2024年最初の活動として、春の草刈りを行いました。3月末は雪も解け、スミレやミツバツチグリといった在来植物が花を咲かせる前の時期であり、全国の草原の火入れと同様、草刈りにも適した時期と考えています。里の会で春の草刈りをするのは初めてでしたが、枯れた草は軽く、刈るのも運ぶのも楽ちんで、春の朗らかな陽気を背にどんどん作業が進みました。ただ、春の強風と、乾燥による足元の滑りやすさが作業を少し難しくしました。2日間で参加者は8名、計6か所の大きな生息地の草刈りを終えることができました。今回刈った生息地はまだ枯草色一色でしたが、4月に入ると徐々に新緑に色づき、スミレの花の紫色や、ミツバツチグリの花の黄色、クサボケの花の赤色が彩りを加えてくれることでしょう。5月になれば、葉を茂らせたコマツナギをせっせと食べるミヤマシジミの幼虫に沢山出会えるはずです。それを楽しみに朗らかな春を過ごしたいものです。
お互い間隔を開けて大きな生息地を刈っていきます。土手はまだまだ枯草色ですが圃場の中では麦が青々と育ってきています。
傾斜が急な土手はとても滑りやすく、足を踏ん張って作業しました。目線を遠くに移すと、中央アルプスの雪と青空で清々しい気持ちになります。
草刈りの合間の小休憩で、軽トラを囲んで立談会。暖かいお茶とお漬物があると話が止まらなくなりそうなくらい楽しそうな笑顔です。
成虫越冬するキタキチョウが草刈りした場所で見つかりました。例年より雪の多い3月を乗り切ったようです。お休み中お騒がせしてごめんね。
4年ぶりのミヤマシジミサミットが飯島町文化館で開催されました。本会の活動が活発化していることを受け、主催のミヤマシジミ研究会に飯島町を会場に選んで頂きました。里の会の会員の皆様や飯島町役場の職員の方のご参加のおかげもあり、現地とオンラインで計100名以上が講演に耳を傾けました。
開会の後、里の会の副会長で2日ほど前に新町長になられた唐澤隆さんからご挨拶をいただきました。ご自身がミヤマシジミの保全に取り組み始めて十数年というのが印象に残るお話でした。基調講演は長野県環境保全研究所の須賀丈さんと里の会会長の宮下直先生のお二人でした。須賀さんからは、長野県の自然の成り立ちと危機に瀕する生き物たちについて、宮下先生からは飯島町でのミヤマシジミの保全とソバの実り、そしてその繋がりについてお話しいただきました。その後の活動報告では、辰野町や箕輪村、伊那市、中川村での保全や教育活動、下伊那地域の危機的な状況、高瀬川沿いや梓川沿いでの取り組みなど、10団体による多岐にわたる内容が次々と発表されていきました。阿智村の農地周辺にいたミヤマシジミが今年ついに姿を消したという報告に衝撃を受けました。高瀬川沿いでは採集者の対策も必要であるというのは、里の会の今後の活動に参考になるお話でした。里の会からは、草刈りと刈り草の堆肥化についてと、植栽による生息地の広がりについての2つに絞って報告しました。時間が足りず駆け足となってしまいましたが、他の地域の方も関心を寄せてくれたと思います。
活動報告が大いに盛り上がった結果、パネルディスカッションの時間が取れませんでしたが、最後は大会宣言を参加者全員で共有して、盛況のうちに幕を閉じました。どの地域も保全の担い手不足が課題ですが、こうした開かれた場での発表や交流を通して、今後もより多くの方々を巻き込んでいきたいと思います。
会場入り口には蝶の生態写真や標本が多く並び、沢山の方で賑わっていました。
里の会の宮下会長による草地の生き物の保全とソバの実りについての基調講演の様子。
事務局からの里の会活動報告の様子。8月の植栽会での集合写真をスライドの表紙に使わせて頂きました。
会長の著書「ソバとシジミチョウ」は20冊が完売しました。売り子のご協力ありがとうございました。
一気に寒さが増した11月中旬に、今年最後の活動を行いました。昨年はこの時期に野草の観察会とコマツナギのタネの採集を行いましたが、今年は採集は行いませんでした。10月の暖かさのためかコマツナギのタネが熟すにはまだ早いことと、会員の方の多くがご自身で近所やお庭でタネを集められるようになってきたことが理由です。
