以下の研究テーマに取り組んでいます。もっと研究の幅を広げたいと思っています!
農地の生物多様性をどのように保全するか?
農地に生息する動植物の種数や個体数は、農業活動や土地利用の影響を大きく受けています。私はこれまでに野外調査、システマティックレビューやメタ解析などの手法を駆使して、その実態解明に取り組んできました。
【水田】
●有機・特別栽培水田では、慣行水田と比較して様々な生物(植物、虫、カエル、魚、水鳥)の種数・個体数が多い:Katayama et al. 2019 J. Appl. Ecol.
●有機栽培水田では、ダイサギの採食効率も高い:片山ほか 2015 日本鳥学会誌
●水田魚道の設置によって魚類およびそれを食べるサギ類が保全できる:夏原ほか (2020) 日本生態学会誌
●水田の休耕・耕作放棄が生物多様性に与える影響は、土壌の乾湿、放棄年数、分類群、周辺の土地利用や年降水量によって複雑に変化する:Koshida & Katayama 2018 Cons. Biol.
●水田の耕作放棄は、鳥類の群集組成を水田性種から草地性種に変化させる:Katayama et al. 2015 Agric. Ecosyst. Environ.
●戦後の農業活動の変化が水田の生物多様性に与えた影響のレビュー:Katayama et al. 2015 Agric. Syst.
●わずかに残る圃場整備をしていない水田には、魚類、カエル類やサギ類が豊富:Katayama et al. 2011 Aquat. Conserv., 2012 Zool. Stud., 2013 Aquat. Ecol.
●ブラジルの水田における農薬散布と大型無脊椎動物の関係:Stenert et al. (2018) Environmental Monitoring and Assessment
【果樹園】
●有機栽培のりんご園では、鳥類の多様性が高い:Katayama 2016 Sci. Rep.
●アルジェリアの果樹園では土地利用強度が高いほど鳥類の多様性が低下する:Bouam et al. (2017) Ornithological Science
成果は各種新聞記事等で取り上げられました。またこれらの発見をもとに、企業との共同研究やアウトリーチ活動にも取り組んでいます。
生物多様性がもたらす生態系サービスの解明
生物多様性がもたらす様々な恩恵(生態系サービス)のうち、文化や芸術に対する貢献を文化的サービスと言います。私は戦前の童謡唱歌に注目し、国立音楽大学附属図書館のデータベース等を活用することで、生物多様性・生態系の貢献を調べました。その結果、特に身近な農地・都市に生息する植物や鳥などの動植物が歌詞に多く登場し、文化的サービスにおいて重要であることが分かりました。
成果は朝日新聞の一面等に取り上げられました。こうした身近な生き物と人との関わりを、今後も調べていきたいと考えています。
その他の研究テーマ
●多摩川の礫河原再生は、イカルチドリの繁殖個体群の保全に有効である:Katayama et al. 2010. Waterbirds
●中山間地のため池には水田よりも多くの鳥類が生息する:Deguchi et al. (2020) Biodiversity and Conservation
●土地利用の異質性が鳥類の種多様性を決定する(モニタリングサイト1000の鳥類データ):Katayama et al. 2014. PLoS ONE
●チュウサギは採食に関して階層的な意思決定を行っている:Amano & Katayama et al. (2009) Ecology
●和文誌を含まないメタ解析は、エフェクトサイズにバイアスがかかる場合がある:Konno et al. (2020) Ecology and Evolution
●沖縄島・西表島におけるヨツトゲセンショウグモの日本新記録:Baba et al. (2017) Fauna Ryukyuana
●愛知目標達成のための陸生鳥類の保護地域選定:Naoe et al. (2015) Journal for Nature Conservation
●民間企業との共同研究:たねや(滋賀県近江八幡市)、メルシャン(長野県上田市)