各作品について

2021年11月3日(水)~11月5日(金)に実施した法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎1階メディアラウンジで展示した各作品の詳細です。那珂湊の人々のインタビューを基にしてイメージを膨らませ、各自が作品を制作しました。

長期化する緊急事態宣言の中で那珂湊での取材活動ができなかった学生もおり、自宅周辺でインタビューの内容を想起させる場所を訪れてみたり、インタビューの中に登場する人との関係を自分の友人との関係に投影させてみたりと、それぞれがそれぞれの場所で那珂湊に想いを寄せながら制作を進めました。

  • 動画作品については、画面をクリックしていただけますと再生できます。

-雨もいつかは晴れる- 原亜由

参考にしたインタビュー:吉田千秋

材料:iPad,、ibisPaint、 FlipaClip,、iMovie

これは茨城県那珂湊のひたちなか海浜鉄道をモデルにしたアニメーション作品です。

高校1・2年の時に那珂湊を活性化するアートプロジェクト「みなとメディアミュージアム」に参加しました。そこで東京にいては分からなかった那珂湊の魅力を知り、稲垣ゼミでも那珂湊の良さを人々に伝える作品を作りたいと思いました。しかし、コロナウイルの蔓延で現地での制作が困難になり、那珂湊に行かずに良い作品が作れるのか、MMMは開催できるのか不安な日々を過ごしました。しかし、ひたちなか海浜鉄道が廃線の危機から周りの支援で立ち直れたことを思い出し、ひたちなか海浜鉄道をモデルに那珂湊のPRとコロナ禍の不安を乗り越える作品を作ろうと考えました。この作品では天気が移り変わる中を鉄道が走り続けます。電車は人生、天候は幸福や困難、鳥は移動する人間を表しています。(晴れ→雨→晴れ と交互に移り変わり、海浜鉄道の 人々に利用されていた頃→人が減り、経営困難に陥った頃→人々の支援で徐々に活性化した頃→コロナウイルスが蔓延し、人が来づらくなった頃→復興の兆しが見えてきた頃 の変遷を表しています。) このアニメーションのように、上手く行かない時や人が離れていってしまう時もあります。しかし、ハワイのことわざ”No Rain, No Rainbow “のように、周りと協力していつかは辛い時期を乗り越えられます。

LINEゲーム「なかみなと君からの挑戦状」 平野蒼衣 多田智織 シュウロヨウ 廣岡未来

こちらからどうぞ!

参考にしたインタビュー:ホビーショップ風車、鹿志村吉信(梅藤米殻 )

素材:スマートフォン、LINE

オリジナルキャラクター「なかみなと君」が「My Place」のインタビューに関連するクイズを出題します。全てのクイズを解いたらスペシャルムービーを視聴できます。

参加方法:

  1. まずお手持ちのスマートフォンから床に貼ってあるQRコードをスキャン、なかみなと君の公式ラインを友達に追加してください。

  2. トークに送られてきたクイズの答えを入力します。

  3. 全てのクイズを解いて、スペシャルムービーを見ましょう!

(所要時間10分程度)

*答えがわからない場合は、なかみなと君に「わからない」と話しかけてヒントを求めてください。それでも難しい場合は受付のゼミ生までお声がけください。

おもいで 鈴木南都

参考インタビュー:川崎達也

紙 色鉛筆 ペン 動画編集アプリ

商店街をパラパラアニメーションで制作します。動きをつけるというよりは、人の心に残っている温かい記憶を蘇らせるような作品を作ります。

Nakaminato on Nakaminato 萩原瑞来

参考にしたインタビュー:大里千恵子、川崎達也、吉田千秋

材料:地図、絵の具、ペンなど

那珂湊の地図の上に、インタビューで聞いた内容を絵にすることで、その情景が想像しやすくなる作品になっている。作品を観た人が、那珂湊がどんな場所か、どんなことが行われているのかを少しでも分かってくれたら嬉しい。

Wind 伊東小町

参考にしたインタビュー:Nさん(匿名を希望されています。)

材料:ユポ紙、コピックインク、ドライヤー

那珂湊にフィールドワークへ向かった際、印象深かったのは港町ならではの海の匂いと風。都心とは時間の感覚も少し異なる感覚がありました。本作品は、風でインクとアルコールを動かし乾かしながら描く、アルコールインクアートで制作しました。住民の方へのインタビューを通して、「海」が那珂湊において豊かさ、美しさ、怖さなど様々な役割を担っていることに気がつきました。海を多角的に捉えた色彩、模様で表現しています。そして、ゆったりとした時間の流れ方はランダムに自由に広がった模様で感じて頂きたいです。