寒空の下、6名で晩秋の草花とミヤマシジミの越冬卵の観察を行いました。土手には、終わりかけのアキノキリンソウや、少しピークを過ぎたセンブリやヤマラッキョウの花を確認できました。草花はまだ緑の部分と紅葉した部分が入り乱れており、スミレやアオツヅラフジの黄色に色づいた葉が特に綺麗でした。コマツナギはまだ葉が少し残っており、その根元に産まれた越冬卵を各々で探してみました。越冬卵は老眼ではなかなか見つけづらい1,2mmのサイズですが、身体を折り曲げてルーペを使って見つけていきました。
来年もしっかり発生してくれそうな感覚を得た後は、外来植物の抜き取りを行いました。ミヤマシジミの生息地に侵入しつつあるセイタカアワダチソウ(生態系被害防止外来種)をできる限り根ごと引き抜き、飯島町役場からもらった袋に詰めていきます。2か所の抜き取りで10袋がいっぱいになり、目につく株は全て抜き取ることができました。来年もミヤマシジミと在来植物が沢山見られる年になることを期待して、年内最後の活動を終えました。
土手に咲くアキノキリンソウとその葉にとまるミヤマシジミ。センブリと同様で、小さい株はまだ花を咲かせていました。
かがみこんで卵を探します。越冬卵はコマツナギの地際の木質化した部分で見つかりました。見つけるには慣れだけでなく、若さも必要そうです笑
セイタカアワダチソウは生息地の周囲や端に最近まとまって生えるようになっており、対策をしていかないと今後が心配です。
抜き取りが終わると服にはアレチヌスビトハギのタネがびっしり。一人で服からタネをとるのはイライラしますが、みんなでやると笑いがこみあげてくるのが不思議です。
秋が深まり寒さが増す10月は、屋外での普段の活動は控えて、屋内での文化的な活動を実施しました。その文化的な活動とは、10月28、29日のいいちゃん文化祭での里の会のPRと、そのための準備作業です。今年は飯島町文化館30周年の節目の年であり、感染症対策のための制限がない久々の文化祭でもあります。沢山の方が来場されることを見越して、里の会ではポスターや昆虫標本の展示だけでなく、蝶のキーホルダーとススキの箒作りのワークショップも企画しました。蝶のキーホルダー作りは昨年の文化祭に引き続きですが、ススキの箒作りは初の試みのため、しっかりとした準備が必要です。
文化祭の前週の22日は、スタッフとして参加するメンバーで、2つのワークショップのノウハウを身に着けることに集中しました。かつてはニゴ(藁の先端部分)を使った箒作りが冬仕事の一つだったと思い出話を語らいながら、思い思いの箒を仕上げていきました。キーホルダー作りは多少のコツが必要ですが、大方綺麗に出来上がり、あとは手順を頭に入れるだけの状態で解散となりました。その日の夜は、文化祭成功の前祝いと夏の草刈りの慰労を兼ねた焼肉会で精をつけました。
28,29日の文化祭当日は晴天に恵まれ、会場には多くの方が来場されました。里の会のブースにも多くの方が展示を見に来られ、ワークショップには2日間で30名以上が参加してくれました。子供からお年寄りまで人気だったのは昨年同様にキーホルダー作りで、可愛らしいミヤマシジミや派手なツマグロヒョウモンのメス、大型のアオスジアゲハが人気トップ3でした。ススキの箒作りは2名のみの参加という予想外の悔しい結果でした。自然の材料を活かした物作りを通じて、自然に目を向けてくれる方が一人でも増えてくれることを信じて、来年以降工夫を凝らしてリベンジしたいところです。とはいえ、スタッフとしてご参加いただいた会員の皆様、2日間大変お疲れさまでした。
22日の箒作りの様子。温かいお茶と世間話を挟みつつ、ススキの束を箒に生まれ変わらせます。
まずまずの仕上がりではないでしょうか。作業に慣れれば40分ほどで完成します。
22日夜の懇親会。お肉とお酒でおなかと心を満たし、文化祭の成功を祈ります。
文化祭当日。展示コーナーには、甲虫がメインの立体標本と、ミヤマシジミとツマグロキチョウの展翅標本を並べました。
席が埋まる時間帯もあったワークショップコーナー。完成した蝶のキーホルダーを嬉しそうに持ち帰る子供たちの姿で、疲れが吹き飛びました。
完成したキーホルダー。左から、ツマグロヒョウモン雌、ミヤマシジミ雄、モンシロチョウ(後翅の上下が逆なのはご愛嬌)。
ススキ箒の作業風景。子共には少し難しいかと思いきや、お父さんよりも綺麗な出来栄えの箒を作る子もいてビックリ!
