (休憩)
15:00~16:30 討論
誌上報告 ヒスイの加熱実験とその結果:ヒスイ原産地遺跡研究会