日常 竹島萌花

参考にしたインタビュー:川崎達也、ホビーショップ風車

材料:絵の具、アイビスペイント

那珂湊で過ごしてきた思い出は、その人達にとっては日常でも、東京から来た私達からすれば特別でとても興味深いものである。自分達の何気ない日常も、他の人からすれば新しい発見だということを伝え、一緒に思い出を共有したい。

わたしの時間 久保田千晴

参考にしたインタビュー:すべて

材料:iPhoneで撮影(水槽、バケツ、給油ポンプ、ビー玉、レインコート、長靴、雨水)

私たちはそれぞれが別々の個体を持ちながらも、時間を常に共有しながら生きている。そして日々のなかで、一人一人があらゆる出来事や事象に遭遇し、感情を抱き、言動として発信する。流れを止めることのない時間は、目には見えない形でタイムラインとして特定の場所に蓄積していると私は考える。本作品では、那珂湊の人々の体験や記憶から生まれたドキュメントを基に、「時の蓄積」を縮尺・可視化することに試みた。

Nakaminato on Nakaminato ヴィセンテ伊藤愛美

参考にしたインタビュー:君嶋海裕、Nさん(匿名を希望されています。)

材料:那珂湊の地図、絵の具

この作品は、インタビューをもとに、私が想像した那珂湊を那珂湊の地図上に描いています。コミュニケーションにおいて 「人の話を聞く」という行為は基本的に頭の中で「想像する」という行為に支えられていると考えています。確かに人の話を正しく捉えることは相手と円滑なコミュニケーションをとる上で大切なことです。しかしながら、自分が想像したものと相手が意味していたものの違いもコミュニケーションを円滑に行う上で重要な要素であり、その違いを楽しむことも大事だと考えています。そこで私は、那珂湊の地図と私の想像した那珂湊の様子を地図上に重ねることでリアルと想像の融合、そしてその違いを表現した作品として「Nakaminato on Nakaminato」を制作しました。

salvage 遠藤瑞宜

参考にしたインタビュー:鹿志村吉信

材料:ガラスの鉢、レジン(プロクリスタル)、発布スチロール、カントリーグラス、リアルサンド、鉄道レール、電車模型、両面テープ、マスキングテープ、マットメディウム、ピンセット、平筆、茶こし、水性塗料、樹脂粘土、紙ヤスリ

この作品は那珂湊住民を対象に行ったインタビューや、実際に那珂湊の街を訪問して感じたことをジオラマ模型として表現した作品である。住民へのインタビューを通して、那珂湊に住んでいるからこそわかる街の歴史や変化を知ることができた。それから実際に那珂湊を訪問してみて、那珂湊に住んでいる人にしかわからない街の良さがあると感じた。おさかな市場の賑わい、海を近くに感じる浜辺、歴史ある湊線、海が見える高台など…。しかし、街の魅力に気づいた一方で、私たち観光客(外部)が那珂湊のことを深く知ろうとしなければ、街の表面的な魅力しか見えないとも感じた。外部の人間(観光客)が内部(住人)と関わりを持つのは難しく、街はどこか閉鎖性を感じさせる。そこで、私は那珂湊の辿ってきた歴史や変化、現地で感じた那珂湊の良いところなどをジオラマ模型として制作する。作品制作を通して、外部から来た観光客には「単なる港町」としてではなく、那珂湊という街とそこに住む人々が紡いできた歴史、そしてその街で暮らすことの良さを一つでも多く作品から感じとってもらいたい。住民と外部の観光客を繋ぐものとしてこの作品を制作する。

Living and Not Living 徳永歌代

参考にしたインタビュー:伊藤敦之

材料:インクジェット紙、インク

那珂湊に実際に足を運んでみて、ささやかな人々の生活の中で息づいているものが多数ある一方、もう使われていなかったり、忘れ去られたりしているものも少なからずあると感じた。ただ、それはまだ、そこに残されている。町の一部となって、静かにそこにある。まだ、死んではいない。そういった『生きているもの』と『生きていないもの』が共存する、今の那珂湊を写した。