心強いスタッフメンバーに恵まれ、無事2日間を乗り切れました。お疲れ様でした!
3世代目のミヤマシジミの発生がピークを迎える中、生息地の草刈りを行いました。今年は9月中旬になっても非常に暑く、気温が控えめな朝8時~11時に4日間とも作業を行いました。
この時期は稲刈りの真っ只中ということもあり、参加者は少なかったですが、石川県からも草刈りに駆けつけてもらい、計10か所の生息地の草を刈ることができました。今回草を刈った場所は6月に会で刈った場所で、どこもミヤマシジミが暮らすには少し草丈が高くなっていましたが、ワレモコウやツリガネニンジン、サワヒヨドリといった秋に咲く植物が見頃を迎えており、そういった植物は一部刈り残しつつ作業しました。
作業中に目に飛び込んでくるのはミヤマシジミだけでなく、オナガササキリやハヤシノウマオイなどのバッタの仲間や、オオカマキリやコカマキリ、大きなトノサマガエルなどの捕食者も草地から飛び出してきます。草地を適切に管理することが、多様な生き物たちの食物網を育んでいることを実感できました。今回の草刈によって、きっと来年も多くのミヤマシジミが舞ってくれることでしょう。
サワヒヨドリは残して草を刈りました。土手の上は満開のソバ畑。アサギマダラがやってきてくれると良いのですが。
この土手の手前側は地際で刈り、奥の方は高めに刈ってその効果を検証しています。高刈りした場所は草丈が伸びにくくなってきています。
木陰でしっかり休憩を挟んで作業します。台湾のお菓子のおかげでリッチなティータイムになりました。今回のトークテーマは伊那谷の花火でした。
草を刈り、刈り草を集めた後に、ミヤマシジミが舞い戻ってきました。この写真は信濃毎日新聞の記者さんが撮影されたものです。
稲穂とソバに挟まれたこの土手は今年からミヤマシジミ保全のために草を刈り始めた場所です。より良い生息環境になりますように。
大きな土手も多人数でかかれば、1時間もかからず草の回収まで終わります。保全活動はマンパワーが最も大切であると痛感します。
会員の方が自作された器具。水路に刈り草が流されていくのを防いでくれます。格安で会に譲っていただきました。深謝いたします。
刈り草を集めた山は高さ2m近くになりました。2年もすればカブトムシなどの虫たちが分解し、良い堆肥の山に生まれ変わることでしょう。
今回は伊那谷自然友の会主催の観察会で、里の会事務局の出戸が講師を務めるにあたり、里の会を共催にしていただきました。里の会からの参加者も含めて総勢15名で生息地に繰り出しました。
時期としてはミヤマシジミの3世代目がピークを迎える少し前でしたが、多くの個体が足元を飛び交い、参加された方からは沢山の歓喜の声が。飯田美術博物館の学芸員の方も久しぶりに多くの個体が見れたと喜んでくれました。秋の花々が咲き誇るのはもう少し後でしたが、コウゾリナやワレモコウ、ツリガネニンジン、サワヒヨドリが咲き誇り、最盛期はズレていましたがキキョウやスズサイコ、コオニユリ、センブリも確認でき、植物の観察会としてもまずまずといったところではないでしょうか。
この観察会で最も盛り上がりを見せたのは、絶滅危惧種ツマグロキチョウが見つかった瞬間でした。カワラケツメイが一面に生える生息地で今まで見落とされていたこの蝶は、伊那谷では近年ほとんど確認されておらず、長野県ではミヤマシジミよりも絶滅リスクの高いカテゴリーに分類されています。近縁のキタキチョウと比べて色もサイズも控えめな夏型の個体が5,6匹舞っており、足元のカワラケツメイには幼虫が複数確認できました。農地周辺でミヤマシジミもツマグロキチョウも見られる飯島町の自然に驚くばかりです。
計3時間ちょっとで、開発にさらされつつある場所や、逆に人の利用がなくなったことで自然が回復した場所、更に圃場整備の恩恵を受けて豊かな草地が形成された場所など、計4か所を巡りました。全て里の会の管理によってミヤマシジミが乱舞していることもアピールでき、素晴らしい観察会となりました。
