薬品製造化学研究室
Laboratory of Organic and Medicinal Chemistry
薬品製造化学研究室
Laboratory of Organic and Medicinal Chemistry
オレキシン受容体に作用する生物活性分子の創製研究
オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)はともに覚醒の維持に関与するGタンパク質共役型受容体です。最近OX1R/OX2R非選択的拮抗薬であるスボレキサントやレンボレキサント、ダリドレキサントが睡眠導入薬として上市され、またOX2R作動薬がナルコレプシーの治療薬として臨床試験が実施されており、世間的にも大変注目を集めています。一方で、OX1R拮抗薬は薬物依存や不安等の改善薬として近年期待されていますが、未だ上市されているものはありません。したがって、OX1Rに選択的なリガンドの創製は創薬研究において重要な課題のひとつです。
我々は、OX1R選択的拮抗活の1つであるYNT-707の構造を単純化することで、スピロインダノピペリジン骨格をもつ新規オレキシン1受容体アンタゴニストを創製しました。本化合物の拮抗活性は弱いものの、YNT-707の高いOX1R選択性を保持したまま、分子量を大きく低下させることに成功しています。
(Ohrui, S.; Irukayama-Tomobe, Y.; Ishikawa, Y.; Yanagisawa, M.; Nagase, H. Heterocycles 2021, 103, 929–951.)
現在、この研究で得た知見を基にスピロインダノピペリジン化合物の構造活性相関を展開し、より活性の高いOX1Rアンタゴニストの創製を行っています。