Overlapping 鈴木都久美

参考にしたインタビュー:君嶋海裕

材料:2m×3mの白い布、プロジェクター2台、アルミ箔

那珂湊に住むの人びとの他愛もない「日常」と自分の思う日常とのギャップに注目した時、相違点と同時に共通するものも多くあることに気づいた。この作品はそのギャップと共通点を、プロジェクターに投影される2つの映像のずれと重なりを使って表現したものである。都内で撮影した映像とその対比となる田舎で撮影した映像を投影し、それぞれに同じ人物が登場する。重なりあった面積に一時的に一つの映像として見えるような編集をする。

人それぞれ持つ全く異なる「日常」の全てが単なる日々の反復ではなく意味を持っていることを表したい。

MY PLACE MY TIME 秋月亜美奈

参考にしたインタビュー:Nさん(匿名を希望されています。)

材料:映像・写真 スマートフォンで撮影

撮影地 神奈川県七里ガ浜

どんなに身近な場所でも、そこはある人にとって、思い出深い場所であるかもしれません。その思い出は一般的に見ればありふれた出来事であっても、その人だけの「特別な“私の”瞬間」が詰まっているのではないでしょうか。この作品は稲垣立男先生の『My Place』 というプロジェクトと、那珂湊在住のNさんのインタビューから着想を得て、私の友人が海で過ごす時間を映像と写真で残したものです。ここには、彼女の私的な時間が写されています。また、私と友人にとって思い出の詰まった、今までの写真も一緒に展示しています。この作品を通して、彼女の個人的な経験を追体験すると共に、今ご覧の皆様の、 “自分だけの”思い出が詰まった場所と時間が頭の中に浮かび上がると嬉しいです。

生きていく 大野真依

参考にしたインタビュー: ホビーショップ風車

無地のコットン布、厚紙、プリントペーパー、ベンチ(展示台用)

那珂湊に住む地元の方々へのインタビューからインスピレーションを受け、絵を制作しました。これまで私自身、全く知らない人の暮らしぶりや思い出話などをお伺いする機会がありませんでした。今回、地元の方々のお話を、間接的ではありますがお聞きすることができました。自分の知らないところで全く想像もしない暮らしや人生を送っている人がいることを肌で感じることができました。この経験から、世界は広いこと、人類の歴史が長いこと、そして今もどこかで誰かが自分の人生を生きていることを非常に意味のあることとして考えるようになりました。本当の意味で人を思いやることのできる人に近づけたような気がしました。相手の立場になって考えられることは、グローバル化や持続可能な社会のようなことを考えるときに非常に重要だと考えています。その学びを、イラストに落とし込みました。どんなことでも構いませんので、この作品を見て何かを感じ取って下されば光栄です。

Nakaminato miniature diorama 矢野広人

参考にしたインタビュー:吉田千秋さん

材料:アクリルケース、スポンジ土台、ジオラマ用草原、ジオラマ用砂、ジオラマ用砂利、ジオラマ用水、民家ミニクラフトキット、駅舎ミニクラフトキット、ジオラマ用接着剤、絵の具灰色、絵の具茶色、ジオラマ用ミニチュア人間、Nゲージ線路、Nゲージ車両、塗装用スプレー灰色

この作品は、稲垣ゼミで那珂湊の人達へのインタビューを行い、その中で語られた実体験を元に作成しました。人の体験談を表現する方法はたくさんあります、その中でもミニチュアにして形にするのが一番その思い出を共感しやすい表現方法だと感じました。このミニチュアジオラマではいくつかの那珂湊の人々の思い出を表現しました。じっくり見ればどのような状況で何があったのかと様々な思いを膨らませることができると思います。

Crossing 大原芽生

参考にしたインタビュー:吉田千秋

材料:布、糸、棒、紐

今まで那珂湊と何の関係も持っていなかった私が、稲垣ゼミ全体のプロジェクトである『My Place』の中からひたちなか海浜鉄道株式会社社長・吉田千秋さんのインタビューを受けて抱いた那珂湊のイメージを、様々な布を用いて表現した。インタビューは地元の方のエピソードに焦点を当てた具体的なものであるのに対し、本作品は東京で暮らすアウトサイダーな存在である私が感じ取った印象を表す抽象的な作品となっている。この作品の制作にあたり、ここ東京から少し離れた那珂湊とのつながりが新たに生まれたように感じている。

電車が繋ぐ那珂湊 高野巴菜

参考にしたインタビュー:吉田千秋

材料:絵の具、色鉛筆

コロナの影響もあり、未到の地、那珂湊。ただ、インタビューを通じて感じた、都心とはどこか違うような雰囲気や匂い、電車が繋ぐ地域特有の暖かさ、色々な景色を観せてくれる電車と、その風景を表現しました。