まずはお目当てのミヤマシジミを観察。新鮮な個体から擦れた個体まで色々舞っていました。他のシジミチョウとの違いも学びました。
少し丈の伸びた草地ですが、サワヒヨドリやコウゾリナ、ワレモコウ、ツリガネニンジンが彩ってくれています。里の会で6月と9月に草を刈っています。
生息地の周りを歓談しながらゆっくり歩きます。稲穂が綺麗な水田、栗畑、ソバ畑、刈られた麦畑が秋を感じさせます。日差しは強いですが笑。
飯島町の町の木イチイの木陰で小休憩。イチイの実(タネな有毒です!)とお茶を補給して次の場所へ。
なんと生息地の隅でツマグロキチョウの夏型を発見!参加者一同、撮影できホクホクです。その場で採集した幼虫は後日秋型として羽化しました。
足元を舞うミヤマシジミがピンクの靴によく止まることがわかりました。蝶が好む色を身に着けると観察会を一層楽しめそうです。
この辺りでしか見られない稲穂とミヤマシジミのセットを堪能しました。土手に生えるセンブリやアキノキリンソウが咲くのはまだ先でした。
最後はみんなで記念撮影。蝶と植物を慈しみ愛でてくれる方々が多くいることを強く感じられ、保全活動の励みになる観察会でした。
秋ソバの花が最盛期を迎える中、ソバの花に集まる多様な昆虫たちに触れて、ソバの実りを味わうイベントを開催しました。このイベントは4年前に東京大学が主催して以来2度目の開催で、今回は弊会が主催し、飯島町生涯学習センターといいじま手打ち蕎麦の会の協力で開くことができました。
当日の朝はしっかり雨が降っていましたが、開始時刻には晴れ渡り、虫たちも活発に蜜を求めて飛び交っていました。様々な生き物たちに触れてもらう目的で、参加者には生き物ビンゴカードを配り、子供たちはビンゴを狙ってチョウやハナバチ、ハナアブだけでなく、トンボやカメムシ、クモまで採集してくれました。採集した後は、里の会の会員に教えてもらった種名をカードに書き込み、1マスゲット!全員が1ビンゴは達成し、コンプリートした子もいて、大いに楽しんでくれたようです。ビンゴの景品として準備した手作りの缶バッチは意外にも受けが良く、準備した甲斐がありました。
採集がひと段落した後は虫たちを室内に持ち帰り、お気に入りの昆虫をプラ板にスケッチしてもらいました。特徴を捉えて丁寧に描いてくれる子や、大雑把だけど愛嬌のある虫に描き上げる子がいたりと、思い思いに描いてくれました。画伯たちの作品はハサミで切り抜き、オーブンで温め、オリジナルのキーホルダーに生まれ変わりました。このキーホルダーが子供たちの昆虫愛を末永く繋ぎとめてくれますように。
虫たちを元居た場所に返した後は、お待ちかねの流し蕎麦!次から次へと流れてくる蕎麦を皆さん我先に口に運んでいきます。たまに流れてくるプチトマトやブドウで更に楽しませてもらいました。虫たちのおかげで美味しいソバが味わえていることを実感できた良い会になったかと思います。
まずは里の会会長によるソバと虫のお話し。虫たちのありがたみを学びました。
昆虫採集スタート!今年はソバに来る虫たちが少ないようですが、雨上がりで昆虫たちが一斉に動き出し、沢山飛び交ってくれました。
ソバの花にはミヤマシジミも訪れていました。ソバ畑の隣の土手では10匹程が舞っており、採集した蝶のほとんどがミヤマシジミでした笑。
ソバ畑に隣接する水田でもウスバキトンボやアマガエルを採集し、ダブルビンゴが当たり前の状態に笑。楽しんでくれたようで良かったです。
ビンゴ景品のミヤマシジミ缶バッチは複数種類用意しました。子供たちは嬉しそうに選んでくれました。
昆虫のスケッチは大人も子供も真剣に取り組んでくれました。捕まえた虫をじっくり観察して、体の構造や色、種ごとの違いなどを学びました。
スケッチを切り抜き、オーブンで温めます。プラ板が踊るように縮んでいく姿に皆さん歓喜していました。唯一無二のキーホルダーの完成です。
最後は流し蕎麦!全員がお腹いっぱいいただきました。準備して下さった蕎麦の会の皆様、ありがとうございました!
