薬品製造化学研究室
Laboratory of Organic and Medicinal Chemistry
薬品製造化学研究室
Laboratory of Organic and Medicinal Chemistry
光レドックス触媒のデザインと機能評価
光のエネルギーを利用する反応の開発はサステナビリティ(持続可能性)の観点から注目を集めています。特に、光によって励起された触媒を用いた酸化還元反応は光レドックス反応と呼ばれており、有機化学におけるホットトピックのひとつになっています。そのため、光レドックス反応をスムーズに進行させる光レドックス触媒の開発が世界中で行われてきました。なかでも、ルテニウムやイリジウムを中心金属とする錯体や有機分子が触媒として開発され、広く利用されています。
当研究室では、有機化学で一般的な試薬として広く利用されているビナフチル化合物が光レドックス触媒としての機能を有することを見出しました。この触媒は光励起状態で約–2.7 Vの還元力をもち、代表的な有機光レドックス触媒よりも強い還元剤であることがわかりました。この強い還元力を利用して、様々な反応に応用し、カルボニル基の還元や臭化アリールの還元が可能であることを見出しています。
M. Tayu, K. Matsukuma, T. Yamaguchi, M. Noji, S. Hayashi, S. Ohrui, N. Saito, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2024, 97, uoae138.
現在、この研究で得た知見を基に、新たな高活性光レドックス触媒の開発研究を行っています。