お盆に西日本を直撃した台風7号が過ぎ去り、やっと夕立が降るようになってきた8月後半。4月から丹精込めて育ててきたコマツナギの苗の植栽会を行いました。
19日(土)は下準備として、植える場所に穴を掘りました。事前に竹棒で目印を立てておき、あとは穴を掘るだけかと思いきや、急傾斜の土手に悪戦苦闘。徐々に近づいてくる雷鳴に焦りを覚えながらも、足を踏ん張り、スコップや鍬、つるはしを使って穴を開けていきました。7名のマンパワーで計500個以上の穴を掘り、予想以上のスピードで作業は終了!終了と共に雨が降り始め、差し入れに頂いた美味しいスイカを頬張りながら翌日の成功を祈りました。
20日(日)の植栽会当日は17名の方にご参加いただきました。転倒に十分注意しながら、前日に開けた穴に苗を入れ、土をかぶせ、水を撒いていきます。前日の夕立のおかげで、土も苗も湿っており、根の活着が期待できました。日差しが厳しい中、小さいテントの下で休憩もしっかりとります。差し入れのお茶と飴で英気を養い、道の駅田切の里の土手(植栽1か所目)の作業はスムーズに終わりました。2か所目は田切クリーンセンターの第1埋立場跡地です。この土手も傾斜が急でしたが、作業にも慣れ、黙々と淡々と苗を植え付けていきました。2か所で計500株以上の植栽を終え、春から始まった育苗も含めた一連の作業がここに完結しました。
予定よりも早く作業が片付き、あとは、昨年植栽した3か所の観察を残すのみ。そのうちの2か所でミヤマシジミの成虫が数匹ひらひらと舞っているのを目撃!放チョウしたわけでもないのですが、事前の調査でも昨年植えたコマツナギに幼虫が60匹近く見られ、植栽の成果を如実に味わうことができ、皆さんご満悦のようでした。昨年植え付けたキキョウやオミナエシ、ユウスゲなどの希少な在来植物もしっかり定着していることを確認できました。この地域の各所で、草原環境に暮らす生き物たちが末永く暮らしていけるように、今後も力を尽くしていきたいと思います。
事前準備の穴掘り風景。急傾斜に穴を掘る大変さを改めて知りました。昔から使われてきた鍬とつるはしが大活躍してくれました。
降り始めた雨を横目にスイカ休憩。その後に強い夕立となり、その前に作業が終えられて良かったです。植栽前日の恵みの雨となりました。
植栽会当日。里の会副会長の唐澤隆さんからご挨拶いただき、いざ植栽!17名にご参加いただき感謝御礼です。
急こう配の土手は降りるだけでも難儀します。転がり落ちないように命綱を使う知恵は、伊那谷での登山に由来するそうです。
強い日差しを背に浴びながら一株一株丁寧に植えていただきました。この土手には300株植え付けました。有線で後日放送があるかと思います。
テントで小休憩。育苗中の苗でいつの間にか育ったミヤマシジミ幼虫を日陰で観察できました。ツバメシジミ幼虫との違いも学びました。
2か所目の土手も日向の急傾斜でしたが、苗の残りは半分を切っています。最後まで足を踏ん張り、怪我無く終えられました。
最後にミヤマシジミや在来植物を観察をして、笑顔で集合写真を撮りました。植栽区でミヤマシジミや盆花が完全に定着することを切に願って。
真夏の日差しが照り付ける中、生息地の草刈りを行いました。7月22日も開催予定でしたが、事務局の体調不良により、23~25日の3日間での作業となりました。暑さを考慮し、昨年より1時間開始時刻を早めて朝8時から11時までの作業でしたが、朝8時で既に暑く、脱水症状や怪我などなく全員が無事に作業が終えられてホッとしています。
酷暑の中でしたが、ミヤマシジミは元気に舞い、草刈り中に交尾をしているペアにも複数出くわしました。コマツナギは満開の花を咲かせている真っ只中でしたが、心を鬼にして高めに刈っていきました。3日間で大きな生息地を6か所刈ることができ、まずまずの成果です。
今回、草丈が高くなってきた生息地を刈ることができたので、ミヤマシジミの第3世代が最盛期を迎える9月上~中旬には適した草丈に戻っていることでしょう。そのころにはワレモコウやツリガネニンジン、ヒヨドリバナ、アキノキリンソウといった秋の花々も多く見られるはずです。ミヤマシジミを後世に伝えるために最も大切なのが、この生息地の管理です。今回ご参加いただいた皆様、大変お疲れさまでした。そして本当にありがとうございました。
草刈機を使える人は草を刈り、使えない人は草を集めます。どんな方でもご参加大歓迎です!高めに刈るのは少しの慣れが必要です。
草刈り中は車や草で農道の一部をどうしても塞いでしまうことがあります。ご迷惑をおかけしますが、大目に見ていただけると幸いです。
日陰がない場所では給水タイムは車の陰で。冷たいお茶と他愛無い雑談でリフレッシュします。今回はサッカーW杯の話が中心でした。
軽トラは集草で大活躍してくれます。かさばる草も踏みつぶせば大量に乗せて運んでくれます。今回も堆肥場には大きな草山が出来上がりました。
梅雨はまだ明けず当日の朝も雨が降っていましたが、しだいに雨があがり、観察会の開催に漕ぎ着けました。6月の観察会は雨に降られて開催できず、今年最初の観察会です。参加は6名(うち松川町からお二人)だけで寂しい状況でしたが、その分参加者同士で濃い時間を過ごせました。松川町から会員以外の方もお二人ご参加されました。
はじめに学習会として、事務局から今回出会える蝶の識別点や生態について簡単にプレゼンしました。その後、車で3か所の草地を巡り、ミヤマシジミや植物などを、皆で、各々で、じっくりと観察できました。今回は成虫だけでなく幼虫も見られる時期なので、幼虫の食べ跡やアリを呼び寄せる幼虫の尾状突起の収縮も観察できました。コマツナギ以外に、ノアザミ、ヌマトラノオ、カワラケツメイ、ユウスゲなどの花々も見ながら、参加者の皆さんでお互いの知識を共有していました。
今回は先月草を刈った場所と今月草を刈る場所を見に行きましたが、どちらも多数のミヤマシジミを見ることができました。今年も来年も沢山のミヤマシジミが舞えるように、来週からの草刈りを頑張っていきましょう。
ミヤマシジミの成虫がひらひらと飛んでいましたが、注目を集めたのは幼虫でした。ミヤマシジミがこうした丈の低い草地を好んでいるのがよくわかります。
7月に草を刈る生息地。やはり丈が高くなり、ミヤマシジミもあまり見られませんでした。ただ、草刈りを続けてきたおかげで少しずつ丈が低くなってきている印象です。
田んぼの土手でも多数のミヤマシジミが見られました。日差しが出てくると翅を開いてとまってくれるので良い写真が取れました。
蕾でしたが、道端でスズサイコを観察できました。ひっそりと生きる生き物たちを愛でる良い観察会となったと思います。
梅雨に入り雨が心配されましたが、4日間とも天候に恵まれ、予定していた箇所の草刈りを終えることができました。ミヤマシジミの擦れたオスが増えて綺麗なメスが大半となってくる6月中旬は、草刈りには絶好のタイミングでした。成虫が足元や刃先に舞う中、少し高めに草を刈るのは目に嬉しく腕には辛い作業ですが、参加された皆さんは黙々と作業をこなしていきました。日によってはカンカン照りの中での草刈りとなりましたが、日陰で(楽しい雑談ネタが尽きるまで)十分に水分補給をとり、熱中症対策は万全です。途中、草刈り方法の視察に宮田村から来ていただいたり、有線テレビの取材があったりと、里の会の草刈りも徐々に注目が集まってきている模様です。
草刈りできた生息地は全部で12箇所にのぼり、去年の6月よりも多くの生息地を草刈りできました。刈り草は全て持ち出して堆肥場に運び、堆肥場には大きな草山が出来上がりました。4日連続の草刈り後は事務所で慰労会を執り行いました。差し入れのお酒とお料理、色々な話題で盛り上がった後は手打ちそばをいただき、盛況のうちに終わりました。
今回刈り払った後の生息地では、再生したり刈り残ったりしたコマツナギに既にメスが産卵し、次世代の若齢幼虫がすくすくと成長中です。7月中旬には2世代目の成虫の発生がピークとなります。次回の活動で、今回の草刈りの成果を観察しに行きましょう!
草刈りスタートです。お互い間隔を開けて怪我のないように作業します。周りには収穫直後の麦畑や水田、ソバ畑が広がっています。
刈り払った後は刈り草を回収します。草を掻き上げるのは掻き下ろすよりも何倍も大変ですが、みんなでやればあっという間です。
合間に一服。草刈りは大変ですが、この一服の時間はとても楽しいひと時です。話に夢中になっていると時間の経過を忘れてしまいます。
草刈り後は保護区の看板を設置しました。簡素な看板ですが、近隣の方が興味・関心を持ってもらえると大変ありがたいです。
刈り草は軽トラで運んで堆肥場へ。背丈以上の大きな草山になりましたが、完熟堆肥になる頃には体積はとても小さくなります。
外来植物が繁茂している土手でも辛うじてミヤマシジミが生き残っています。希少種を守りつつ外来植物を減らす刈り方を模索しています。
急傾斜で足場が崩れやすい土手は草刈りが大変ですが、ミヤマシジミには好ましい環境です。草を回収して落ち着くと蝶が舞い戻ってきました。
4日間の草刈り、大変お疲れさまでした!最終日は飲んで食べて(蕎麦を)すすって、笑顔で疲れを吹き飛ばしました。
夏日を記録した2日間、オオキンケイギクの抜き取りを行いました。周りでは農家の皆さんが忙しそうに田植えをしている中、こちらは植物の抜き取りという、一見すると真逆の行為ですが、どちらも日本の里山景観を守っていく作業に変わりはありません。参加者は両日ともに7名で、人海戦術さながらに道沿いに人を分散して配置し、黄色い花を咲かせ始めた特定外来生物を根ごと抜きとり、次々と袋に詰めていきます。作業中の農家の方も少し手を止めて、近くのオオキンケイギクを抜き取って下さいました。
作業が進むにつれて、外来植物のオンパレードの中にもひっそりとコマツナギやナワシロイチゴ、カラマツソウ、レア植物のクララなんかも草の中から顔を出しました。この抜き取りで在来植物が少しでも生きながらえる環境に生まれ変わってくれることを願います。
2日間で道の両側600mほどの区間の抜き取りを行うことができました。植物を詰めた大きなゴミ袋は100近くに上り、軽トラ2杯分に達しました。一方、それ以外の場所は遠くから見ると黄色い絨毯が広げてあるようです。今後も希少種を守るだけでなく、このような活動も展開していきたいと思います。もちろん、問題にされている生き物たちは悪者ではなく、諸悪の根源は人が持ち込んでしまったことにあるので、駆除で「命を奪う」だけでなく「命をいただく」活動にしていきたいです。
抜き取り開始です。大きい株は根から抜きやすいのですが、小さい株は根が残ってしまいやすいので、指に力を入れて作業します。
休憩中は四方山話に花を咲かせます。そのお供はオオキンケイギクのお浸し。山菜のオコギのような味で箸が進みました。オオキンケイギクには抗癌作用があるそうです。
道の両脇が黄色い絨毯のようだった活動前。オオキンケイギク以外にビロードモウズイカも点々と生えている中に、希少植物が埋もれていました。
活動後。黄色い花はほぼほぼ無くなり、小さい株も大方抜き取りました。それでも花は咲くでしょうが、活動を継続することで実のある結果に繋げていきます。
雨予報の中、草むしりを決行しました。参加者5名の内、誰が晴れ女・晴れ男なのかわかりませんが雨雲の機嫌をとっていただき、午前中いっぱい草むしりに没頭できました。
昨年8月に植え付けた植物たちの多くは無事冬を越え、すくすくと成長中でした。コマツナギは小さい株も大きい株もしっかり新緑の葉をつけていました。ユウスゲやナンテンハギ、オミナエシ、キキョウ、ワレモコウなどは冬に一度葉を落としましたが、葉を広げて再成長しており、今年花をつけてくれるのではと期待しています。一年草のカワラケツメイは枯れてしまいしたが、親株の周りにかわいらしい子株が生えてきており、希少な在来植物の力強さを感じました。
植栽区は急傾斜なので、参加者の皆さんはしっかり踏ん張って腰を曲げて作業されて、とても大変だったと思います。そのかいあって想定以上の場所を終わらせることができました。草をむしりながら、特に希少種と外来種の植物について知識を共有でき、身の周りの植物のほとんどが外来種という現状も身をもって知ることができました。まずはこの植栽区だけでも草原性の生物で賑わう場所に変えていきましょう。
急傾斜の土手で草むしり。赤土で草が生えづらい印象ですが、植え付けた植物の多くはしっかり生育していました。
2か所目の植栽区。チガヤが優占した中にコマツナギがしっかり根をおろしていました。ミヤマシジミが好みそうな環境です。
植え付けたコマツナギの上でひと休み中のキバネツノトンボ。草地に暮らす綺麗な昆虫です。触角がなんとも可愛らしい。
カワラケツメイの子株。新たな環境で既に世代を繋いでいます。丈が低い植物なのでカバープランツの様になってほしい。
昨年度の事業報告や今年度の事業計画について総会で議論しました。稲の種蒔きの時期であり田を起こす時期でもあったため、農家の方の多くは出席できませんでしたが、滞りなく総会を終えることができました。
総会後は勉強会と称して、松川町と中川村でそれぞれツツザキヤマジノギクの保全活動をされている団体の代表の方お二人からお話を伺いました。「ツツザキヤマジノギク」の名で知られる植物は分類学上の問題を抱えていることや、山から川へと生息地を追いやられ、雲のように広がって咲いていた光景もいつしか見られなくなってしまったことなどを知りました。そして様々な組織(学校や行政、博物館など)と協働し、普及と保全を進めていくことの大切さも改めて学びなおす良い機会となりました。里の会かららも宮下会長が最近話題のOECM(自然共生サイト)について情報提供し、ミヤマシジミやツツザキヤマジノギクをシンボルとして下伊那や伊那谷全体でのOECM登録を目指していくことを提案しました。
その後は種蒔きワークショップです。濡れたキッチンペーパーにコマツナギのタネを撒き、その方法で事務局が1か月以上前から育てた実生を刈り草堆肥ポットに植え付けました。植え付けた実生が上手く活着し、8月の植栽まですくすくと育ってくれるのを楽しみにしたいと思います。
総会の風景。飯島町役場の係長も挨拶をしに駆けつけてくださいました。
勉強会の風景。松川町での保全活動について堤久さんからお話を伺いました。非会員の方は勉強会からご参加されました。
桂川雅信さんからは中川村での保全活動についてお話しいただきました。絶滅寸前で採取したタネをもとに自生地の回復を目指されています。
最後に実生の植え付け風景。しっかり水を撒き丁寧に植え付けできれば、多くの実生は立派な株へと成長してくれます。
里の会が子どもたちを集めて開催した初めての企画で、運営側は昨晩からドキドキです。数日前まで傘マークが消えませんでしたが、当日は晴れ渡り、絶好の掘り出し日和となりました。定員オーバーで8家族も参加を断らせていただき大変申し訳ない気持ちでしたが、当日は計12家族が参加され、農地の周りに暮らす生き物や土手の草刈りについてのお話にみなさん耳を傾けていました。その後、徒歩での堆肥場までの移動中も、土手に咲く草花について目で見て耳で聞き触って学んでくれたかと思います。堆肥場到着後、子供たちはいっせいに一心不乱に堆肥を掘り返していき、出るわ出るわ丸々太ったカブトムシ幼虫の数々!幼虫のお尻の近くで雌雄の判別ができることも教わり、掘り出した幼虫をまじまじと眺めてくれました。計60匹以上を掘り出しみんなで山分け。一人何匹持って帰れるかをみんなで計算し、一人3匹の幼虫とたっぷりの堆肥を虫かごに詰めて満足げに帰還していきました。お土産に用意した完熟の刈り草堆肥は、親御さんに嬉しそうに持って帰っていただき、用意した甲斐がありました。今回切り返した堆肥はあと1年、完熟になるまで置き、在来植物の育苗用培土としてまたミヤマシジミの生息地へと戻っていきます。
まずは座学。多様な生き物が農地の周りに暮らしていること、そして彼らを気遣った草の管理について学びました。
外に出て、畔や土手に咲く草花を歩きながら学びました。子供たちは食べれる草や遊べる草について既に詳しくびっくり。
大人も子供も夢中になってお目当てを掘り出していきます。例年より暖かいせいか、カブトムシは深くに潜んでいました。
最後に記念撮影。満足げな子供たちの笑顔と、お疲れ気味の親御さんのお顔と、たっぷりの土と幼虫が入った虫かごと。